刑事裁判傍聴記
法律に興味があり、現在予備試験の勉強をしている。
以前より裁判の傍聴に行ってみたいと思っていたのだが、ついに時間を得て、念願の傍聴デビューを果たした。その経験を共有したく、こちらに投稿することした。
今回傍聴した裁判の情報
日時
5月某日午後
場所
某県 地方裁判所 本部
裁判の内容
刑事事件 罪状:過失運転致傷 及び 道路交通法違反
裁判所到着
自動車で行った。ナビで裁判所の住所にセットしたら普通に着いた。駐車場に入り、来訪者用の場所に停めた。特に料金等がかかるシステムではなく、普通に止めることができた。駐車しようとしている時ちょうと若い婦警さんが裁判所に入っていくのが見えた。おお、と思った。
裁判所に入り 傍聴席へ
正面入り口から普通に入った。普通に入れた。掲示板のようなものにその日の裁判の一覧が張り出してあると思っていたので、キョロキョロして掲示板を探したが、なかった。総合案内におじさんが座っていたので、傍聴が初めてであることを告げ、掲示板がどこかと聞くと、「そこのテーブルの上のファイルにあるよ。もう今は刑事しかないんじゃないかな」と言ってくれた。
見ると、確かに近くの長テーブル(会議室でよく見るやつ)の上に、ファイルが2つあった。民事と刑事と書いてあった。民事のファイルには紙が挟まっていなかった。おじさんのいう通り民事はもう今日はやってないのだろう。刑事のファイルを見ると、今日の予定表があった。丁度これから101号法廷にて事件があるじゃないか。なになに、過失運転致傷、道路交通法違反。
覚醒剤事件だと、一日で終わる?とかで、傍聴初心者にはおすすめというアドバイスをいただいていたのだが、覚醒剤事件はリストになかった。
その他予定表にあった事件は詐欺、窃盗、産業廃棄物の不法投棄などであった。とりあえず、丁度これからぴったりの時間にその法廷が開廷されるらしいので傍聴しようと思った。しかし、どこから入ればいいんだ??確かに101号法廷のドアはあるが、もしガチャっと開けて裁判長の真後ろに繋がっていたら気まずいではないか。本当にあのドアから入っていいのか?などと考えつつ、お馴染み総合案内のおじさんに聞くと、なんでそんなことを聞くんだ的な感じで、もう始まってるランプついてるな、普通に入っていいよと言われたので、「普通に入っていいんですか」と聞くと、「ああそこから入ったら良いよ」と言いながら、例のドアを指差したので、普通にそのドアから入って良いようだった。
恐る恐るドアを開けると、そこは確かに傍聴席の後ろに繋がっていてホッとした。2−3人の人がいた。映画を見る時のように、後列の真ん中らへんに座ってみた。これが傍聴席か。荘厳な雰囲気を感じた。ただ、裁判長と視線がぶつかってしまう位置だったので、少し気まずくなり、最左列(弁護側の近く)に移動した。
開廷
本当に丁度良いタイミングで裁判所につくことができたらしく。私が傍聴席に入ったタイミングでその法廷は開廷した。
裁判官(=裁判長)1人と書記官、被告人、弁護人、検察官の5人が法廷にいた。
裁判長と書記官は女性、被告人はおそらくかなり年配の男性、弁護人と検察官は男性であった。
氏名等の確認
最初に被告人が証言台に立ち、氏名、本籍地、住所を述べた。本籍地を聞かれているのに被告人が住所を答えてしまい、裁判長が聞き直したりしていた。裁判長は割と優しい口調で喋っていたので、どこか親しみを感じた。国権の1つを担う司法の機能が目の前で果たされているという事実と、その親しみやすい雰囲気とのギャップがすごかった。現場とは得てしてこういうギャップがあったりするものだと、納得した(←偉そうなことを言いたい年頃)
起訴状の読み上げと罪状認否
検察官が起訴状を読み上げた。イメージ通り、起訴状の内容は、めちゃめちゃ独特の言い回しであった。「○時○分、○○を走行中…注意義務があったのであるから…」「○○に関する法律第○条及び刑法第○条○項…」みたいな感じであった
(ここら辺、実際の検察官の発言と細かいところは相違しているかも。イメージです)
それで、検察官が起訴状を読み上げると、裁判長が、起訴状の事実に間違いはありませんか?と被告人に聞いた。被告人は少し聞こいづらいとか色々問題もあり、また、言いたいことがあったのだと思うが、「イエスノー」では答えずに、自分の言い分を話そうとしたり、少し一悶着あったのだが、裁判長がうまく噛み砕きながら、整理して聞いていた。ここで思ったのが、裁判においては、手続き上答えるべき時に答えるべきことを述べることが求められ、適時でない発言は歓迎されていないっぽく、そう言った意味では淡々と進んでいくんだなと思った。(これは私個人の感想であって、事実は知らない)
起訴内容は非常に簡潔にまとめると、「1、自動車運転中に注意義務を怠り、横断歩道にて3歳の子供と接触した」「2、その後の救護措置を怠った」ということである。
被告人は認否を述べたのだが、まとめると、2については認めるが、1の過失の有無及び接触した場所(横断歩道の手前であって横断歩道上ではない)について争うということであった。
弁護人との打ち合わせ時のコンセンサスと違ったらしく弁護人が慌てていた。過失の有無については過失を認める方向だと弁護人は認識していたのだが、過失の有無についても被告人が争う姿勢を見せたためと説明した。その場での打ち合わせを裁判長に許可され、打ち合わせののち、過失の有無についても争うことになった。
黙秘権の説明
確かその次に、黙秘権の説明があったんだっけ。もしかしたら黙秘権の説明は起訴状の読み上げの前だったかもしれない。これは何かで見たことがある気がするのだが、「あなたは黙秘権がありますが、有利不利問わず、発言内容は証拠となりますので十分注意してください」的なことを説明していた。ここで傍聴人の1人の携帯がなり、おそらく書記官の声だと思うが、厳しい声で、「傍聴人は携帯電話の電源を切ってください」と言った。
証拠調べ
検察官が証拠の内容を述べた「甲○号証」みたいなやつで、番号と、簡単な内容を述べていった。言葉を聞いていただけで内容は見れなかったのでなんとも言えないが、現場の写真等や証言等だったと思う。その後裁判長が、検察官に、今後どのような予定で立証していくかを尋ね、「まだ正式には申請しませんが、3人の証人を考えています」みたいな感じのことを言った。裁判長が「まだ申請はしないですか」と聞くと、「はい」と答えた。
予定調整
1時間の予定時間が近づいてきたようで次の公判の日程の打ち合わせを裁判長主導で行なっていた。この辺りの予定調整は、裁判所の法廷でありながら、会議とかの日程調整と同じような雰囲気であった。
閉廷
閉廷し、傍聴席を後にし駐車場に向かい、車で家に直帰した。
感想
初傍聴ということもあり、知らなかったことだらけであり、非常に勉強になった。傍聴は憲法で保障されている通りちゃんとできるんだと思った。しかもハードルは思ったより低かった。おすすめしたい。