YTV漫才新人賞2024 感想・個人的採点

今年初めて興味を持ってytv漫才新人賞を見てみました。
今はどの賞レースもカッコ良い演出に全身全霊を込めてますね。関西色も打ち出された演出で素晴らしかったですし、賞レースの盛り上げ方の教本、のようなものがM-1から出来上がってきているのが感じられました。

ところで巨人師匠はこの大会の審査員も勇退してしまったのですね。若手の魑魅魍魎なネタをベテラン審査員が講評する構図は非常に魅力的なものでした。
ザコシ、パンク哲夫、岩尾、といった次世代の育成も必要だとは思うのですが、できれば師匠格の人達にも居てもらいたいです。


以下個人的感想/( )内は個人的採点/採点はあくまでも個人的な楽しみに留めて、慎ましく

ファーストラウンド

1.たくろう「戦隊モノ」 (90)
リンゴ:97 久馬:90 ザコシ:91 哲夫:92 岩尾:88 合計:458

たくろうは2018年の敗者復活がベストバウトで、あれ以降ずっとあのインパクトを越えられていないというのが個人的な印象。
両者ボケツッコミどちらもこなせるハイスペックなのですが、バンドがボケに回るとスパッとツッコミを入れる役割がいなくなり、結果ふわっとした展開がずっと続くことになるような気が。赤木がおろおろさせられる様は面白いし、そういう空気感が好きな人は好きなんだと思います。
また、このタイプのネタは結局赤木の大喜利待ちの時間が発生し、期待感がどんどん上がってしまうのでそれを越えられなかったとも思います。つかみもちょっとその感じがあったかな?
寧ろ、「フルーツなのに茄子を入れてしまった、、、」のような、展開は先に進むのに自己反省して先に進めないでいる時間の方が面白かったです。「死んだで」は最高でした。





2.ハイツ友の会「お酒とタバコ」 (85)
リンゴ:95 久馬:89 ザコシ:90 哲夫:90 岩尾:90 合計:454

私はタバコ吸わないし、お酒も言うほどは飲まないのですが、「分かる!」という目線でも「その視点はなかった!」の目線も持てなくて、どう見たらいいのか、、、
まず思ったのが、毒舌系が武器にしては少し切れ味が悪いのではということ。ありふれた所を切ることもありましたし、逆に「脇閉めろ」とかは、どこ切ってるんだそれはという感覚に。常に二人の会話でしかない(西野さんは完全に清水さんの方向いて喋ってますし)ので、こちら側が巻き込まれにくいのも一因でしょうか。つんくの曲のとこはみんな引き込まれたと思うんですが。
もう1つ、このタイプの漫才でテーマがお酒とタバコではちょっと社会悪すぎるのではないかということ。お酒はともかく、タバコは結構その線が強いので、ただの悪口に聞こえる瞬間も多々ありました。(それが切った場所の既視感にも繋がり気味)
ひらかた大菊人形はいくらなんでもニッチすぎたと思いますが、そういう新しい目線と感覚が欲しかったです。



3.空前メテオ「パティシエ」 (93)
リンゴ:92 久馬:94 ザコシ:93 哲夫:93 岩尾:95 合計:467

風呂敷の広げ方がデカすぎて時間不足な感はありましたが、突拍子もない発想をいかにも理論的に説明していくのが心地よかったです。関係ないことをこじつけて納得させて見ている側の心を掴むのが上手いですよね。確かに、と一瞬だけ思わせて大門さんのツッコミで現実に引き戻すことを繰り返していく、ボケのセンスのみならずツッコミの加減も問われる側面は大きいと思います。
ネタの中身は全く違いますが、かまいたちを彷彿とさせるようなところを感じました。個人的にはもう少し茶屋さんの方に落ち着いて欲しいのですが、言ってることがあまりにも狂気じみていると、落ち着きすぎはマイナスかもしれませんね。




