塾講師ボランティアをやってみよう。まずは登録。
訳あって2021年2月より無職となった。興味があって、子供たちに無料で学習塾を開いているNPO法人に、塾講師のボランティア登録をしてみた。ボランティアも塾講師も初めて。実際の活動はこれから。まずは説明会に参加した。
日本の子供の相対的貧困 7人に1人
相対的貧困とは、世帯の所得が平均の半分未満とのこと(正確にはその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たないことを指すらしい)。「日本に貧困なんてあるの?」と言う時には絶対的貧困を思い描いていると思われるが、日本の貧困の特徴は相対的貧困とのこと。なるほど。厚生労働省の2016年の統計では、相対的貧困家庭とは2人世帯なら世帯所得が172万5000円以下、4人世帯なら244万円以下らしい。子供7人のうち1人が相対的貧困。単純に親一人子一人なら年間172万5千円以下で暮らしているレベルの子が7人に1人。額にもショックだが、人数も多い。相対的貧困家庭はひとり親家庭が50.8%を占めるそうだ。コロナになってもっと増えているかもしれない。
日本の公的教育費 OECD34か国中で最低
「GDPのどのくらいの割合を教育費に使っているか」のランキングで、日本はOECD34か国の中で最低、全体でも113位(3.18%)とかなり低い。
ちなみに、Yahooニュースの記事(2021.4.21)によれば、全体のランキング上位の国は「そもそもGDPの絶対額が小さい国と、高福祉国家として知られる北欧諸国とが混在している印象です。特に6位から3位には、スウェーデン、アイスランド、デンマーク、ノルウェーの北欧諸国がずらりと並び、国家レベルでの教育への高い意識が伺えます。」(3位のノルウェーは7.91%)。
日本は、生まれた家庭が貧しかったら手を差し伸べよう、どんな子にも教育機会を与えたいと言う意識が先進国で最低。良い教育を受けるとか、結果どういう人生を歩むか、みたいなのが自助努力で何とかするもの、みたいになっちゃってて、かなりきつい国だよね。。。
世帯年収と子供の学力 見事な相関関係
東大生の親の平均年収は1000万円以上なんて話は良く聞くが(2018年の調査では、東大生の約60%が世帯年収950万円以上)、いろんな調査でも世帯年収が高い家の子ほど学力が高い。家の所得が高い子の成績は高く、所得の低い子の成績は低い。下記は少し古いが、2014年の調査の一例。
(貝塚, 2014)
*ちなみに、2019年の日本の平均所得は552万3千円、中央値は437万円、平均所得金額(552 万 3 千円)以下の割合は 61.1%(厚生労働省の統計)。
その子の努力の問題ではない
所得が低い家の子供の中には、所得が高い家の子供よりも長時間、勉強をしている子もいる。しかし、その子の方が、世帯年収が高い家で勉強時間が短い子よりも成績が低い。世帯年収の低い子は頑張って長時間勉強していても、それより勉強時間の少ない世帯年収の高い子より成績が低いのだ。原因はいろいろある。例えば塾に通えないとか、参考書が手に入らないと言うような教育への投資額の少なさはすぐに想像がつくにしても、そもそも勉強机がないとか勉強に集中できる部屋がないと言う住環境の問題や、時間の貧困問題もある。貧困家庭ほど子ども自身が家の事に時間を割いていたり、親が家庭内外の労働で時間的余裕がなく子どもの勉強を見てあげられなかったりする。
(耳塚, 2014)
貧困の連鎖からの脱出
貧しい家に生まれた子どもは学力が低く、公的な援助もなく、結果、なかなか収入が上がる仕事に就けない。この貧困の連鎖から脱出するには、学力をつけることが必要だ。
今回、私は応募のタイミングで間に合ったものが英語の講師だった。貧困家庭の子には英語が苦手な子が多いが、2000年に英語の受験方法も変わり英語の必要性は高まっていると説明を受ける。つまり、英語の教育格差はますます拡大している。
自己肯定感と挑戦する意欲
塾に来ている子たちは普通の良い子たち、でも家庭にいろいろな事情を抱えていることが多く、自己肯定感が低い子が多い。そのために、挨拶が苦手だったり、コミュニケーション力が低かったり、挑戦する意欲が低かったりする。英語力の向上は目指すところだが、まずは、安心する場を提供し、子どもたちに寄り添ってほしい。そうすることで、子どもたちが挑戦する意欲を持てるようにサポートしてほしい。何よりも大切なのは子供たちが挑戦する意欲を持てるようになること、と言う説明はなんか腑に落ちた。挑戦する意欲は、長期的な成長(成長し続けていくこと)につながっていく。
容易に想像がつく。自己肯定感が低いと、何かに挑戦する意欲が持てない。あきらめている認識もないままに、自分で自分のことをあきらめている状態になってしまう。
挑戦する意欲は、子供たちへのアンケートや調査結果から、学習塾に通い出して1年目では変化はないが、3年目に効果が出てくる。中には、英検に合格する、留学する、英語のスピーチコンテストで優勝する、国際的なボランティアに参加するといった子もいるそうだ。
子どもたちが捉えている講師との関係性や、学習面の変化の説明を受け、最後に実際の働き方や塾での学習スケジュール、注意事項の説明を受けた。
できるかな
子供たちの英語力は様々で、塾講師の英語力はそこまで高くなくとも良い。平日3日、18:00-21:00で、自分ができる時に講師をすることになる。自宅から少し遠いのが出不精の私とは相性が悪いが、無理をせず、自分にできるところからやってみよう。できなかったら、やめよう。
やってみてどうだったかは、また書いてみようと思います。