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テニプリネーミング褒め褒め委員会

先日、『テニスの王子様』氷帝戦のとあるワンシーンが非常に優れているというツイ…postが話題となり、おそらくそれに反応するかたちでたしけ先生が執筆時に気をつけていることをpostをされていました。

そう、テニプリは漫画としてとても優れているのです。魅力的なキャラ、インパクトある台詞、爽快感のある描写、読者の期待の上を行く展開。
特に試合シーンの描写や構図には定評があり、美術の教科書にも掲載されている話は有名ですね。さすがテニスブームで一時代を築き、その後も20年以上ジャンプブランドで生き残り続ける実力は伊達ではありません。

そんなスーパー漫画家・許斐剛を尊敬する者として、今回は絵でも話でもなくネーミングセンスについて語らせて下さい。

ネーミングセンスがすごい漫画家としてよく久保帯人氏や久米田康治氏の名前が挙がりますが、たしけ先生のネーミングの優れた点は「奇をてらいすぎていない」ところにあると思っています。
桜乃役・高橋美佳子さんのラジオにゲスト出演した際に、先生はテニプリキャラの名前についてこう語っていました。

「普通の名前でありそうな名前なんだけど、ちょっと崩すことで非現実的にするというか。少し崩すことでかっこよくなる」
「そのキャラの名前を言ったときにそのキャラが思い浮かぶ、連想できるようにするのが大事」

『美佳子@ぱよぱよ 第1055回』より

(動画の30:00頃からネーミングの話をされています)

これを聴いた時、ありそうでない名前というコンセプトが通底してることに私は膝を打ちました。いないけど傍にいそうな、いたらいいなと思える存在感が命名の時点で作られているのだと。ファンがバレンタインに本物のチョコレートを贈りたくなるようなキャラクター像が。

私自身も趣味で創作をする人間なのでキャラに名前をつける機会があるんですが、「奇妙すぎず憶えやすい名前にしよう」という点はいつも気にしているので、先生の命名術は非常に共感でき勉強になる話でした。先生のネーミングセンスが好きなのは、たぶん自分の好みに合致していたからなのかもしれません。

前置きが長くなってしまいました。真面目な話はここまでにして、あとはひたすら好きなテニプリキャラの名前について語り倒していきましょう。全員分はありませんが気づいたらまあまあなボリュームになりました。テニプリって…怖いな!


越前リョーマ(えちぜん・りょーま)

名前の由来は大岡越前と坂本龍馬という時代劇ヒーローいいとこ取りみたいな渋さなのに、いつまでも色褪せないスタイリッシュさがあるのはカタカナや長音記号のおかげでしょうか。止め字が柔らかな音感のマ行なので親しみやすく、少年漫画の主人公の名前として100点満点。最初はライバルキャラだったらしいですが正直金ちゃんより全然主人公の名前だよ。
そして兄・リョーガの止め字が鋭利で猛々しい印象のガ行なので、ラスボス(?)と主人公のいい対比になってるんですよねこれがまた。

不二周助(ふじ・しゅうすけ)

美しっ…。裕太君には悪いけど「不二」って苗字がもう既に天才キャラの字面すぎるんですわ。なおごく少数ですが実在する姓らしいです。
助を使っているので古風なようでいて「しゅう」の音がクールだから全然男臭くならないんですよね。サ行が多くて爽やかな印象です。
由美子・周助・裕太の3姉弟、親御さんがちゃんと意味を考えて大切につけた名前って感じで好きです。名前ひとつで家庭環境まで妄想できる。オタクは逞しい。

大石秀一郎(おおいし・しゅういちろう)

かなり普通っぽいネーミングだけど見るからに頭良さそうな名前だし実際名前負けしてないインテリイケメンが呼ばれたら出てくるのでつよつよネーミングでもあります。みんなから大石大石言われるから下の名前が覚えづらいですが、秀一郎って長いからしょうがないね。先生って○○郎って名前好きですよね。私も好きです。

海堂薫(かいどう・かおる)

もう語られ尽くされてるけどあの成りあのキャラでこんなにも風流な名前なギャップが最っ高ですよね。そんでもって10.5巻(無印)を読むことで納得するという。私は先生のこういうところを尊敬しています。
なんとなく海堂のキャラだと下の名前がコンプレックスになってそうだけどそんなことないし、自分を奮起するときに出る言葉がフルネームなくらいだから、両親から貰った名前を大事にしてるんだなと育ちの良さを感じられてね…。最っ高ですよね。

橘桔平(たちばな・きっぺい)

以前から橘さんと不動峰の物語は一種の貴種流離譚と主張しているんですが[いつ?]、古代貴族の四姓・源平藤橘のうちのひとつ橘姓を名乗っているのってやっぱそういうことだと思うんですよね(早口)
橘が厳かな反面、キッペイって響きはヤンチャな感じで、不動峰時代と獅子楽時代のそれぞれの印象を担っている気がします、周りからの呼ばれ方もあり。あと橘兄妹は桔梗と杏とで花モチーフで統一されてるのがお洒落。

神尾アキラ(かみお・あきら)

