鎬を削る者達へ
『ミュージカルテニスの王子様 The Final Match 立海 Second feat. The Rivals』観!!了!!!
周年配信で楽しませていただいただけの身ではありますが、テニミュ、面白かったです。
2.5次元への苦手意識があった筆者ですが、純粋にエンターテイメントとして楽しむことができました。さすがにジャンルの立役者だけあります。
ということで、昨年5月から始まったテニミュ配信マラソンをひとまず完走いたしました。
全国立海がまだ1stしか観れてないので、あくまでひとまずです。
いや全部観終わってから感想記事書けやい、という感じなんですけれども、
全国立海後編で物凄く気に入ったナンバーがあり、居ても立っても居られずに久々にnoteの執筆ページを開きました。
ライバルズの歌う『鎬を削る者達』という曲です。
1stシーズンの全国立海戦は前後編に分かれており、S3~D1までが前編、それ以降のリョーマを主軸とした展開が後編、という構成となっています。
全国大会決勝の直前に記憶喪失になってしまったリョーマ、その記憶を取り戻すために今まで彼と戦ったライバル達が結集する…というのが後編のあらすじです。
原作では記憶喪失リョーマとライバル達との試合内容は詳細には描かれません。しかしながらテニミュでは本編の半分の時間を使って丹念に描写されます。
地区大会の対戦相手・伊武から順番に、当時繰り出された技や台詞を交えながら、まるでこれまでのリョーマの試合を再演するように展開されるラリー。(なお日吉のターンでは「日吉若、2年~」の詠唱をはじめギャラリーの台詞再現がやたら多く笑いましたが、ニコ動人気を意識したファンサービスのようにも思えました。)
この引き伸ばしについては尺の都合もあるとは思いますが、リョーマが記憶を取り戻していく過程、そして仲間やライバルと培った経験の尊さがより分かりやすくなり、とても素晴らしい改変だと感心しました。
『鎬を削る者達』は、記憶を取り戻し最終決戦に向かうリョーマを見送るライバル達によって歌われます。
彼らはもれなくリョーマの圧倒的な才能に打ち負かされました。それでも負かされた相手を称賛し、激励することができるのは、確固たる自信と気高きプライドを持っているからこそ。
勝負事の世界においてこれほどの精神を持てるのがどれだけ健全なことか。
漫画内の台詞がそのまま歌詞に使われることが多いテニミュですが、『鎬を削る者達』は全くそうではありません。原作ではライバル達は誰もこんなこと言ってませんし、激励を送っていると言えるのはせいぜい跡部くらいです(しかも直接ですらない)
しかしながらリョーマのライバル達は、否、登場した全ての選手達は皆、きっと心のなかで「全国大会の礎となった自負」を抱いているのであろう。言葉にはしないまでも、誰よりもがむしゃらで負けず嫌いの彼らのことなのだから。そう思わずにはいられないのです。
筆者は以前の記事で、「テニスの王子様にとってミュージカルとは寡黙な原作を補完する手段としてこの上ない媒体」ではないかと考察し、テニミュ鑑賞において最も興味を惹かれる部分であると書いたのですが、
ライバルズとリョーマの記憶を取り戻すラリー、そして『鎬を削る者達』は、当に原作では描写されなかった【「テニスの王子様=リョーマ」以外】のキャラクター達の心境を言語化した一幕として、強く私の心に残ることとなりました。
特にこの一節が大好きです。
「どっちが勝っても祝ってやろう」を真田まで歌わされてるのはちょっとシュールですが、一度敗北を受け入れた現在の真田にとっては、この言葉もあながち嘘ではないのかもしれません。
1st全立は最後、出演者全員が舞台に現れ、全員でリョーマに向かって「勝負だ!」とラケットを突きつけるシーンでエンディングを迎えます。
手塚をはじめ、幸村や跡部、そして一年トリオも一緒にです。
全国大会が終わり、再び同等になった選手たち。
そして「俺こそが絶対テニスの王子様」(『Fighting Again』)と高らかに歌い上げる群像劇『新テニスの王子様』へと繋がっていく……。
うまく言葉をまとめられませんが、あまりにも綺麗な未来への導線でした。
1stの終わり方があまりにも素晴らしかったので、2ndや3rdではライバルズやエンディングがどのような表現になっているかとても気になっています。
再度になりますが本当にテニミュ見れてよかったです。いつか現地でも浴びたいなあと思いました。なんかどんどん上演時間長くなってるらしいのでそれに耐えられれば……。配信という手もありますが。
ミュージカルの一曲取ってもここまで語れる。やっぱりテニプリっていいな