見出し画像

2020"俺の"シネマランキング

はじめに

 こんにちは!このページを閲覧してくださりありがとうございます.

 ジョンゴと申します.『ドラゴンクエストライバルズエース』というゲームを細々とやっている者です.よろしくお願いします.初めましての方は名前だけでも覚えていただければ幸いです.

 今回はライバルズの話ではありません.僕のもう一つの趣味である映画について書いていこうと思います.
 今年ももう終わりですね.年末といえばみなさん映画ランキングを作ると思いますが(断言),今年印象に残った作品は何でしたか?今年はコロナの影響で公開延期が相次ぎましたが,それでも素晴らしい作品が山のように上映されました.その中でも僕が特に気に入った作品を10本紹介したいと思います.

10位

羅小黒戦記

画像1

・あらすじ

 この世には妖精が実在し,彼らの中には人間の格好をして社会に溶け込んでいるものもいれば,山の奥で隠れて暮らすものもいた.森で楽しい日々送っていた猫の妖精・小黒(シャオヘイ)は,人間たちによって森が切り開かれてしまったことから,暮らす場所を探して放浪する.その旅の途中で妖精のフーシー(風息),人間のムゲン(無限)と出会ったシャオヘイは,彼らとの交流を通じてさまざまなことを学び,成長していく.

予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=jCGrrhRQFJs

・コメント

 中国のアニメと聞いてナメていました.大変申し訳ありませんでした.
 日本語吹き替え花澤香菜,宮野真守,櫻井孝宏という布陣で見に行ってみるかと思いましたが,レベルの高さにひっくり返りました.
 まずキャラがみんな個性的でかわいい!特にシャオヘイは見た人全員確実にメロメロです.ストーリーもしっかりしていてメッセージ性もあり,鑑賞後も思考を促され続けます.そして,特に驚いたのはバトルシーン.2009年に初めて『サマーウォーズ』を見たときの衝撃に近かったです.
 僕のフォロワーにはオタクの方々が多いはずなのになぜこの映画が話題に上がらないのか.まだ劇場でやっています!直行してください!

9位

ミッドナイトスワン

画像2

・あらすじ

 故郷を離れ,新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ,トランスジェンダーの凪沙.ある日,凪沙は養育費目当てで,少女・一果を預かることになる.常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙,実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果.そんな2人にかつてなかった感情が芽生え始める.

予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=qFWyZt8xG78

・コメント

 細かい部分まで見ると少々粗削りな面もありますが,今年最もパワフルで破壊力のあった一作です.
 何と言ってもバレエとテーマ曲による圧巻のシーンですね.バレエというものをしっかり見たのは初めてでしたが,美しさと力強さで完全に見入ってしまいました.そしてそれを踊る服部樹咲さんの新人とは思えない堂々とした佇まい.つよぽんも良かったよ.
 日本アカデミー賞は多分『スパイの妻』だけど,ノミネートは間違いなくされるでしょう.

8位

はちどり

画像3

・あらすじ

 94年,空前の経済成長を迎えた韓国.14歳の少女ウニは,両親や姉兄とソウルの集合団地で暮らしている.学校になじめない彼女は,別の学校に通う親友と悪さをしたり,男子生徒や後輩の女子とデートをしたりして過ごしていた.小さな餅屋を切り盛りする両親は,子どもたちの心の動きと向き合う余裕がなく,兄はそんな両親の目を盗んでウニに暴力を振るう.ウニは自分に無関心な大人たちに囲まれ,孤独な思いを抱えていた.ある日,ウニが通う漢文塾に,不思議な雰囲気の女性教師ヨンジがやって来る.自分の話に耳を傾けてくれる彼女に,ウニは心を開いていくが…….

予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=ebYuonH42bA

・コメント

 韓国映画は本当にレベルが高いですね.新人監督とは信じられません.
 韓国は非常に男性主義的で,女性の地位が低いという実態があります.今年10月に日本公開された『82年生まれ,キム・ジヨン』も,家父長的な習慣への警告の一面を含んでいました.また,非常に学歴主義的な考えが強い国でもあります.この辺は『パラサイト 半地下の家族』でご存じの方も多いでしょう.この二つの圧力により,主人公のウニは中学生ながらに世界に対して半ば諦めや絶望のような感情を持ってしまっています.
 この映画のすごいところは,そういったお国柄や感情などをほとんどセリフに頼らずに伝えているところです.そして,ヨンジ先生との出会いによって生きる意味や希望をかすかに見出し,他者理解によって少し大人になる.
 派手な演出などはないものの,洗練された見ごたえのある一本でした.

7位

TENET

画像4

・あらすじ

 説明がむずい.

