底辺決闘者の戯言語り〜遊戯王における外道ビート、その歴史〜
はじめに
本noteは大会勝ってるわけでもない一般遊戯王プレイヤーが当時の記憶と記録を頼りに単独で執筆したものであり、厳密には史実と異なる場合があります。そのため、資料というよりはエンタメとしてお楽しみください。
また、本noteは池っち店長を誹謗中傷する意図はなく、またTCGゲートルーラー及び関係各所様に対して悪意を持って不利益を被らせる意図はございません。ご了承の上お楽しみください。
①王国の古強者、外道ビート
皆様、ゲートルーラーというTCGはご存知でしょうか。
サービス開始当初からインターネット上で話題を集め、今なお人気の話題作、知ってる方も多いんじゃないかなと思います。
筆者はプレイしたことはないんですが、身内のDiscord鯖でよく対戦会が開かれていた記憶があります。
「あの頃のように、仲間たちと始める新しいカードゲーム」をコンセプトに開発されたゲートルーラー。
そんなゲートルーラー公式サイトがつい先日、「ゲートルーラー今後の新商品展開まとめ」という記事にてこんな商品の発表をしました。
初心者用スターターデッキ「外道ビート」(仮称)
外道ビート、といえばゲートルーラー公式の顔とも呼べるカードショップ経営者「池っち店長」が組み上げた、知る人ぞ知るアーキタイプ。
そんな外道ビートが遊戯王環境において活躍した時期は2009年。執筆現在から数えて14年前。
外道ビートという物々しい字面のインパクトにこそ面食らいますが、こうした過去を知れば「あの頃のように、仲間たちと始める新しいカードゲーム」であるゲートルーラーが打ち出すスターターデッキとしてはむしろ相応しいものと言えるでしょう。
………ちなみに「遊戯王環境において」と前置いたのは、外道ビートというアーキタイプが最初に生み出され、かつもっとも活躍したのが(おそらく)遊戯王OCGにおいてだからです。
他のカードゲームでの活躍に関しては、残念ながら筆者の力では調べることができませんでした。
ゲートルーラー公式がこう言ってるわけですし遊戯王以外でも活躍したアーキタイプなのは間違いないはずなのですが、他のTCGに疎い筆者では情報収集を断念せざるを得ませんでした。
遊戯王以外で外道ビートが活躍した記録をご存知の方、よろしければ連絡ください。
では、そんな遊戯王における外道ビートとはいったい何だったのか。
その正体について紐解いていきましょう。
②外道ビートとは何者だったのか
では、遊戯王における【外道ビート】について解説していきますが、リストなしで解説というのも不毛です。
そこで筆者が当時の記録(遊戯王2ch本スレwiki様より)をもとに遊戯王ニューロンにてリストを組んでみました。というわけでドン。
まず目を引くのはEXデッキ0枚という構築。これは現在でも【0帝】や【真竜】などのデッキでまま見られる現象ですが、これはおそらくデッキ製作コストの削減が目的でしょう。
それもそのはず。【外道ビート】のコンセプトは「始めたばかりでも、上級者とのデュエルを楽しんでもらえるデッキ」。
特に2009年当時がシンクロ隆盛期だったことを考えると、高額なEXデッキに頼らずメインデッキだけで戦えるデッキ構築としたのはターゲティングに即した構築であると言えます。
さて、ではメインデッキはどのような構築になっているのか。モンスターは優秀なステータスと効果を持つ下級モンスターが揃っており、アドバンス召喚(生け贄召喚)が必要な上級モンスターは不在。
特に目を引くのは《白い泥棒》。相手にダメージを与えると相手の手札を一枚捨て去るというシンプルな手札破壊モンスターですが、マナコストの概念がなく、リソースをほぼ完全に手札に依存する遊戯王におけるハンデスという行為は、それだけで勝利に繋がるほどに強い行動です。
その隣にいるのは《霊滅術師 カイクウ》。このカードは場にいるだけで相手の墓地をコストにする能力を阻害する効果に加え、戦闘ダメージを与えると相手の墓地のモンスターを2枚除外します。遊戯王の展開は墓地コストや蘇生が絡むのが常。これらを大きく牽制できる《カイクウ》はこのデッキの強力なメインウェポンでした。
他にも《異次元の女戦士》《魔導戦士ブレイカー》《オネスト》といった盤面処理に長ける有力なモンスター達が多数投入されており、総じてカードパワーの合計値は高いと言えるでしょう。
では魔法罠はどうか?
