逃がすと違法

まずはこちらの記事をご覧ください。

本日からアメリカザリガニ、アカミミガメを逃がすと違法になります。

普段は犬猫のことを書いてますし、勤務先の動物病院は犬猫のみが診察対象で爬虫類どころかウサギやフェレットなども診察はしていませんので他の同業者に比べれば知識不足かもしれません。

ですが、生き物を扱う身として本日から始まるこの法規制はとても重要な一歩であると考えています。

先に記事をご覧になって頂きましたが予備知識が無いとよくわからないと思うので…背景からすこしお話しようと思います。

日本には外来生物という分類がされている生物が存在します。
外来生物とは環境省の定義で
本来の生息地から分布していなかった場所に導入された種
となります。
その導入には意図的、非意図的かどうかは問わず、またすべての外来生物が悪影響なものと言うわけではありません。
が、外来生物というと生態系を脅かす種、という認識している方もいると思います。
侵略的外来生物、という分類がその認識に当たります。
また、侵略的外来生物の中でも特に生態系に被害を及ぼすほどの種を特定外来生物と定義しています。

特定外来生物には例えば現在アライグマやブラックバス、ウシガエルなどが分類されており国の許可なく生きたまま運搬することが出来ません。
生きたまま運搬することが出来ないので、もちろん飼育することは不可能です。

で、件のアカミミガメとアメリカザリガニですが、こちらは国内在来種の生態系にかなりの影響を及ぼしているのにも関わらず特定外来生物には指定されていませんでした。

その点については

こちらの記事の添付資料②に詳しく書いてますが
アカミミガメやアメリカザリガニのように生態系に大きな影響を及ぼしているにもかかわらず、飼育等を規制することによって、大量に遺棄される等の深刻な弊害が想定される種は放出、頒布を目的とした飼養を主に規制する仕組みの構築や対策を進める必要がある(一部省略)

とのことで、本日まではよくペットとして多くの人に飼育されているアカミミガメ、アメリカザリガニを特定外来生物に分類してしまうと飼育の禁止から大量に近隣の河川に遺棄してしまい現状よりも生態系の悪化が懸念されることから特定外来生物には指定されていなかったというわけです。

それが本日よりアカミミガメ、アメリカザリガニは条件付特定外来生物の指定がされました。
飼育はこれまで通り届出等が無くても許可。生きたまま運搬することも可能。
ですが、野外に放したり、逃がしたり(逃げられたりしても)すると違法となります。
また、飼いきれなくなった場合、友人や知人に譲る(譲渡)することは可能ですがSNS等で不特定多数の人間に配る(頒布)することは違法です。

この対応は個人的にはとても良いと思います。
ペットとして飼育されていることを認め、終生飼養という考えを根付かせるという意味でもよい規制だと考えています。
この規制により少し緊張感を持って飼育してもらうことにより飼育頭数を減少させ、しばらくしてから特定外来生物に移行という流れでしょうか。
ちなみに犬や猫も捨て犬、捨て猫が現に存在している状況ですがこちらも動物愛護法により違法ですし罰せられます。

一度でも飼うと決めて、一度でも人の手を施した生き物を無責任に捨てる(遺棄)ことは絶対にやめてください。

新しい法規制ということで今年度の愛玩動物看護師の国家試験にも出題されるの可能性は高いのではないでしょうか。


すこしいつもの記事とはテイストが違いましたが、興味を持って考えていただけると嬉しいです。

次回もよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?