予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=QHIHHeoW-10

・コメント

 今年,クリストファー・ノーランという名前を覚えた人も多いのではないでしょうか.見ての通り頭のおかしい人です.「時間軸を順行で進んでいる人と逆行で進んでいる人が戦ったら面白くね?」とか普通思いつきますか?思いついたとして本当にそれやりますか?今まで全く見たことのない話というだけでもう最高の映画体験でした.
 しかも,この映画はアイデア一発ではなく,ちゃんと力強いメッセージを持っています.それは,「過去に起きたことが変えられないように,未来に起こることも全て決まっているのではないか?その場合,自分が今生きている意味とは?」という問題提起と,それに対するラストのニールのアンサーです.あのニールの言葉には震えました.すごい勇気をもらえました.
 しかし,やっぱり難しすぎます笑.ノーラン入門としては全くおすすめできません.とりあえず全人類は『インターステラー』を見ろ!

6位

ミッドサマー

画像5

・あらすじ

 不慮の事故により家族を失ったダニーは,大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた.彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった.太陽が沈むことがないその村は,美しい花々が咲き誇り,やさしい住人たちが陽気に歌い踊る,楽園としか形容できない幸福な場のように思えた.しかし,そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め,妄想やトラウマ,不安,そして恐怖により,ダニーの心は次第にかき乱されていく.

予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=CXZvtzgoDyk

・コメント

 万人に絶対おすすめできません.グロい,気持ち悪い,意味分からない.僕も鑑賞した日はその日の体力を全て持っていかれました.
 しかし,この映画は人間関係においてめちゃくちゃ大事なメッセージを伝えていると思います.ダニーの恋人のクリスチャンは,もう完全に気持ちが冷めているにもかかわらず,彼女の身に起きた不幸を鑑みて,別れを告げることが出来ません.ダニーもダニーで,クリスチャンがもう自分を好きではないことを薄々気づいているのに彼に依存し続けます.完全に不健全です.でも程度の差こそあれ,恋人関係でも友人関係でもこういう状況って僕たちにもありますよね?なんとなくノリが合わなくなってきた友達グループとダラダラつるみ続けちゃうとか.そういう関係性を放っておくと,いつか何かの拍子にとんでもない目に合うでしょう.彼らのように.

5位

ジョジョ・ラビット

画像6

・あらすじ

 第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは,空想上の友だちであるアドルフの助けを借りながら,青少年集団「ヒトラーユーゲント」で,立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた.しかし,訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは,教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ,仲間たちからもからかいの対象となってしまう.母親とふたりで暮らすジョジョは,ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう.それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった.

予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=L4rFW69Ypk0

・コメント

 メッセージが正しすぎる映画.「愛とヘイト」について,悪い意味でのキレイゴトにならないようにしっかり説得力を持って伝えています.
 説教臭い映画かと思ったが,不謹慎ギャグも満載.子供に手りゅう弾を渡して「さあ,向こうのアメリカ人に抱き着いてきなさい!」は一番笑いました.
 語彙がなくてこれ以上この映画の良いところを説明しようとすると,核心に触れてしまうのでここまでにします.

4位

ソウルフル・ワールド

画像9

・あらすじ

 ニューヨークに暮らし,ジャズミュージシャンを夢見ながら音楽教師をしているジョー・ガードナーは,ついに憧れのジャズクラブで演奏するチャンスを手にする.しかし,その直後に運悪くマンホールに落下してしまい,そこから「ソウル(魂)」たちの世界に迷い込んでしまう.そこはソウルたちが人間として現世に生まれる前にどんな性格や興味を持つかを決める場所だった.ソウルの姿になってしまったジョーは,22番と呼ばれるソウルと出会うが,22番は人間の世界が大嫌いで,何の興味も見つけられず,何百年もソウルの姿のままだった.生きる目的を見つけられない22番と,夢をかなえるために元の世界に戻りたいジョー.正反対の2人の出会いが冒険の始まりとなるが……

予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=0uNVolEP8U4

・コメント

 ピクサーこわい
 世界のトップアニメーションスタジオとなった今でも攻めた内容で勝負し続ける.『リメンバー・ミー』で「死とは?」という問題提起とそれに対する完璧すぎるアンサーを提示したが,ついに今回は「人生の意味とは?」というファミリー映画としては重すぎる問題提起に挑む.下手したら小学生未満が見るやもしれない映画で「生に死の価値はある?」という言葉が飛び出てくるとは笑.
 そして,今回提示されるアンサーも「そうきたかぁ~」とうなるほど完璧な答え.「やりたいことない.自分の人生に意味はない」と思ってしまう高校生・大学生あたりの世代には特に直撃するのではないでしょうか.
 もちろん,アニメーション表現でも新しい挑戦をしています.ニューヨークの雑多な印象とそれに対比するような抽象的なソウルの世界の造形.一筆書きで書かれたような輪郭を持つ案内人のジェリーの動き.アニメーションてすごいですよね(語彙).
 もう一度言います.ピクサーこわい

