グロースアナリシス101 - プロダクトユニークネスから考えるアクティブの定義 1/4
プロダクトグロースに必要なアナリスト向けのスキルの基本的な視点をまとめるノートです。主にデータアナリストなりたての方、PdM/PMとしてデータも毎日見ているような人の参考になればと思い書きました。プロダクトグロースを考える上で大事なグロースアカウンティング、リテンションそしてスティッキーネスなどについて分けて書いていきます。今回はアクティブの定義について書きました!
こんにちはJorgeです!Twitter@jorge_itoとNoteをはじめてみました。新年の抱負をQ2に巻き返していきます。普段は海外に住んでいて、Tech系の会社でデータ分析しています。
統計手法や可視化などのブログポストはよく見かけるのですが、グロースアナリティクスってあまり見かけないし(リーンアナリティクスとか?)定義も結構人によってまちまちだったりするんですよね。
なので一度私自身よく整理できていない箇所なので良い機会と思いノートにまとめることにしました。外資系に長年勤めているので言葉の選び方がルー大柴さんみたくなってしまっているところはキープインマインドでお願いしますw
グロースアナリティクスとは
グロースと一言でいっても様々な指標が浮かんできませんか。月間アクティブユーザー、登録者数、売上などなどグロースという言葉には解釈の多様性があるんです。
私見ではあるが今回取り上げるグロースアナリシスはデータアナリストが持つべきコンセプトであると思ってます。データアナリストが日々の指標からプロダクトグロースと理想的なサービスの提供ができているのかを公平にジャッジし、プロダクトの改善に役立てていくためのコンセプトと言えるかな。
このコンセプトには大きく4つのステップがあると思います。(1)プロダクトユニークネスの把握 (2)グロースアカウンティング (3)リテンション (4)スティッキーネス。この4つのステップを今後の複数のNoteでまとめていくので興味ある方はTwitterや次回Noteをお待ち下さい!
プロダクトユニークネス - アクティブユーザー
まずはプロダクトが提供するバリューをPdMと話し合い明らかにしましょう。このバリューからデータアナリストは適切なアクティブユーザーの定義/達成させたいイベントの定義/フリークエンシーを定義していく必要がります。
例えばスキンケア系D2Cプロダクトを運用しているとしましょう。ここではウェブサイトにアクセスしてきたユーザーがスキンケアプロダクトを購入できる。プロダクトのバリューとしては"個人向けにカスタマイズされたスキンケアプロダクトを店頭に向かうことなく届ける"こととしてみましょうか。
ここにおけるアクティブユーザーはどのように定義するか?ウェブサイトにアクセスし、ログインしたユーザーをアクティブとするのか?ログインしてなにかしらページ遷移したユーザーをアクティブとするのか?はたまた製品メニューを開いたユーザーをアクティブとするのか?
このようにまずは指標に対する疑問を投げかけてもっと解像度を高めてみましょう。私見ではあるがアクティブの定義とはプロダクトが提供したいバリューへのファーストステップとして見てます。この点を考慮すると上記サービスではアクティブの定義をアクセスした上で製品メニューを開く、マイページ通知を確認する(通知確認後30秒滞在とか)などを候補として考えることができるかなと。(とはいえアクティブはログインしたユーザーという考えは広く知れ渡っているので、ミーニングフルアクティブという狭義のアクティブユーザーの概念をチーム内を持つことも効果的だとおもう)
もちろんファネルアプローチを考えるとアクセス数そしてログイン数も大事。しかしそれは購入ファネルの改善を検討する上で都度確認するべきだと思う。
プロダクトユニークネス - 達成させたいイベント
プロダクトで達成させたいイベントを組織内で共通認識として持つことも大事。例えば上記D2Cならば購入は達成させたいイベントですかね。しかしユーザーのステータスによってこれも多角的であるべきだと思います。
例えば既にサブスクリプションに加入しているユーザー向けには達成させたいイベントはニュースレターを読んでもらうこと、もしくは新製品をチェックしてもらうこととか。(そうすることでプロダクトエンゲージメントが高まる)また、新規ユーザーにはサブスクリプションに加入してもらうことがイベントとか。
プロダクトがまだMVP段階である場合は達成させたいイベントを一つに絞り、成熟するにあわせて増やして行くべきだと思う。しかし3つ以上は大抵把握しきれなくなるので取捨選択はきっちりしましょう。個人的にはあなたのマネージャーが翌週に忘れていたらそれは多すぎですw
プロダクトユニークネス - フリークエンシー
次はフリークエンシーについて考えます。これも提供したいバリューによって変わってきます。Lineのようなメッセージアプリであれば毎日使ってもらいたいのでデイリーでアクティブユーザーをみるのは大事。ではUber foodのようなフードデリバリーサービスならどうだろう?コロナの需要を一旦おいておくと、週に一度の食事をデリバリーに置き換えるところを起点に考えるとウィークリーでアクティブユーザーを見るべきだと思う。
ここで疑問を持つ人もいるかもしれない。なぜメッセージアプリならデイリー、フードデリバリーならウィークリーといえるのか?もちろんユーザーによってはヘビーユーザーがいて毎日デリバリーを頼む人もいれば、週に1回しかメッセージを使わないユーザーだっているはず。
どのようにプロダクトの理想的なフリークエンシーを決めるのか?これは大きく2つのアプローチで決めるべきだと思う。
一つはPdMによるプロダクトビジョンだ。PdMがプロダクトがあるべき姿を想像し、その理想的な使用方法から逆算して考える。例えばゲームのデイリーログインボーナスはPdMが毎日ゲームで遊んでほしいから毎日施策を設計しているんだろう。
もう一つの方法はプロダクト使用開始から達成させたいイベントまでの間隔から逆算する方法。例えばPinterestであればアカウント登録時から写真をピンするところまでを考えてみる。ユーザーごとにで登録時から写真をボードにピンするところまでの間隔を計算する。私見ではあるが一度のイベントではノイズが大きいのでイベントを2〜3回実施したタイミングで間隔をみるべきだと思う。
ユーザーごとにこのLoginからEventまでの間隔をDurationとして集計していく。下記画像はRand()とさじ加減で作った適当なデータ。
このようなデータを元に全体の7〜8割くらいのユーザーがどの程度の時間で複数回のイベントを達成できるのかをみていく。
このように見ていくことでユーザーがどの程度の期間で求めるイベントを確実に実行してくれるのかをみていこう。ここで約7〜8割のユーザーが二度以上イベントを実行した間隔が24時間程度であればサービスは日次で使ってもらうことを前提とすべきだし、アクティブユーザーはデイリーアクティブを基本的な指標とすべきだろう。また、間隔が一週間あたりであれば週次で見ていくべきだろう。リアルデータであればもっとカーブの立ち上がりが早いと思う。
まとめ
アクティブユーザーという何気なく使ってる指標についてまとめてみました。アクティブユーザーの定義はプロダクト、そしてその成長フェーズによって変わってくるものだと思う。ただそのアクティブを定義づけるイベントは何なのか?バリューに紐づくものなのか?そして定量的にアクティブを定義づけるにはどうするのか?というコンセプトはデータアナリストがプロダクトを分析する上で必須だと思われる。
次回は更にグロースアカウンティングについてまとめたいと思います。具体的には月間アクティブユーザーのブレイクダウンをしていきます!