こちらは《月の書》《収縮》《地砕き》《地割れ》《強者の苦痛》《王宮の弾圧》《神の宣告》といった、対モンスターにおいて強力な効果を発揮する魔法罠がズラリ。一枚だけ投入された《サイクロン》によって、いわゆる「詰み盤面」の打開もある程度可能。
総じて、「モンスターを召喚して魔法罠でサポートしながら殴っていき、相手の盤面とリソースを削って差をつける」という遊戯王の基本に忠実なデッキであり、まさに「始めたばかりでも、上級者とのデュエルを楽しんでもらえるデッキ」であり、完成度の高いデッキリストと言えるでしょう。
こうして出来上がった外道ビートを池っち店長は当時自身が運営していたブログや動画サイトで積極的に宣伝すると同時に、同じく経営していた大手カードショップ「カードキングダム(通称・カーキン)」にてデッキ単位でのパッケージ販売を実行。
今でこそTCGを取り扱う配信者なんて星の数ほどいますが、当時としてはこのインターネット(特に動画)を利用したプロモーションっていうのがめちゃくちゃ画期的で、結果として【外道ビート】の名はカーキン、そして池っち店長の名前とともに年代の若いインターネットネイティブ層のプレイヤーに広く知れ渡ることとなります。
これに関してはネタ抜きで先見の明があったと思いますよ。マジで。
③領域外からの刺客
しかし、外道ビートはその人気と完成度とは裏腹に、目立った成績を残すことなく、そのまま何度か池っち店長本人の手で改良されながらも、いつしかパワーインフレに飲み込まれて姿を消します。
あれほどの完成度を誇るデッキがなぜ思うように活躍できなかったのか。
その背景には環境にいるとあるデッキタイプの存在がありました。
それこそが外道ビートの生き写しとも言える上級者向けデッキ、【メタビート】です。
こちらに関しては詳細なリストを載せることができないんですが、と言うのも【メタビート】はその名の通り、「環境上位の連中にメタを張りながら(対策しながら)ビートダウンしていく(殴っていく)デッキ」なんですね。
そのため環境次第では先週と今週でリストの内容が10枚以上違うなんてのはザラにある話で、先週の優勝構築を丸パクリしてもカジュアル・フリー環境で全然勝てないなんてのはもうしょっちゅうなわけですよ。だってカジュアル環境にメタ張れてないんだもん。
そしてこの「メタゲームに合わせてリストを適宜組み直して戦う」という性質上、初心者が使うなんてもってのほか。ましてフリマサイトでのパーツ売りならともかくカードショップが構築済みデッキとして売り出すなんて「自分たちはカードゲーム知りません」と自白してるに等しいくらいに論外なわけです。
そんな高難易度デッキと、初心者向けデッキである【外道ビート】のどこが似ているのか。
構築?
プレイング?
いいえ、答えは非常にシンプル。
「相手の行動を阻害しながら少しずつライフを削っていく」という基本理念です。
構築やプレイングは結果として似通いますが、本質ではないわけですね。
このあたりは池っち店長も自覚的であったようで、先ほどのゲートルーラー公式サイトでも外道ビートを(いわゆるメタビート戦略)と紹介しています。
じゃあ【外道ビート】と【メタビート】は同じなのか?それは違います。
だって冷静に考えてくださいよ。先述の通り、【外道ビート】は池っち店長が2009年ごろに遊戯王で開発し、紹介することで他TCGにも一般化したアーキタイプとされています。
一方で【メタビート】は2004年に【ノーカオス】として注目されて以来、【スタンダード】【アサイカリバー】など名前と姿を変えながら常に環境に姿を見せていたアーキタイプです。
もし【外道ビート】と【メタビート】が同じだとするなら、池っち店長は「5年も前から存在していた有力なアーキタイプを自身の代表作だと喧伝するちょっとアレな人」となってしまいます。まさかカードショップの経営者が自店舗で取り扱うゲームの環境を一切知らないわけでもなし、やや誤読しやすい表記ではありますが、【外道ビート】と【メタビート】は似て非なる戦術と考えるのが自然でしょう。
しかし一方で構築理念が寄っている【外道ビート】に【メタビート】と同じ弱点が存在してしまうのも事実。
以降では当時の【メタビート】にも触れつつ、「なぜ【外道ビート】はガチ環境で結果を残せなかったのか?」「なぜ【外道ビート】は歴史の陰に隠れてしまったのか?」について触れてゆきますので、この両者が似ている、ということは念頭に置いておいてください。
④外道ビート、環境での凋落