4.バッテリィズ「世界遺産」 (95)
リンゴ:91 久馬:92 ザコシ:92 哲夫:95 岩尾:93 合計:463


エースがアホというキャラクターはどこまで浸透してるんでしょうか?前半結構丁寧に振ったなという印象を受けました。
オチの大仙古墳のところは(関西出身なので)「ここから30分ぐらいのところに」の辺りで読めてしまって、うわーっと一瞬思ったんですが、見ている側も同じものをイメージしている体で進んだことで、その分余計に面白かったです。
ただ、古墳の件もそうなんですが寺家さんが喋り続ける時間が長いので先回りしちゃうんですよね。エースの使う語彙も限られているので。ただ、それを上回るパワーはあります。



5.ぐろう「永久脱毛」 (89)
リンゴ:91 久馬:93 ザコシ:94 哲夫:94 岩尾:93 合計:465

話の展開が早すぎてついて行くのが大変でした。
色々な観点から様々なワードを繰り出してきていて、どんどん面白くなりそうな感じが出てきた時にはもう次の話をしているという感じが。
哲夫の講評では引き戻すところもあって、って事だったのでその波に乗れる人は乗れるし、乗れたら本当に楽しい漫才でしょう。詰め込み方的にもすごく賞レース向きだなと感じます。


6.ドーナツ・ピーナツ「朝のワイドショー」 (96)
リンゴ:93 久馬:90 ザコシ:95 哲夫:92 岩尾:91 合計:461

ボケのクオリティ一本勝負で、ハマらない人もいたかもしれないですが、爆発力はあったと思います。うーんこれダメですかねー。
ピーナツ(ボケがピーナツ?)は生意気で適当な憎たらしさがあって、それにドーナツ(どっちがドーナツ?)の激しいツッコミがぴったり合ってましたよね。残念ながらラストイヤー。



7.ぎょうぶ「デリカシー」 (91)
リンゴ:90 久馬:95 ザコシ:89 哲夫:91 岩尾:90 合計:455


「まだデリカシーまでいけてない」という一言は絶妙に面白かったです。基本的に為国さんが変人なのは誰が見てもわかるんですが、振り切った変人ではないので、それを上手く描写するのに長けたコンビだなと思いました。一方でこのネタの場合は2人とも自分の話をするターンがあるにも関わらず、設定上澤畑さんのターンで笑いが生まれていないのが気になってしまいました。
審査員から何度も聞かれた「この設定を笑っていいのか」「みんなにデリカシーありすぎた」というのは私は感じなかったのですが。というか、皆お笑い見る時そんなに良心持って真剣に見てるんですかね?



以上7組の対戦の結果、ぐろうと空前メテオが残りました。

最終決戦1組目はぐろう。

難癖つけ漫才、とでも言うのでしょうか。このタイプの漫才はある程度和牛が極めた部分があると思います。
難癖つける側の言い分にも「確かに」と納得できる要素がないと、ただの嫌な奴に終わっちゃうんですが、今回の家村さんのキャラはちょっと嫌な感じがあったかなー。
基本的に結婚式って世間的には嘲笑の対象とは看做されていないことが多くて、それを弄る側に回ってしまうと「嫌な奴度」が上がって、笑いにくくなるような。パワーバランスも完全に西高東低なのでひっくり返してくれるシーンも見られず。
フラッシュモブは弄る対象としていいと思ったんですが、コロナワクチンを比喩に持ち出すというムーブはちょっと分かりにくさを覚えました。

2組目は空前メテオ。

予選ラウンドや去年のM-1の3回戦でも披露した猫派犬派のネタ。
以前見た時にはなかった俳句の件はなくてもいいかなと思いました。一方で大門さんが茶屋さんの狂気に振り回されるリアクションを取りつつ、力強くナタを振るうツッコミは以前にはなかった2人の総合力だなと思いました。

結果は空前メテオが3-2の僅差を制し優勝🏆
まだ結成4年なんですね!未来が非常に楽しみなコンビだなと思いました。

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