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キングオブコント2024 感想・個人的採点
キングオブコント2024が開催され、ラブレターズの優勝で幕を閉じました。
すごく勝手なイメージで申し訳ないですが、過去4回出てることもあってかラブレターズって負け姿が印象に残りすぎていて、こうやって勝つ姿が想像できなかったコンビなので本当に驚きました。
煽りvでも言ってましたが、2011でロバートと戦ったコンビなんですよね。誰も知らない新人を発掘するのも賞レースの面白さの1つですが、芸歴制限がないからこその歴戦のベテランのカッコ良さが見られるのもKOCの大きな魅力ですよね。
TKO今年出てたみたいですが、また決勝で見たいな。アンジャッシュとかインパルスとかも出てくれないかな。
(敬称略/()内は個人的採点/採点はあくまでも自分だったらどうする、という楽しみ程度に/タイトルはオフィシャルを見つけたらその通りに書いてます)
1.ロングコートダディ「花屋」(90)
じろう:96 山内:95 秋山:94 小峠:94 飯塚:96 合計:475
→トップバッターからかなり高かったですね!!
最後の「まだマイナスです」はめちゃくちゃ面白かったです。
そこに向けて積み上げていくネタだとは思うんですが、その道中どこに主眼を置いて見たらいいのか難しく感じました。
兎の憎たらしさもあるんですが、堂前が毎回1色の花束持ってくるのもおかしいじゃないですか。基本的には兎のカスハラなんですが、黄色の花の件に関しては兎が正論側なんですよね。でも点数を見ると引っかかってたのは私だけなんですよねたぶん。
あと、ものすごく個人的なことなんですけど、ああいう嫌味なキャラって、キャラとわかっててもなんか嫌なんですよね。
和牛の水田とか、ぐろうの家村とか、、、
なんか、身の回りにいる嫌な奴を思い出して歯ぎしりが、、w
2.ダンビラムーチョ「四発太鼓」(88)
じろう:94 山内:94 秋山:95 小峠:93 飯塚:93 合計:469
→「4発しか打たない」と最初に言った時点で「すぐ4発使うか」「最後まで打たずに引っ張り続けてまとめて4発打つ」とかそういった選択肢は頭にあったので、意外性が感じられなかったかなあと。
勝手に予想して見るこっちが悪いのは明白なんですが、結構バカに振り切ったネタなので、その裏切りとか、ストーリーとかも凌駕した徹底的なバカが見たかったです。
合間のなんとも言えない顔とか、グダグダのペープサートとか、本筋以外のところの方が面白かったのが印象的でした。
3.シティホテル3号室「テレビショッピング」(97)
じろう:93 山内:92 秋山:94 小峠: 95 飯塚:97 合計:471
→最初は「頑なに値下げしない社長」がテーマか、と思いきや「台本にない値下げを食い下がるヤバい司会者」と思わせておいて、さらにその先に「ヤバい社長の台本の言いなりになっている司会者」構図があるのには驚かされました。
コントを見てるんだけど、一視聴者として自分も食い入るように見つめている瞬間があって、だからこそ台本がある裏切りというのが本当に強かったです。
テレビショッピングなので、商品を紹介して値下げする(させる)という構図の繰り返しになりますが、同じものを見せていても1巡目と2巡目でそれぞれ別の角度からのヤバさを、全く違う側面から楽しめる本当にワクワクするコントでした。
4.や団「休憩時間」(96)
じろう:96 山内:94 秋山:96 小峠:96 飯塚:92 合計:474
→カメラワークが気になるなーずっと。伊藤が中嶋を叩きつけた瞬間審査員席にカメラいってたし、その後のダンビラムーチョのコメントの時も一瞬浜田の顔映してみたり、、、
M-12010の審査員ワイプって個人的には凄くいい発明だと思うんですが、当時割と不評でしたね。スリムクラブのネタの時とか審査員たちがザワついてる様子が見られて面白かったです。
内容の話をすると去年の灰皿のネタに比べるとテクニカルな展開は減って、力業的な見せ方が増えたなと。ゴールデンの時間に尻の穴に指ぶち込むコントってなんなんだw
ここ2年どのコントも伊藤のストレートな狂気と、中嶋のサイコな裏側の狂気が上手くバランス取れてたのに対し、今年は伊藤側に振り切った印象です。それは笑いを詰め込むという観点から言えばメリットですが、厚みとか深みとかは失われたような気がします。