先ほど筆者は「【外道ビート】には【メタビート】と共通した弱点を持つ」と述べました。ではその弱点とは何だったのか。
第一に、盤面を捲る力がないことです。
【外道ビート】はまず最初に《強者の苦痛》《王宮の弾圧》といった永続で盤面に影響を与えるカード、または《月の書》のような相手モンスターの動きを阻害できるカードを構え、相手の動きを十分に妨害したうえで除去カードを的確に切って少しずつ盤面有利を取っていく、というゲームメイクが必須になります。
と、ここで遊戯王に触れたことのある人なら何となく気づくと思うんですが、このデッキのゲームプラン、実は「先行を取ること」を前提にしています。
確かに地割れ地砕きといった手打ちできる強力な除去カードを多数採用していますが、それで除去できるのはあくまで一体だけ。モンスターたちによる除去は召喚⇒攻撃というアクションを挟む必要があり、しかも1ターンに除去できるのはやはり一体。
特に第6期、シンクロ隆盛期の2009年当時、連続シンクロ召喚によるワンショットキルや盤面制圧が頭角を現す中で、この爆発力のなさは致命的。【外道ビート】は後攻を取ってしまうとどうしても勝つのは難しいデッキであり、マッチ戦が主要レギュレーションの競技環境では、どうしても活躍できませんでした。
しかし【外道ビート】とは裏腹に【メタビート】はその後も環境に一定の影響力を見せます。
【次元エアトス】などはその最たる例であり、筆者も好きなデッキです。この【次元エアトス】はモンスター効果を永続的に無効化する《スキルドレイン》、墓地に落ちるカードを永続的に除外する《マクロコスモス》《次元の裂け目》と言った強力な誓約を自分と相手に課すカードを取り入れ、主軸にすることで、有無を言わさない盤面支配力を発揮しました。
特に《スキルドレイン》は後攻での相手モンスター対策としても優秀で、実質的な捲り札としても機能していました。
「じゃあ【外道ビート】も《スキルドレイン》を取り込めばいいじゃん!」と思った貴方は半分正解。確かに【外道ビート】も構築理念が【メタビート】と共通している以上、同じように強化すればいいというのは一般的な考え方です。
しかし結論から述べると、それは不可能です。そしてそれこそが、【外道ビート】の抱えるもう一つの弱点。
すなわち【外道ビート】、モンスターカードへの依存度が高すぎるのです。
【外道ビート】のモンスターカード枚数は40枚中22枚。単純に考えて初手五枚のうちに3枚モンスターカードを引く計算になりますが、何枚引こうとこの構築ではモンスターを出せるのは1ターンに一体のみ。
ひどいときには折角先行とっても初手五枚モンスターカードで一体だけ伏せてターンエンド、なんてこともあるわけですが、こんなん実質1ターンパスしてるようなもんです。そしてマナコストのない遊戯王において1ターンパスという行為は即死級の大罪と言っても過言ではありません。
池っち店長曰く【外道ビート】は「相手を事故らせるデッキ」とのことですが、【外道ビート】側が事故ってGGなんてことも普通にあったわけですね。
ましてこんなデッキで《スキルドレイン》なんて使おうものならもう悲惨。強力なモンスターたちはどこへやら、攻撃力2000以下の紙ゴミ集団が出来上がったうえにこちらのライフは1000減ります。対戦相手に新手の投了と誤解されてジャッジを呼ばれても何ら不思議ではありません。
なお余談ですが、【次元エアトス】に投入されるモンスターは基本的に《エアトス》《バルバロス》の二体六枚のみ。それぞれ攻撃力はスキドレ下で2500と3000を誇る優秀なスタッツを持ち合わせた優秀なアタッカーです。
「じゃあ《マクロコスモス》の方は?」と思った方、どうぞその調子で当時のカードプールとにらめっこしながらデッキ改造を進めてみてください。最終的にあなたの手元には立派な【次元エアトス】が握られています。
言い換えると、「相手の行動を縛って殴る」という方向性では、どうしても突き詰めると【次元エアトス】になるわけです。いかに【次元エアトス】が研ぎ澄まされた構築だったかが分かります。
じゃあ逆に【メタビート】にはない【外道ビート】の強みを突き詰めればいいと思ったかもしれません。
【メタビート】にない【外道ビート】の強みは、なんといっても戦闘の強さと相手のリソース潰し。特に《白い泥棒》《カイクウ》を使ったビートダウンプランは決まれば強力です。
なお、ここで遊戯王のルールについておさらいしますが、遊戯王において攻撃が許されるのは後攻1ターン目以降ですので、先行を引いた【外道ビート】は殴ってリソースを潰すことができません。無情。