古今東西「あきら」は主人公の名前と相場が決まってるんですよね。やはり神尾は不動峰が主役だった世界線の主人公…。字もカタカナでリョーマとお揃いだし。
あと神尾って苗字もなんとなく速そうなイメージあるんですよね。箱根駅伝の選手を山の神とか呼ぶからでしょうか。

伊武深司(いぶ・しんじ)

ええ名前やな…。いぶしんじ、響きが綺麗すぎる。深きを司るという字も正に伊武深司という人間を体現している。アキラが主人公なら「しんじ」はザ・クール系青属性ライバルの名前。完璧じゃあないっすか…。推しなので当たり前なんですけど全てが愛おしく輝いて見えます。あの顔の良い永沢君が。
伊武って橘さん含めて下の名前で呼ばれてるけどあれ絶対本人希望ですよね。イブって呼ばれるのは恥ずかしいお年頃なのカナ?😅

石田鉄/石田銀(いしだ・てつ/いしだ・ぎん)

なんか堅そうなイメージで安直に考えたみたいな名前なのに「鉄(くろがね)」と「銀(しろがね)」で運命の兄弟感を出してくるのがにくいんですよね〜石田兄弟。ちなみに二次創作だと妹の名前が鉱物つながりでリンちゃんになってがちなのが好きです。

観月はじめ(みづき・はじめ)

先生がこの男をフェミニン寄りの優雅なキャラ付けにしてるのが一発でわかるいいネーミングだと思います。それでいて「はじめ」ってついてるのがすっごい農家の長男っぽい。あと観月の出身地山形にも漠然と月のイメージがありますよね、ないですか?私にはあるんですけど。たぶん月山由来。関係ないけど農家の跡取り息子が東京に出てテニスやってていいんですかね。

赤澤吉朗(あかざわ・よしろう)

※吉朗の「吉」は「土」に「口」(お約束)
ルドルフのメンバー見せてこの中から赤澤吉朗を選べって言われたら10人中10人が正解しそうなくらい赤澤吉朗って顔してますよね赤澤吉朗。名前からすぐに連想できるキャラデザの極地。

千石清純(せんごく・きよすみ)

テニプリ美しい名前ランキングトップ10の常連やろこんなん。名前に負けない清潔感を維持している千石さんの努力マンっぷりが私は好きです。先生雰囲気イケメン描くのうますぎません?最近はどんどんただのイケメンになってるけど
名前は清純、中身は不純。いいじゃん思春期男子っぽくて!

ちなみに姓名判断では「運勢がよいのは若い頃だけ」と出ました

東方雅美(ひがしかた・まさみ)

ひがしかたまさみ、フルネームで呼びたい名前ですよね。そして派手ですよね。なんとなく東方は自分の名前にコンプレックス抱いてそうです、美とか入ってるし。でも東方は地味だけどよく見ると男前だと思っているのでまだまだこれからです、中学生にゃ東方の良さは分かんねえよな。お前は東方雅美の何?

跡部景吾(あとべ・けいご)

跡部のキャライメージが先行しているのかもしれないけどやっぱ…ノーブルな感じがしますよね…。ザ・金持ちな名前ではないものの品が良い。「跡部様」って呼んだ時の音の座りがいいんですよね、伊集院景吾だったらたぶんこんな人気出てないんじゃないでしょうか。
下の名前もか行とが行で勝ち気な印象があり性格にぴったり。先生のセンスが光る秀逸なネーミング。御母堂の瑛子さん(いい漢字使ってますよね)とe/i/oで合わせてるのも芸が細かいなあ〜と思いました。

向日岳人(むかひ・がくと)

連載当時はガクトって名前は目新しかったような気がします。お金持ち集団の氷帝のなかでぱっと輝く現代っ子的なネーミングが印象的でした(少なくとも自分の中ではそうだった)。日と岳という「高み」を連想させる漢字を使ってるのもポイント高いですよね。

佐伯虎次郎(さえき・こじろう)

佐伯虎次郎もフルで呼びたい名前なんですよね〜気づいたらフルネームで打ってる。由来って佐々木小次郎ですよね。白石が大石内蔵助由来だから命名ルールまで似てるのかい君たち。
どんな武道少年が出てくるんだよみたいな古風で厳つい雰囲気を「サエさん」という爽やかな感じのあだ名でうまいこと中和し、品行方正好青年に昇華してる気がします。六角はあだ名まで含めてネーミングを評価したい。あ、そういえばアニメだと剣道習ってる設定あったな

樹希彦(いつき・まれひこ)

たぶん六角メンバーの中だと一番好きです。マ行で始まる名前のイメージといえばゆったりとして穏やか、樹という苗字も相まってまさに六角の母のような包容力のある存在感を示しています。
まあまあ癖のある名前ながらいっちゃん自体が癖のあるキャラなのでマジでぴったりなんですよね。樹と佐伯で韻踏んでるのも良い。

幸村精市(ゆきむら・せいいち)

