trainingとpractice
さて、今月のテーマは「トレーニング」です。
シーズンオフ期の今はまさにトレーニングを入念にやる時期だと思いますが、何をやったらいいかわからなかったり、迷っている方もいらっしゃると思います。情報交換をしながら、実りのある春にしていきましょう。
ご存知のように、僕はトレーニングの専門家ではありませんので、来週からはモデレーターでS&Cコーチの佐藤さんに執筆を手伝っていただきます。トレーニングでよく陥りがちなことをまとめてもらう予定にしています。
バレーボールのインカレ4連覇を支えたS&C(ストレングス&コンディショニング)のトレーナーですので、かなり説得力はあると思います。今回は佐藤さんに振る前に、高校野球の練習を見ていて陥りがちなことを話したいと思います。
トレーニング 第1回
ダルビッシュ有(パドレス)や前田健太(ツインズ)の発言の影響か、昨今は「投げ込み」「走り込み」不要論がささやかれています。
僕もそう思う一人なのですが、日本の野球界は「オフは体をいじめる時期」という言葉が先走って、どこか「数字」に囚われているところがあります。
やれ1日1000スイングだとか、投げ込み100球以上とか。
巨人の阿部慎之助2軍監督の指導がニュースになったことがありました。キャンプの時期だったと思うのですが、1日1000スイング1000球投げ込みを課したとか。
何事も数字ありきで過酷になっていく。例えば「走り込み」ですが、僕がそんな過度の走り込みを不要だと考えるのは、それによって鍛えられる「下半身強化」は効率が悪いような気がしてならないからです。
下半身を鍛えるのは大事ですが、どれだけ走り込めば、投球や打撃面で効果が表れるのでしょうか。走り込みで、本当に鍛えたい下半身ができ上がる頃には、体のどこかが潰れている。それくらいやらないといけないんじゃないかと思います。
下半身強化に関しては、佐藤さんの方が詳しいと思うのでお任せするとして、ここではスイングの振り込みと投げ込みについてお話しします。高校野球の練習を見ていて、しばしば疑問に思うことがあるので、その話をしようと思います。
さて、バットスイングの振り込みや投手の投げ込みは何のためにするのでしょうか。
スイングスピードを速くするため。
ピッチングのレベルを上げるため。
などではないでしょうか。
つまり、筋力(体力)を上げて、プレーの質を高める。
本数をこなすことで力がつく(と思っている)。
しかし、バッティングは相手投手のボールを打つためにするものです。本数をこなす以前に、きっちりとしたバットスイングでなければいけません。
どれだけスイングが強くなっても、変なフォームで練習していれば、むしろ悪いフォームのまま固まってしまう危険性がある。つまり、スイングスピードの向上のためにやっていることが技術を下げる(ことにつながる)。
これって、本末転倒になっているわけですが、高校野球の練習を見ていると、そういうメニューが多い。
連ティーなどは代表例です。あれは非常に腕が疲れますから、鍛えられている気がします。けど、ボールを捉えることに関しては、かなり疎かになります。
ややもすると、ボールを切る癖をつけることにもつながります。
バットを振る以上は、ボールを投げる以上は、正しい形でやらない限り、得たいものを得られないばかりか、失ってしまうものまで出てきてしまうというわけです。
「trainingとpracticeを混同してはいけない」
そう教えてくれたのは、マリナーズの菊池雄星です。
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