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我が青春【スポーツがくれたもの】


「こっちの旧作は500円。
 こっちの新作は1,000円だよ~。」

バドミントン部部室では、卸売市場のような
威勢の良い掛け声が、響いていた。


ここは、未成年の僕らが
エロビデオを唯一購入できる


"闇市"

と呼ばれるバドミントン部の会合。


主催者は当時、同じ高一だった同級生M。


厳格な女子高教員の父を持つ彼は
思春期の反発精神から、放課後になると
あるスキルを発動させていた。



作業着に着替え、工場作業員を装い
ビデオ屋で、AVを買って「闇市」で転売する



という商才だ。



様々なジャンルを扱うラインナップから


"総合商社"


という名声をほしいままにしていた。


また

「これとこれの組み合わせがほしい」

という顧客の要望に対しても



① 独自で素材を集め


② DVDを製造し



③ 闇市で販売する




当時として珍しかった

"第6次産業ビジネス" のはしり


としてTV 番組 ガイアの夜明けから

取材打診された


という伝説が、あるわけがない





僕がスポーツ嫌いになったのは
中学校1年生。


友達とサッカーをする中で


「蹴り方がおかしい」と笑われたり

中学の卓球部の試合を見た親から


「体育館の中で、あんただけ
 ラケットの振り方がおかしかった」
 と言われたり。


"運動神経悪い芸人"などなく
運動できない人間に、市民権がない時代

僕はスポーツが、嫌いになっており
高校では、帰宅部に入ろうと思っていた。


しかし、高校入学後
見学にいったバドミントン部が


「記録より、記憶」




という熱いスローガンを掲げており
入部を決意。


この言葉通り、僕の高一の記憶は
今振り返ると、この部活での思い出が
大半を占めているように思う。


・先輩と、海まで走ったり。



・夏の夜、みんなで花火をしたり。



当時の写真を見る度に
あの時、帰宅部に入らなくてよかった
と痛感している。

スポーツを、僕の高校時代の
バドミントン部と定義する場合

スポーツがくれたもの

それは・・・



友達との青臭い、セピア色の青春


そして







Panasonicのポータブル
DVDプレイヤーへの渇望

(闇市での購入品観賞用)




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