じゃあ後攻を取って攻撃すればいいじゃないかと思ったかもしれませんが、遊戯王において攻撃という行動は罠カードを踏むリスクと直結しています。なのであらかじめ相手の伏せカードを除去してから攻撃するのが定石なわけですが、【外道ビート】の伏せカード除去は《サイクロン》一枚のみ。
なにより相手に先行を取られている以上こちらも手札を使ってその盤面を超える必要があります。モンスター相手には収縮、魔法罠にはサイクロン、と二枚、三枚と除去を切って攻撃に成功したとて、《白い泥棒》でハンデスできる手札は1枚。《カイクウ》で除外できる墓地は二枚。明らかにリスクリターンが赤字です。リソースの差をつけるとは何だったのか。
あとは順当に返しのターンでに展開力の差を叩きつけられて泣かされるのがオチです。
まとめるとガチ環境における【外道ビート】は、
先行を取るプランでは【次元エアトス】及び【メタビート】の劣化。
後攻から殴っていくプランでは捲り力が不足しているためリソース的に不利。
それらとは関係なしに手札事故の危険性があるため特別安定するわけでもない。
という三重苦を抱えており、活躍するのは難しかったわけです。
しかしこれは外道ビートが弱かったことを意味するのではありません。
むしろシンクロ環境において急速なインフレが進んだ結果、一年以上前の【アサイカリバー】からなにも変わっていない堅実なゲームメイクをするデッキではついていけなくなった、というのが真実なのです。
池っち店長も2019年10月10日、自らのツイートのリプ欄でこう述べています。
シンクロに始まり、エクシーズ、リンクと年代を経るごとにインフレしていく遊戯王環境。あらゆるカードゲームが多かれ少なかれインフレしていく以上、今更遊戯王のそれの是非に関して問うのはナンセンスでしょう。
けれど、加速する環境の中で結果を残せなかった【外道ビート】が、遊戯王から離れようとしていた現役プレイヤーや、離れてしまった復帰勢を遊戯王に繋ぎとめたのはきっと事実なのです。
遊戯王OCGの販売規模を考えれば、本人の何千、何万人という人数も、あながち誇張とは言い切れないでしょう。
なお、【外道ビート】の当初のコンセプトは「始めたばかりでも、上級者とのデュエルを楽しんでもらえるデッキ」です。
いや深い意図はないんですけどね?
⑤カジュアルの貴公子・外道ビート、その光と影
しかし前段をひっくり返すようではありますが、実のところ当時のカジュアルプレイヤーからの【外道ビート】の評価はあまり芳しくない傾向が目立ちます。
古くから続く池っち店長と遊戯王プレイヤーの確執の結果、と言うことはできません。かの御人と我々遊戯王プレイヤーに決定的な溝が生まれる出来事は、もう少し後の時代、エクシーズ召喚が実装されてラヴァルバル・チェインが環境で活躍するのを待つことになります。
ではなぜ【外道ビート】の評価がカジュアル勢からも低いのか。それは【外道ビート】の抱える性質と、遊戯王カジュアルプレイヤーの持つ性質が相いれないものだったのに由来します。
これはよく指摘されるのですが、遊戯王の魅力にはその競技性とは別に「なりきり・ごっこ遊びグッズ」としての側面に魅力があると考えられているのです。特に競技シーンに身を置いていないカジュアルプレイヤー間ではそれが顕著で、彼らが中心となる環境では、勝ちを見据えた堅実なデッキよりもアニメさながらの派手な面白コンボを決めるデッキのほうが受け入れられやすいのです。
余談ですが、遊戯王が他TCGに比べていわゆる「ガチ・カジュアル論争」が活発になりがちなのはこの性質が関係していると言われています。
そこで【外道ビート】はどうかというと、このデッキは面白コンボとは無縁どころか、むしろ相手のコンボをさせないことで勝利を見据えるデッキです。
この性質から、【外道ビート】はむしろその本来のターゲットであった初心者や復帰勢といったカジュアルプレイヤーから逆にヘイトを集める結果となってしまったのです。
また、【外道ビート】は使われる側だけでなく、使う側にも苦難を強いました。
というのも、この【外道ビート】、運用にリソース管理や枚数ゲーといったカードゲーマー特有の観点を要求するため、いざ完全な初心者が使っても、結局訳が分からず負けてしまうという緊急事態が発生。
MtGをはじめとする他のカードゲームを遊んでいた人に使わせるならともかく、「遊戯王からカードゲームに入ろうとするキッズや入門者」にとって、【外道ビート】は奥の深すぎるデッキだったのです。
