初の融資案件担当|インパクト投資奮闘記|16-17週目
記事を開いてくださりありがとうございます。
久しぶりになってしまいました。。
特に大きな理由があったわけではないのですが、子どもと自分が交互に体調を崩したり、残業が続いて自分の中でバランスを取ったりしていました。お陰様で心身共に元気です。
では1/16-27(16-17週目)の独り言。
「自分と似た考えの人たち」はどこにいる?
参加しているOn Purposeのキャリアチェンジプログラム(昔の記事参照)では、毎週金曜日に座学のトレーニングがある。
今回はBig Society Capitalのコマもあった。インパクト投資といえばココ、という感じの、英国のインパクト投資マーケットメイキングをしているfund of fund。
内容はインパクト投資とはという基礎的な部分。同期20人中、今インパクト投資業界で働いているのはわたし入れて4人だけで、全くファイナンスの背景がない人も多いので基礎的な話になった。
終わった後パブで話を聞いていると、BSCに対して、オックスブリッジ卒の人たちが上辺のことを話している、と嫌悪感を感じる同期がいたのは興味深かった。
彼のバックグラウンドはチャリティーセクター。
そういえば日本で高校生の時途上国支援系の活動をしていたのだけど、「国連は悪だよ」と言ってくる大人が何人かいたのを今でも覚えている。(確か、現場を知らずに金をばら撒く形になってしまった事例等をあげたりしていた。国連で働く知り合いが身近にできたり、大人になって働くと、彼らが悪だと思ったのはごく一面なのではないか、と私には思える)。
On Purposeのプログラムに参加してから、コーポレートなんて悪!あんな世界絶対戻れない!と笑う人たちにも会う。
なんでそう思うか聞いてみると、大体 例えばBPやシェルが今でも化石燃料を使って環境破壊をしながら大きな利益を得ているのは本当に許せない。 とか どうせ社会の成功者たちが何かいいことした気持ちになってるだけなんでしょ。 という感想のようだ。
私はどの組織にも得意不得意もあるし役割分担だと考えるタイプ。なかなか彼らに強く同意することはできないのだけど、特定の組織や”社会”に対して怒りを持てるエネルギーを羨ましく思ったり、大変だろうなあと思ったりした。
銀行勤めをしていた時、営利的な考えや理性的なラインは基本共感できたものの、自分と似た温度感で社会的なインパクトへ関心を持つ人は周りにいなかった。
On Purposeコミュニティに入ったら同志にたくさん会えると期待していたが、営利的な考えにアレルギー反応を持つ人も少なからずいる。
意外だったけど、もちろん営利的なマインドを持っている人も少なからずいるし、アルムナイはたくさんいる。
気の合う人が数人いればいいよな、とは心から思っているが、銀行もOnPも私には少し極端だよー!と、少し寂しい気がしたのも事実。
みんな違うから対話が面白いのだけど。
私自身、営利主義と社会的インパクトのバランスを模索している状態。
まして自分で事業をしているわけでもないので、自分でこれ!と線をひけるものでもない。これからも模索し続けるテーマなんだろうな。
インパクト投資で初めて融資案件の担当
これまで様々なプロジェクトの手伝いをしていたが、融資チームの人手が足りないとのことで初めて融資案件を担当させてもらうことになった。
融資チームでは普通の銀行からは条件的に無担保では借りられない会社に無担保融資をしている。
今担当している案件は、長く続いているビジネスで、比較的貧しい地域にある地域に愛されるサービス。
シンプルな決算書はまるで新卒銀行員の研修資料みたいだし、
あれ、左右の長期短期の比率がなんだか歪だぞ、むむむ、この状況なら現金はこのくらいないと危ないのに、なぜ突然減った?え、人から預かってるお金使い込んじゃった?
とか、そんな財務分析をしていて。
(失礼ながら)危なっかしい決算書で、またこれから売上が増える前提で初めて返済可能となる額を借りようとしていて、元銀行員としてはとてもじゃないけど担保を取っても貸すのが怖いと思った。
でも、対話を進めて情報を集めるうち、彼らがビジネスとしてキャッシュを生み続けることができること、地域に100年以上ある建物を拠点としたサービスでボランティアは強いコミュニティに支えられていること、増収の見込みとその兆しが見えているなどを考慮すると、数年のローンを出すのは不可能ではない気がしてきた。
実際に案件をやってみて初めて、
英国でのインパクト投資、特に融資においては、いわゆる銀行から借りられないような財務状態だけれど社会にインパクトのある組織に、patient(辛抱強い)な資金を出している、と教科書的に学んでいたことの実態が見えてくる。
英国でインパクト投資といったら、規模的にはこの融資/デッドファイナンス が主な文脈になっているようだ。
それは
多分この背景には
•チャリティーや社会的企業として登録されている組織の数がとても多いこと
•支援する財団や国の資金源が歴史的にも整っていること
が挙げられる。
前者については、
例えば町の小さな映画館や、地域の健康センターなんかもチャリティーとして登記されていることがある。
日本だと行政がやるか、そもそもこんなサービスは存在しないことも多い。
従業員には普通に給料を払うところもあれば、ボランティアによって運営されているところもある。
ちなみに日本に 株式会社 特定非営利法人 とか組織の種類があるのと同じで英国にもいろんなタイプがあるが、チャリティーや社会的企業だけでも何種類か、登記タイプがある。
ちなみに日本でいわれている インパクトベンチャー 的な、エクイティ投資×インパクトを目指す団体も多くある。
金額規模でみるとデッドファイナンスの融資が多いのは、そもそもの商品性の違いが1番の理由だと思うけれど、それに加えて、チャリティー•社会的企業セクターとそれを支える組織が歴史的に長く存在しているため、貸し手借り手ともに成熟(事業規模、必要となる資金、貸せる金額が大きい)してきているからのようにもみえる。
そういえば弊社でわたしもたまに手伝っていたファンドが先日ローンチした。
面白い取り組みなのでまた紹介したいけど、いかんせん投稿が1ヶ月遅れているので笑、このあたりで。
そうだ、この融資案件、先日投資会議を通りました!!
必要な手続きが終わったら記念に写真でも載せたいな。それでは。