真田幸村を区切って二人の名前に持ってこよう!っていう発想がまず好きです。たぶん真田幸村の一般認知度が上がる前に作ってますよね?先生の歴史好き・時代劇好きが伺えます。武将成分は真田が持っていきすぎてるけど。
幸の入った苗字って素直に素敵ですよね。幸村は病に苦しめられ、そして乗り越えたキャラクターだけに、使われている漢字に意味を見出したくなります。精の字をつけられたのはもしかして家系的に健康を願われる何かがあったのかもしれないとか。

切原赤也(きりはら・あかや)

赤也の名前って普通の漫画っぽすぎて逆に浮いてるのが面白いですよね。でもまああのキャラだからな。テニプリがまだテニスをやっていた最初期から登場していますが、その頃にはもう彼のプレイスタイルは決まっていたんでしょうか。決まってたんだろうな…こんな名前だもんな…。という一連の想像までできちゃうんだから凄い。

木手永四郎(きて・えいしろう)

こんなにダーティーでヒールなのに名前の由来はキテレツ大百科ですよっていう崩し方がいかにもたしけ先生です。面白さもそうだけど純粋にかっこいいから選びました。元ネタのほうの名前も改めて見るとかっこいいな。というか藤子先生のネーミングセンスと同じ領域にたしけ先生がいるのだとも言える。
木手さんって苗字、現実にはいそうでいないらしいです。

平古場凛(ひらこば・りん)

男に凛てつけてこんなかっこよくなることあるぅ!?先入観を打ち砕かれました。でも凛々しいって普通に男性に使うし意味的には全然アリなんだよな。ギャル男っぽいとこもあるし男の子にリンて名付けられるお家に生まれててもおかしくなさそ〜という納得感が半端ないです。

千歳千里(ちとせ・せんり)

柳蓮二と並ぶ風流ネームだと思ってます。いそうでいないかと言われるといねーだろ枠ですが、そのぶん名前の由来がかなり気になるんですよね。神隠しから連想して千と千尋由来なのかなと思ってますが。四天は他のチームと比べると漫画漫画してる名前が多い気がします。金太郎とバランスを取るためでしょうか?

越知月光(おち・つきみつ)

先生この名前思いついたとき気持ちよかっただろうな〜〜〜〜。「月の光」と「月が満つ」を掛けたスーパーお洒落ネーム。いかにも大学教授の親御さんがつけそうな名前です。そんな名前に掛けた決め台詞を使ってる所は遠野先輩といい勝負になりそうなんですが然程中二病扱いされないのは日頃の行いの差でしょう。

遠野篤京(とおの・あつきょう)

一般的な人名を採用していることが多いこの漫画で一人二人こういう名前が混ざってるのがリアリティありますよね。(黒羽春風も個人的にこの枠)
あつきょうて由来何なんでしょうね。いやでもあの異常者に普通の名前ついてるのは絶対違いますもんね。篤京以外考えられません。

陸奥悠歩/陸奥悠馬(むつ・ゆうほ/むつ・ゆうま)

UFOとUMAと気づいたときアハ体験できたのと同時に、同調の人体浮遊に対するセルフツッコミを名付けで行うという高度な技に感心しました。木更津兄弟もはやく浮けるようになるといいね。(淳は先に柳沢と同調しそう)

ドゥドゥ・オバンドゥー(Dodo Obando)

私こういう富野キャラみたいな命名大好きなんですよね…。同じ系統でテニス狙撃手のロドリゴ・ロカ・ロドリーゴさんの名前も好きです。テニス狙撃手って何?
オバンドゥー、調べたらフィリピンの地名らしく、実在する姓もあるようです。

ティモテ・モロー(Timothée Moreau)

ティモテはティモシーのフランス語読みなので別にシャンプーではなくれっきとした実在名です。いやシャンプーからとってそうだけど。モローはエドガーさんと同じく画家から名前を貰っていますね。
とにかく語感が美しく声に出して読みたい選手名海外部門No.1です。ちょっと官能的で得体のしれない感じもキャラに合ってますね。特にアニメだと背景設定が完全にカットされたので本当に謎にクネクネしてるだけの人だったので尚更…

フリオ・ロマン(Julio Roman)

フリオロメンさん。スペイン代表、いかつい名前が多いのでフリオのシンプルなネーミングが水のように耳に馴染みますね。アクが強くミステリアスなメンバーの中でも普通のティーンっぽくさっぱりした第一印象によく合ってると思います。あくまでも第一印象です。絶対一筋縄では行かないキャラだとは思いますが…。この印象が試合を通じてどう変わっていくか見届けるのが楽しみです。


他にも桃城武とか壇太一とか仁王雅治とか柳蓮二とか金色小春とか鬼十次郎とか種ヶ島修二とか好きな名前い〜っぱいありすぎてあと100ゲームやれます。
名前を褒めだしたらオタクは末期とはいいますが、名前は思いを込めて与えられたギフトです。愛おしい決まってます。これを読んだ皆様もお気に入りの王子様の名前に思いを馳せてあわよくば語ってみてはいかがでしょうか。

こんなに素敵な名前にいっぱい出会えるなんて、テニプリっていいな。