マッチングデイの気付き - 英国インパクト投資をのぞく
こんにちは、ロンドンでインパクト投資業界に飛び込む城守/ジョウモリです。
今回は参加しているOn Purposeのフェローシッププログラムで、受け入れ先団体と参加者の組み合わせを決めるマッチングデイについてシェアしたいと思います。 On Purposeについては前回の記事をご参照ください。
ざっくり、合同面接会という感じです。
これから日本語話者でOn Purposeに参加する人がどのくらいいるかわかりませんが、少しプロセスについても書いてみました。
マッチングデイどうだったかだけ知りたい方は見出しの下の方まで飛んでいただければ。
前回のおさらい
・1年間のキャリアチェンジプログラムに参加中
・6か月×2社で働く(実務経験)+毎週金曜はトレーニングに参加(インプット)+メンター・コーチング有
→働く2社は、参加者の我々と、受け入れ団体がそれぞれ希望を出して、面接して…とマッチングで決まります。今回はそのマッチングの話。
マッチングのフローは?
参加者はCVと1分回の自己紹介ビデオを提出
受入団体は組織やジョブについての説明文書を提出
それぞれの情報が8/21に解禁になり、1週間以内に参加者と受入団体それぞれが希望を1-20位までランキング付けする。
その結果をOn Purposeが集計して、8回の面接の組み合わせが決まる。
マッチングデイ(今回は9/6木曜午前中)では、8回×20分の面談を一気にやり、その後1-8位までお互いをランキング付する。
その結果を踏まえてOn Purposeが最終的なマッチングを決める。
(備考欄になぜこうランキングしたか、など結構細かく書けて、結果かなり考慮されていてみんな結果に満足している印象)
顔ぶれ
受入団体
インパクト投資団体、ソーシャルファイナンス、Femtech、バイオ系ベンチャー、NHS関連(イギリスの国営病院)、eBayやVISAのサステイナビリティ系部署、政府の社会起業家担当部署、環境系コンサル、環境系ビジネスコンペを主催する財団 等
参加者
銀行、コンサル、芸術関連、弁護士、起業家、政府系の環境部署勤務 など
私のマッチングプロセス経験
私はインパクト投資やソーシャルファイナンスがやりたいと明確にわかっていたので想いに沿ってランク付け。(一方、このプログラムは6か月限定の仕事なので、「これまでと全く違う仕事をしてみたい!」とランク付けする人も多い)
マッチングデイでは、ファイナンス関連の会社全て+αと面接させてもらいました。
有りがたいことに第一・第二希望の団体とマッチングできました。インパクト投資団体と、Social Investmentを専門とするコンサルティング企業です。
マッチング面接で興味深かった話
1. (御社のソーシャルファイナンス部門から借りる人はどんな人か、という私の質問に対し) イギリスのインパクト投資はビッグソサイエティキャピタル(以下BSC)が出資元になってるケースが多く、BSCのルール(5年等期限がある)に縛られるケースが多い。うちはBSCと関わりがないから、BSCのルールに合わない企業が来ることが多い
2.(同上企業)うちはxx銀行100%fundingなので、銀行の全体方針や役員会議で決まったことが降りてくる仕組み。その代わり親会社の銀行のokさえ出ればかなり自由(vsインパクト投資団体は複数の出資元、特にBSCなど決まった大手から出ていることが多い?)
3.BSCはイギリスのインパクト投資に影響力がありながら、役員は白人男性が9割以上でEquity, Diversity and Inclusionの観点から課題が多方から指摘されている。インパクト投資業界全体にバイアスがかかりかねず、女性や有色人種にフォーカスしたファンド組成に注力している
感想
イギリスのインパクト投資界隈、特により社会的リターンを重視する世界(Below Market Rateでも社会的意義が強ければ資金支援)では、BSCがこの業界を仕切っていて、そこと関わりがあるかないかで一つの業界マッピングができるくらいなのかな?と推察。
なおBSCは2012年に国主導で設立されたホールセーラー(投資先企業を自分で選んできて投資するのではなく、インパクト投資企業と組む。資金の出し手)で、イギリスの大手行4行の休眠預金が元々の原資という理解。
→英国ソーシャルインパクト投資の推定規模は£7.9 bil。その内BSCが関与しているのは£1.8 bil(220億円位)と、大体23%(2021年末時点)。
日本でも休眠預金法案など数年前に議論されていましたよね。
まだ考察に過ぎない部分も多いですが、とある日の午前中にたくさん面接をしただけで、イギリスのインパクト投資/ソーシャルファイナンスセクターが少し見えてきて面白かったです。
では。