![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/167407006/rectangle_large_type_2_3f799ce01bce8a1f634ec3fb171dc870.png?width=1200)
小児のルート確保で大事なことを端的に伝える
どうも、今回は研修医が小児ローテでぶつかる小児ルートについて大事なことを述べます。
ポタポタ採血とは
小児の血管にルート留置をして、そこから採血をする際は
通称「ポタポタ採血」によって行います。
(小児の血管は細い かつ 24Gの穿刺針を使うことが多いため、シリンジで引くことが難しい)
ポタポタ採血とは、逆流防止弁のついていない穿刺針で穿刺し、外筒の留置を行い、外筒部分より直接採血管に滴下させる方法です。
これの理由としては、できる限り空気塞栓のリスクを下げるという意味合いがあるようです。
実例についてはwebでご検索ください。
採血管は通常の真空スピッツではなく、小児用採血スピッツを使用します。
医師国家試験114回A3で出題歴があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1735277295-FetlM6JUigNoCvyREjafb1LQ.png)
①が小児用血算スピッツ、②が小児用生化学スピッツです。
では、真空管スピッツは使用することがないのかというとそういうわけではなく、生化学検査でそれなりの量が必要な場合に真空管スピッツの蓋を開けて直接滴下することもあります。
実際に現場で使用するスピッツについては、看護師さん等に聞いて下さい。
通常、救急外来等で使うことが多い穿刺針をまず挙げます。
![](https://assets.st-note.com/img/1735276758-8ZnXQbLyeBflUJtd9N0Ssv3E.png)
弊病院で小児で使用する穿刺針を挙げます。
![](https://assets.st-note.com/img/1735276981-GtzbCFDvQ483P9A2KJLVn5Tc.png)
穿刺針については逆流防止弁がついていなければポタポタ採血は可能ですが、病院、診療科によって使用する穿刺針が異なる場合があるので注意ください。
個人的には手背を穿刺する場合にはジェリコ、前腕に留置する場合にはサーフローが使いやすいと思います。
穿刺するとき
実際の穿刺の手順を説明します。
①物品を準備する。
②患児を固定する。
③駆血帯を巻き、血管をライト等で同定する。
④穿刺、ルート留置
①物品の準備は成書等をご参照ください
②患児の固定はルート確保において最も重要なポイントの一つです。
患児は必ずしも協力的ではありません。穿刺することを嫌がり、大暴れします。
したがって、安全に留置を行うためには患児の固定が必要になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1735277804-rb42HwyIjaKVvlchELYRTPGe.png)
上記のような抑制ボードを使用したうえで、誰か1名が穿刺する腕の方を保持して固定することが多いです。
協力者は患児の肘をしっかりと固定することが重要となります。
また、穿刺する側は、手背の場合、親指で患児の指先を掌側に伸ばし、人差し指と中指で患児の手首を挟み込むように固定します。
この手はルートの固定が終了するまで絶対に離してはいけません。
離してしまうと患児が思わぬタイミングで手を動かし、留置した外筒が抜けてしまうことがあります。
③手背を穿刺する場合、駆血帯は前腕に巻きます。自分の指で触ってみて血管を探す、または、患児の手掌からライトで照らして血管を浮かび上がらせることによって血管を探します。
![](https://assets.st-note.com/img/1735278211-748srlXaBqxRFSvUeP2ELANf.png)
ここでポイントです。
実際に手で触れることのできる血管は比較的浅い位置 かつ 太い血管であることを推定することができます。
目に見えない場合が多いので自信がない場合には穿刺しないことが多いでしょう。(ベテランの先生は颯爽と穿刺して留置を終える)
自信がない場合にはライトを透過させると血管が浮かび上がってみえるため有用です。
ここで重要なことは、ライトで見える血管の深さはわからないということです。ライトでわかるのは走行のみです。
太く見えたような血管が実は深い位置にあったせいで光の加減でぼやけてみえていただけということが多々あります。
細く見えた血管が実はかなり深い位置にあるということもあります。
走行のみを当てにして穿刺を行うことが必要です。
また、小児では血管が極めて浅い位置を走行していることがあるため、穿刺する角度は10度ほどの浅い角度で穿刺していきます。
浅い角度で逆血を得られない場合は皮下ギリギリまで針を戻して少し角度をつけて血管を探ります。
これの繰り返しによって血管の深さを同定していきます。
途中で血管を貫いてしまうとライトではっきりと腫れてくるのが見えるため、速やかに抜針して止血しましょう。
また、脱水状態の小児のルート確保では、血管内脱水が強く、穿刺してもすぐに逆血が得られないことがあります。
これを理解せずに穿刺をすると、逆血を本当は得られていた場所を超えて穿刺してしまい、血管を貫いてしまうことがあります。
血管内脱水がありそうな小児の場合はゆっくりと穿刺し、逆血を確認しましょう。
もちろん、穿刺する際には皮膚を貫く時が最も痛いため、速やかに皮膚を貫くことは忘れてはいけません。
また、穿刺する刺入点は自分が目視で留置しようとしている部位よりもやや末梢側から穿刺しましょう。
留置する部位と同じ位置を穿刺すると針先は狙いたい場所をすぐに超えてしまいます。
穿刺する際には必ず自分の片腕をベッド等にくっつけて固定した上で穿刺しましょう。
思わぬ動きがあったときにしっかりと固定してあればリスクを下げられます。
ルートの固定をしっかりと
適切に穿刺を行えた場合、外筒から血液が滴下してきます。
外筒が入っていると思われる血管位置よりも少し中枢側を指で圧迫して血液の滴下を止めます。
逆流防止弁がついていないため、これを怠ると血だらけになります。
また、穿刺してすぐの場所を圧迫しても外筒を圧迫することになり、滴下は止まりません。
血管を圧迫することを意識しましょう。
ルート確保後は採血を行います。
特に血算スピッツは量が決まっているので気をつけましょう。
多くても少なくてもいけません。
採血終了後は、生食ロック、もしくは、輸液を接続します。接続する際はしっかりと外筒を保持したうえで抜けないように気をつけましょう。
接続が完了したら、生食、輸液の通りを確認して問題ないようであれば、固定に移ります。
小児の場合、ルートをしっかりとシーネを用いて固定しないと自己抜針してしまうリスクが高いです。
固定方法については以下サイトご参照ください。
いずれについても、看護師さんにご協力いただく場合が多いと思いますので
感謝とお礼を忘れないようにしましょう。
まとめ
今回の小児ルート確保の重要ポイントです。
①患児をしっかりと固定する
②ライトで見える血管は深さはわからない
③血管内脱水が疑われる場合にはゆっくりと
④狙いから少し末梢側を刺入点とする
⑤自分の片腕をベッドにくっつけて固定する
⑥滴下を止める際はすこし中枢側を押さえる
⑦血算スピッツ二注意