でもそれはそれで面白いんですよね。この3年どのコントも高純度でめちゃくちゃ面白いです。
5.コットン「おままごと」(86)
じろう:91 山内:93 秋山:93 小峠:93 飯塚:93 合計:461
→最後きょんが入ってくるのは分かってたので、そこは確かに面白かったですが、コスパが悪すぎるような気がします。
西村かなり長ゼリフ1人で回してましたが、「子供の遊びが大人びてる」という掴みの瞬間が面白かっただけで、それがあの子供の「普通」になった瞬間にそれ以降全部ボケじゃなくてただの「お話」に見えてしまったんですよね。
(そこで裏切るネタでは無いので当然ですが)中身もよくある少女漫画的展開だし途中の裏切りも爆発もないまま最後まで行ってしまったなーと。
6.ニッポンの社長「新入部員」(95)
じろう:92 山内:93 秋山:95 小峠:96 飯塚:92 合計:468
→脳筋なネタですねーw完全にドリフの世界で原始的ですがやっぱり面白いですね。
彼らが繰り返しネタをやるのが分かっているからこそ、次は何を壊してくれる?まさかウォータークーラー?次はベンチ?壊すなよ?絶対壊すなよ?という感じで見てしまいました。
繰り返しネタや、バラシの初速が強いネタでよく言われる「そこがピーク」というのは永遠の課題の一つだと思うんですが、それを勢いとバカバカしさで超えていく、というのは去年の空港のネタにも通じる1つの最適解なのではないかと。
7.ファイヤーサンダー「毒舌散歩」(91)
じろう:95 山内:95 秋山:94 小峠:94 飯塚:98 合計:476
→めちゃくちゃいいバラシでしたね!
さっきから勝手に展開を予想しておいて、裏切りがなかったとか文句言っちゃってますが、この展開は全く予想できませんでした。完全に捕まえに来たかと思いましたからね。警察に「来て」というトリックも素晴らしかったと思います。
彼らも溜めが長いので、初速を以下に超えるか、落とさずオチまでいけるかというのは付きまとうテーマなのですが、飽きさせない展開の連続や強いワードがしっかりとあって最後までペース落とさずにいけてるのも高評価の一因だと思います。
バラシ前の部分で、「お笑い芸人としては悪口のクオリティ低くない?」という思いがあったのですが、それもしっかり処理してくれて気持ちよかったです。
8.cacao「部室野球」(94)
じろう:94 山内:91 秋山:93 小峠:95 飯塚:95 合計:468
→関西なんですね!名前は知ってたんですが初見だったので見た目とか雰囲気から完全に関東の人達かと思ってました。
煽りvで言っていた通り、会話やストーリーや大喜利的なボケではなく、リズム感一本勝負のネタでとても面白かったと思います。BPMが上がっていくにつれて笑いも増幅していくのは素晴らしかったです。ただそれだけだとよほど突き抜けないと現審査員陣の心に響かせるのは難しいかな?こういうタイプのコントは優勝しにくいと思います。
審査員からはこのネタにさらにストーリーをという声があってそれはそれで一理あると思います。実際野球部なのに2人しか部員が居ない、というとこに疑問は残りますし。他の部活ならなくもないと思いますが、野球部ですし。
ただ、このネタに限ってはそんなことは一旦忘れて5分間の全力疾走を楽しみたいなーと思いました。
9.隣人「チンパンジーとおじいさん」(92)
じろう:92 山内:91 秋山:92 小峠:92 飯塚:91 合計:458
→またチンパンジーw
去年ファースト通過していればファイナルでこれやる予定だったと思うんですが、同じ日に2本チンパンジーやるのに比べると1年越しはちょっとフリになってないのが残念でした。
「今すぐ出ていく感じですか?」とか、急に直立するシーンとか秀逸なものはいくつもありましたが、去年の猿落語と比べて設定の目新しさとか、展開の意外さとかも少なかったように思います。チンパンジーが落語ってのは完全フィクションですが、賢い動物の設定ってここまでではないにせよ現実にある設定ですからね。現実に落とし込むにはファンタジーすぎるし、フィクションに浸かるには振りかぶりきれていないのが勿体なかったように思います。
でも、諦めずに来年もチンパンジーで挑戦して欲しいな。
10.ラブレターズ「光」(93)
じろう:95 山内:95 秋山:94 小峠:96 飯塚:95 合計:475