3位

透明人間

画像10

・あらすじ

 富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは,ある夜,計画的に彼の元を脱出した.悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し,莫大な財産の一部を彼女に残す.しかし,セシリアは彼の死を疑っていた.やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり,命まで脅かされるように.だが,彼女にしか分からない方法で攻撃してくる見えない何かを周りの人は信用するはずもなく,彼女に疑いの目を向ける.見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが…….

予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=GGIJ6h5uS7g

・コメント

 これもタイトルだけでナメていました.「透明になってww着替えとか覗くやつww最後に退治www」ってそんな生ぬるい話じゃありません.そもそも今までの『透明人間』は透明人間側が主人公だったのに対し,今回は被害を受ける側が主人公なので,映画の視点からも透明人間は見えません.なんなら途中まで「ほんとはこの女のほうがおかしいんじゃないか…??透明人間ほんとにいるの??」とまで思います.画面にちょくちょく映されるのは誰もいないスペースだけ.でもそこをじっと見つめていると本当はだれかそこにいるんじゃないか?という気持ちになってきます.撮影が上手すぎます.
 そして,この映画をこの順位までもちあげたのは何と言ってもラスト!「衝撃のラスト!」とかいう文句嫌いなんですけど(そもそもラストはクライマックスなんだからある程度衝撃は受けるでしょ),この映画のラストは震え上がりました.
 映画を見る前からナメちゃダメ!ゼッタイ!

2位

ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー

画像7

・あらすじ

 エイミーとモリーはガリ勉コンビ.ガリ勉をからかう同級生たちを「今に見てろよ」と見下してきた.そして卒業式前日.2人は勉強の甲斐あって志望の進路に進むことが出来た.しかし,遊んでばかりだと思っていた同級生たちも有名大学や有名企業への進路が決まっていることが判明.
 「え,まじで私たち勉強してただけじゃん…….私たちだってスマートで面白いってこと見せつけてやる!」
 ということで,卒業前夜にクラスメイトたちが開くパーティーをハシゴして見返してやろうとする2人だったが…….

予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=xMsFAzRqB3U

・コメント

 この映画の一番びっくりするところであり,好きなところは悪役がいないところ.これについては,監督オリヴィア・ワイルドの素晴らしいコメントがあるので,そのまま引用します.
「悪役を登場させ続ければ,観客はどんな物語にも悪役が出てくると思ってしまう.そうすると,人生においても絶対どこかに悪役がいると考えてしまうと思います.人というのはすぐ他人のことを「この人はこういう人なんだ」と決めたがってしまう.そうすることで自分の経験により秩序を持たせることが出来るから.でもみんな必死に生きてるだけで,別にいじわるしてやろうとか思ってないですよね.だからどんな状況でも「この人は自分にとっての悪役なんじゃないか」と探す癖を私たちはそもそもなくさないといけないのです」
 こんな素晴らしい考えの人がいるだけでも感動ですが,すごいのは,この考えを下ネタドラッグネタなどで観客を爆笑させながらしっかり伝えることが出来ているところ.
 正直1位でもいいです.なんなら1位です.

1位

パラサイト 半地下の家族

画像8

・あらすじ

 とにかく見て

予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=VG9PjxVMd08

・コメント

 全く面白みのない1位.ですが,これ以外考えられませんでした.
 「映画が好き」と言うと,決まって「おすすめの映画は?」という困った質問をされます.その度に,「自分にとって映画とは何か?理想の映画とは?」を考えてきました.断言します.『パラサイト』こそ僕の考える理想の完全映画です.
 誰が見ても理解できるし,細かいところを考察する余地もある.笑える.ドキドキする.力強いメッセージや問題提起によって,映画館を出た後も思考を促され続ける……まだまだ書き切れませんが,『パラサイト』には映画的カタルシスが全部あります
 もしも!まさか!万が一!(うるさい)まだ見てないという人がいるのであれば,1月8日金曜ロードショーでやるので是非見ましょう.

おわりに

 こんなただの自己満に付き合っていただき本当にありがとうございました.年末年始に時間があって映画でも見ようかというときに参考になれば幸いです.みなさんのおすすめも教えていただけると嬉しいです!


あらすじ引用
映画.com(https://eiga.com/