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靴は何を履いてもしっくりこない。原因を歴史から考えてみる。
突然ですが
靴ほどサイズ選びが難しいものは無いんですよ。
だけど靴を選ぶ時に、足にピッタリフィットしているかいないかを、重要視してる人は意外に少ない。
残念なことに。
足が入ればいい…わけじゃないんですけどね。
そう思ってる人多いんですよね。
なぜ、正しいサイズを選べないのかな?
その原因を、靴屋で働いていた経験と学びから、書きたいと思います。
最後まで読んでいただいた後、
「どうりで靴が合わないはずだわ」
「いつも〇〇センチ買ってたわ」
とか感じて、自分の靴のサイズの選び方を、振り返るキッカケになるといいな。
まずは⋯昔話から
見た目重視の時代
私は、数十年靴店で働いていました。
入った当時流行っていた靴は、安室奈美恵さんが流行らせた厚底ブーツ(近年Y2Kファッションとかでまた流行りましたね)やスニーカーブームでNIKEのAIR MAXなど。パンプスのヒールもやたら高くて、履き心地よりファッション性重視だった時代です。
その頃、フィッティングする時のお客様に対して思っていた事は、
(かかと踏まないでぇ)
(ひも緩めてー)
(サイズ見て!)
⋯ディスプレイされている靴が、どうして足に合うと思うのでしょう⋯
もちろん、それは口には出さず
「靴べらをどうぞ」
「ひも緩めましょうか?」
「サイズお出ししますよ」
とかの声掛けする程度でした。
お客様が手に取った商品で、お客様が言ったサイズを出す。
「お似合いですよ」の決まり文句。
まあ、見た目重視の接客で、気に入ってもらって購入してもらえれば、それでOKな時代だったんです。
シューフィッターになる
2000年を越え靴小売店はネットショップなどに押され徐々に厳しい状況になり、他店との差別化を⋯という店の考えから、私はシューフィッターの資格を取りました。
ところで、シューフィッターのいる店で靴をフィッティングまたは購入したことがありますか?
というか、シューフィッターって知ってますか?
シューフィッターとは
靴専門店や百貨店などの靴売場で、お客様の足型を計測し、足の病気予防の観点から最適な靴の選定をアドバイスし、靴の調整や販売を行う専門家のことです。
足のサイズや形、歩き方の癖などを考慮して、もっとも履き心地がいい靴を提案します。
ようは、靴選びのプロです。
シューフィッターになって思ったこと
見た目重視から履き心地重視へ方針を転換。
シューフィッターになってしばらくすると、お客様の見方が変わリました。
シューフィッター目線で見ていると、デタラメなサイズ選びをしている人の多いこと、多いこと。
でも、仕方ないんです。
何故かというと、日本人ならどんな人でも、靴の選び方は『昭和の頃から変わってない』人が多いからです。
日本人の靴の歴史
日本で現代風の西洋靴を最初に履いたのは坂本龍馬と言われていますが、一般的に広まり始めたのは第二次世界大戦後で、日常的に草履や下駄ではなく靴を履くのが当たり前になったのは、1950年代頃からです。
なので、靴を履く習慣がついたのは、私の父親世代いわゆる団塊の世代でしょうか。
働いていた靴店も二代前は商品の大半が、下駄・草履だったようです。
日本人の靴の歴史は浅い。
それに加え、1000年以上も草履・下駄で歩んできた民族です。
靴が習慣化してきた頃の子供が履いていたのは、足を入れればいいだけのスリッポンタイプでした。
そしてサイズアウトしたら踵を踏んで靴底に穴があくまで引っかけた状態で履いたりする、これでは草履とさほど変わりません。
履物は引っ掛けて履く、という感覚が抜けてなかったのか、踵が靴に当たる感覚に慣れなかったのかもしれません。
これは、あくまで私の考えですが…
靴の歴史の浅い国ですが、日本製の靴の性能はどんどん良くなりました。
ただ今でも、
『正しくサイズを選ぶ』『正しく履く』
ことに意識を向けている人は少ないと思います。
この2つの問題は靴業界の最大の課題でしょう。
なぜ正しいサイズを選べないのか?
では、なぜ正しく選べないのでしょうか?
ここからは、私の経験上の考えですが…
一つのモデルケースです。
洋服や靴など日用品のサイズの選び方は、基本的には、親から子へ教える…というか、親に選んでもらって何となく身についていくものですよね?
そんな子供の靴を選ぶシーンでよく聞くのは「どうせすぐ大きくなるから、ピッタリじゃなくて大きいサイズにする」
というお客様のです。
それは間違ってないんです、ただどの程度大きくするかです。
30年位前なら、2センチ以上大きめを購入する人はよくいました。2センチ以上大きいというのは、適度な捨て寸プラス2センチです。
その当時は(大きすぎるだろう?)と思いながらも、
「脱げるようならインソールで調節するか、ストッキングをつま先に詰めるといいですよ」
なんて、言ってました。
「歩いて脱げないならいいよ」
とかね
今考えると、ゾッとします。
現代の子供靴は、メーカー側は短い期間でサイズアウトし買い替えることを想定して、耐久性より軽さを重視している物が多いです。
なので、仮に2センチ大きいのを購入すると、ちょうどよくなるのは個人差はありますが、だいたい2年位先です。
その前に、たいていの靴は壊れます。
なので、子供はピッタリサイズの靴を履く、
という感覚を知らずに育ちます。
私もそうでした。
そうやって育った子は、大人になっても捨て寸(爪先のすきま)を多めにとってる状態が、ちょうどいいと勘違いしたままで大人になります。
そして、靴を買う時、とりあえず今まで履いていたサイズと同じサイズをフィッティングして、入ったから良し!痛くないから良し!で購入しちゃって、
「何買っても靴が合わないんだよね~」
と言うようになる人もいます。
靴ってそんなもんでしょ?って顔をして。
そもそも『ちょうどいいサイズ』という感覚を間違えてるので、サイズが合ってない、とは思わない。
そして、親になり我が子に同じように選ぶ…
という悪循環。
さすがに、昔のように大きすぎる靴は選ばなくなりましたが、根本の考え方はさほど変わってません。
だいたい今の4、50代に多いかな⋯と思います。
その間違った靴選びで、足に影響が出始める世代です。
そういった悪循環を断ち切るためには⋯
自分の足のサイズを知る
一番の解決方法は、足のサイズを測定することでしょう。
足を測るという習慣がないから、靴屋に行って
足を測るという発想にならない。
シューフィッターになった私は、お客様が来店したら、まずは足の測定をさせてもらっていました。
たいていの人は興味本位で測らせてくれました。
シューフィッター専用スケール『フットゲージ』で測るんです。
ちょっと面白いでしょう?
結論
履いてみて大きいか小さいかの感覚的なものではなく、まずは足を測定してから靴のサイズを合わせる。
それが靴を選ぶ時の当たり前になるといいな。
なんのために正しいサイズ選びをするのか、
数年、数十年先の自分の体を守るためにです。
年齢を重ねると必ず出てくる、足の変形・膝痛・腰痛問題も、靴を正しく履くことで予防・軽減しますよ。
最後まで読んでいただき有難うございます!
おまけ
今履いている靴が足にあっているか、簡単に知る方法。
靴を履く
椅子に座る
足をつけた状態でつま先をあげる
踵を床に数回とんとんとつける。
足を戻し、爪先を押してみる。
靴の種類にもよりますが、隙間が1cm以上あったら大きいです。
これは、正しい靴の履き方にも通じています。
ぜひ、頭の片隅に⋯
次回は、靴のサイズについてです。