→山内だったかな?審査員講評でもありましたが、感情表現がオーバーすぎて最初は着いて行けませんでしたが、その過剰な演技で見ている側を引き込むだけのパワーがあって素晴らしかったです。明確なボケツッコミで進んでいくコントじゃない上に、引きこもっている本人ではなくそれを見守る両親に焦点が当たっているので、見ている側に感情移入させて引き込んで描いていない人物や時間的背景も想像させないといけないので、その点で大成功でしたね。
袋いっぱいのどんぐりばらまいたシーンは最高でした。予選のレギュレーションに舞台を汚さないことみたいなのありませんでしたっけ?w
ファイナルステージ
1.ラブレターズ「海岸」(96)
じろう:94 山内:96 秋山:95 小峠:94 飯塚:93 合計:472
→設定がめちゃくちゃで凄いですねこれ。
次から次に新しい設定を出し続けては回収することも無く、最終的には坊主の女が歌を歌いながらバリカンをして、その後ろで金髪の日本語喋れる外人が魚を釣ってるという、、、
起承転結もない、転転転転のまま突っ切った5分は面白さだけでなく、やりたいことをとにかく詰め込んだというワクワク感もありましたし、それで優勝というのはカッコイイですね。
今の審査員の1部は、5分に5分以外の描かれていない部分のストーリーを求め、そこで起こっている現象に意味を求める傾向が強いので、それを凌駕していったのは凄いことだと思います。講評ではそこに触れられていましたが、結果的にはここから優勝ですからね。
2.ロングコートダディ「遺跡」(93)
じろう:95 山内:95 秋山:96 小峠:93 飯塚:92 合計:471
→ファーストステージはラブレターズと並んで同率2位でしたが、ロングコートダディの方が後にネタ披露。
2組の得点を比較した時に、山内と秋山は同点(94)を、小峠はラブレターズの方に高得点(94/96)を、じろうと飯塚はロングコートダディの方に高得点を(96/95)つけました。それにより順番が決められたのではないかと想像します。
遺跡にモニター?と思いましたが、コント内での登場セットではなく、見ている人のために説明するためのモニターというのは斬新で驚かされました。
ただそれ以降細かい笑いが主で、大きな爆発がないまま進んでいってしまったのが勿体なく思います。
堂前が古代語にちょっとした共通性を見いだしているシーンがありましたが、そこからふたりが会話するとかもう少し別の展開も見たいような気がしました。
3.ファイヤーサンダー「野球部と不良」(93)
じろう:93 山内:94 秋山:93 小峠:95 飯塚:94 合計469
→ニッポンの社長の件があった上で暗転を繰り返すネタを持ってくる度胸が凄いと思います。今回はそんなに関係ないのではというコメントが多かったですね。
暗転することによって、ストーリーをぶつ切りにして見せることになるので毎回今どの時系列か説明していかないといけないんですよね。暗転を繰り返すなら1シーンに入れ込めるボケは基本的に1つですし、相当なパンチ力がないといけないと思います。そこに至るだけの爆発はなかったのでは無いかなあと感じました。
ということで、ファースト2位のロングコートダディも、1位のファイヤーサンダーもラブレターズの点数を抜けずに優勝はラブレターズとなりました🎉🎊
今回ファーストの平均得点が470と過去最高となり、かなりハイレベルな戦いだったことが窺い知れます。実際470以上とった人たちに大きな差はなかったと思います。ちょっと間違えばや団やシティホテル3号室が優勝していてもおかしくなかったでしょう。
このハイレベルな大会で勝つためには、ウケるかどうかの先にある審査員票をどれだけ得られるかが重要な鍵になると思います。
今回顕著に感じたのは審査員のある種の頑固さや信念でした。
5人全員の中に自分にとっての「コントとは」の軸や信念がしっかりあるんですよね。
これだけレベルが高いと爆笑をとるのは当たり前で、全員高得点になってしまうので、審査は減点方式をとることになります。そこに審査員各々の好みがはっきり反映されるので、如何に各々の好みから外れずやれるかが攻略のポイントになりそうです。このバランスが重要で、誰かの好みに寄せすぎると、誰かの好みからは外れていくんですよね。(飯塚と小峠の好みが分かれたシーンがその例です。)
本当に難しい大会になったなーと実感するばかりです。