そしてそれ以上の最大の問題。それは、本来初心者に向けて「安く組めて強い」を売りにしていたはずの外道ビートが、その人気によって高騰し、結果として非常に高価なデッキになってしまう本末転倒を起こしてしまったことです。
実際に当時のカードキングダムでパーツをそろえようとした場合にいくらになるのか。冒頭で紹介したデッキリストを記録していた遊戯王2ch本スレwiki様にて、その金額も記載されていましたのでスクリーンショットを添付いたします。
はいドン。
《ライオウ》は元からこんなもんでしたが、ほかのカードは軒並み当時の相場の3倍ほどと言われる暴騰っぷり。
注目すべきは《白い泥棒》。池っち店長によって見出される以前のこの戦闘ダメージがトリガーの癖に攻撃力が1000しかないカスノーマルカードは50円ストレージで見られるようなカード。それが900円ということは、約18倍にまで値段が跳ね上がったということ。(まあ18倍はさすがにそうそうないですが、このカードに限らず思いもしないカードが値上がったり値下がったりなんてよくあるんで、投機目的で素人がカードなんて買うもんじゃないっす。マジで)
これが環境第一線でバリバリ活躍しているデッキならまだわかります。しかし繰り返しますが【外道ビート】は初心者をはじめとしたカジュアルプレイヤーを目的にしたデッキ。こういった立ち位置のデッキがここまでの暴騰を見せた例はそうありません。
なお、カード単価が安い遊戯王の環境デッキは基本的に25000あればよっぽど組めます。
これに関しては池っち店長本人も嘆いていました。「本来安く組めたはずの【外道ビート】があまりの人気で値上げしなければ立ち行かなくなってしまった」と。
そのせいで「カードキングダムはこのデッキのパーツを買い占めて不当に値段を吊り上げた」という心無い悪質なデマまで出回ってしまったそうです。
嘆かわしい話です。
例え池っち店長が初心者向けとして人気を煽り、一般的に無茶と言える高価買取と売り出しを繰り返し、本来ありえない値上がり方をしたとしても、それらはすべて池っち店長が【外道ビート】を初心者に供給するため。けっして商売が壊滅的に下手だったわけでも、まして意図的に値段を吊り上げたわけでもないのです。
まあ冷静に考えたら買取と売り出しのサイクルでの値上がりってショップ側が利益率を固定してれば、一定以上に煮詰まると値段が固定されるものなんでこんなに値上がるのは自然には考えづらいんですが、そこは一般プレイヤーである我々からは想像のつかない何かしらの事情があったのでしょう。
ちなみに天下のカードキングダムでさえそんな有様だったわけですから、ほかのカードショップでは【外道ビート】のパーツは品薄も品薄。複数件のカードショップを練り歩いて、デッキが完成する頃には15000円以上も費やしていたなんてことはザラにあったようです。
………………ん?
⑥まとめ。おわりに。
まとめると【外道ビート】は、競技環境では【メタビート】の劣化として扱われ、カジュアル環境では塩デッキとして煙たがられながらも、復帰勢や既存プレイヤー、他TCGから流入してきたプレイヤーに、その多大な資産と引き換えにカードゲームとしての楽しさを見せた傑作デッキと言えます。
確かに賛否が分かれるデッキではあるんですが、今なお【外道ビート】というと「ああ、あの池っち店長の………」という言葉とともにプレイヤーの記憶を一定以上喚起するデッキであることに間違いはなく、数多のデッキが現れては消える遊戯王という長い歴史を持つTCGに残した印象は強烈なものだったと言えるでしょう。よかれあしかれ。
そんな【外道ビート】がこの度ゲートルーラーの世界に新規カードたちとともに実装される、ということで筆を執らせていただきました。ここまでお付き合いいただいたお歴々が、少しでも笑顔になれたのならば幸いです。
そんなゲートルーラー版【外道ビート】こと、「DX構築済みデッキ・外道ビート」は2023年6月16日発売。定価3620円(税抜)。メーカー受注は4月24日までとなっています。
ゲートルーラーの世界においても【外道ビート】がその強烈な印象を植え付けることを願いながら、此度は筆をおかせていただきます。
では。
※本noteは池っち店長を誹謗中傷する意図はなく、またTCGゲートルーラー及び関係各所様に対して悪意を持って不利益を被らせる意図はございません。ご了承ください。
おまけ
このNote執筆中に、「ゲートルーラー版外道ビートって強いの?」って話になったときの一幕です。
~完~