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フィカスの魅力と多様性:ゴムノキから学ぶ観葉植物の楽しみ方

「ゴムノキ」というのは非常にクラシックな観葉植物の1種です。
その名の通り昔は「ゴム」の原料にされることが多かった樹木です。

今でも同じ方法で採取される天然ゴムというものはありますが、一般的に触れるものの多くは科学的に合成されたゴムになります。

19世紀に入ると、ゴムの木から採取されるラテックス(ゴムの原料)が、特に自動車のタイヤや様々な工業製品に利用されるようになりました。ゴムの木の栽培は、特に南米やアフリカに広がり、ゴム産業の発展に寄与しました。

しかし、ゴムの木から得られるラテックスは、化学的に合成される物に比べて生産量が少ないため、次第に合成ゴム取って代わられることとなります。それでも、ゴムの木はその美しい葉と成長の早さから、観葉植物としての人気を保ち続けました。

ゴムの木は、熱帯アジア原産で、特にインド、マレーシア、インドネシアなどの地域に自生しています。これらの地域では、ゴムの木は高木として成長し、最大で30メートル以上の高さに達することもあります。ゴムの木は、主に湿潤な熱帯雨林に生息し、広い葉を持つことから、光合成の効率が高く、成長が早いのが特徴です。

ゴムの木の仲間は学名で言うと「フィカス(Ficus)」というイチジクの仲間に分類されます。(以下の文章では主に「フィカス≒ゴムの仲間」として用います)
100円ショップなどに並んでるのを見ることも増えたガジュマルなんかもフィカスですね。

そんなゴムの木ですが、実は様々な品種に細分化されており、その見た目も多種多様です。
自分自身も植物屋になるまで、ザ・ゴムの木しか知らなかったのですが他にも魅力的なものが多いので、いくつかピックアップして紹介したいと思います。

フィカス・ベンガレンシス(ベンガル菩提樹)

ベンガレンシス

丸くて、少し薄い緑が特徴的なベンガレンシス。
インドのベンガル地方が原産のため、この名前が付けられています。

形といいい、色味といい、全体的に角がなく柔らかな印象。

植物豆知識ですが、同じような品種で葉っぱの色が濃い緑のモノと、薄い緑のモノがあった場合、相対的に濃い緑のモノの方が耐陰性が高いことが多いです。

植物の緑色というのは、光合成をおこなう部分≒葉緑素によって左右されますから、濃い緑のモノは光合成する力が強く、暗い所でも養分を得やすいと言えます。
といってもどの植物も自分にとって必要十分な葉緑素は持っているわけですから、あくまで傾向として知っていただければと思います。

余談をはさみましたが、そのためこのベンガレンシスは
カーテン越しの窓際など、日中光が差し込むところにおいてやるのがオススメです。

フィカス・リラータ(カシワバゴム)

フィカスでもかなり大ぶりな葉をもつ種類です。

柏(カシワ)の葉と形状が似ていることからカシワバゴムとも呼ばれます。
なかなか他の植物には出せないどっしりとして厳かな雰囲気があります。

他の多くのフィカスと違って、幹や枝が猛々しい感じも好きです。

柏から連想されるように和の雰囲気とも合いますので、そういった雰囲気に振りたいときにもオススメです。

同じような雰囲気で葉のサイズだけ小さくなった、「バンビーノ」という品種もあります。

フィカス・ベンジャミナ・ヌダ(ベンジャミン)

3m弱のベンジャミン

当ショールームの中でもシンボルツリーとして、長らく店内を見守ってくれています。

ベンジャミンと呼ばれるフィカスの仲間の特徴は「小さく、数多くの葉をつける」という点です。

フィカス全般にみられる気根がしっかりと出ているのがわかると思います。

気根はあくまで補助的な役割であるため、出ていなかったとしても大きな問題はないのですが、一応気根が成長するのを促す方法もございます。

方法というほど特殊なことではないのですが、「湿度を高めてやる」というのがポイントです。

そもそも気根を伸ばす理由は、普通の根と同じで、水分や養分を吸収しようとするため。水分があると感じた環境では、より効率的に吸収しようと気根を伸ばすのかもしれません。

また同じ原理のネガティブな側面としては、植木鉢の中の根っこがつまり、正常に機能できていない場合です。
地中の根っこの分をカバーしようと気根を伸ばすケースもあるそうです。

長らく家で育てている植物が急に気根を伸ばし始めたら、その点も確認してあげると安心かもしれません。

いずれのケースにしろ、気根そのものは植物にとって害のあるものではありませんし・なくて困るものでもありません。見た目の好みで伸ばすか剪定するか選んでいただいてよろしいと思います。

まとめ

フィカス全般的に「観葉植物の育て方の基礎」を学びやすいと思っています。
先に紹介していたシダ類やフィロデンドロン類も、小ぶりな植物が多くインテリアに取り入れやすいのですが、フィカス類は冒頭に説明したように大きいものは数メーターのサイズまで成長します。
立派なシンボルツリーにもなりえるし、成長の途中で剪定する楽しみなどもあります。(細かな剪定方法などはまた別で記事にしようと考えています。)

フィカス全般的に耐陰性・耐寒性もそれなりに備えているものも多いので育てやすさを最低限担保されていながら、選定・肥料による効果・シーズンごとの成長の速さの変化など、様々な要素が目に見えて反映されやすい植物だと思っています。

様々な植物を育てる上でもベンチマークとなるようなフィカス、1鉢家に招き入れてはいかがでしょう。

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