東京都写真美術館に行ってきた
東京都写真美術館に行ってきた.
絵画を見に美術館に行くことはよくあったけど,写真美術館は初めてだったし,そもそも写真美術館なるものが東京にあることを知らなかった.
知ったきっかけは,『光と影の芸術―写真の表現と技法』という本を買ったことで,この編者が写真美術館であった.
この日は,3つの展覧会がやっていたので,「風景論以後」と「即興 ホンマタカシ」を見てきた.
この記事では,本写真展を鑑賞して考えたこと・思ったことを率直にまとめるにとどめる.
風景論以後
そもそも風景論って何!?
なるほど,風景論とは,「風景だけでなく,その風景を鑑賞する人間や撮影する人間の心理や,さらに地理学も統合して論じようとすること」なのかと解釈した.
本展覧会は,現代の風景論 (2020年~) →高度経済成長期(1970~1990)→学生運動(1968年前後)→風景論の起源 (1970年前後)と,徐々に時代を遡るように当時の情勢と風景を作品を通じて鑑賞していく体験となっていた.
最初の展示は,現代の写真家の展示から始まり,徐々にディープな風景論の世界を体感できるような構成となっていたのかと,これを書いている今気づいた.
現代の風景写真として取り上げられていたのが,笹岡啓子さんの作品だった.
現代の写真と,おそらく戦後の広島の写真をモンタージュした作品がとても印象的だった.当時の映像とそれを見る鑑賞者としての自分を移したような作品で,まるで作品を見ている自分自身を見られているような感覚を覚えた.移りゆく時代と,人間の心,その場にある風景を一つの作品として統合した作品だと思った.
以下,笹岡さんのポートフィリオも発見したので貼っておく.
もう一人,印象に残ったのが清野賀子さんの作品.
どこにでもありそうな写真だけど,どこな懐かしく見入ってしまうような作品だった.
(彼女の写真は,高度経済成長期(1970~1990)の写真として展示されていた.)
即興 ホンマタカシ
本展の作品は,建物の一室をピンホールカメラに仕立てて撮影された.この着想は,カメラ・オブ・スクラムから得ている.カメラ・オブ・スクラムは,ラテン語で「暗い部屋」を意味する用語.原理はピンホールカメラと同じで,被写体の各点で乱反射した光線のうち、空間にあるピンホールの一点を通る光線のみを選び出し、平面に投射することで射影された像を得る、というものである。
この「暗い部屋」はやがて持ち運び可能な部屋,すなわちピンホールカメラとなり,さらに今日のカメラへと発展していったが,ホンマはその発展と逆のルートを辿り,持ち運び不可能な「部屋」そのものによって撮影を行うことに関心を寄せていた.
(wikipedia, 展覧会紹介文をもとに要約)
以下,展示されていた作品.(撮影OK).
所感としては,ホンマさんが本撮影手法を通じて何を表現したかったのかはわからなかった.単純に興味なのか,伝えたいメッセージがあるのか.ただ,現代の撮影手法と逆行する古い撮影手法でもこんなに色鮮やかに取れるものなのかと驚いた.人を惹きつけるのは,写真の解像感だけではない,味わいがあるものなのだと感じた.
以上,二つの展覧会に行ってきた.鑑賞した直後はなんともよくわからない展示であったと思ったが,よくよく考え直してみると色々な発見や驚きがある展示だったと,本記事を書きながら思った.
余談) 恵比寿ガーデンプレイス内,宮越屋珈琲もとても良いカフェでした!
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