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我が家の小さな料理人の夢

我が家には小さな料理人がいる。
「わたしもご飯作りたーい!」
私が台所に立つと、遊んでいた手を止めてやってくる。

昨日もやってきて、卵焼きを焼いてくれた。

ガラスのボールに卵を割る。
長い菜箸で、卵を縦に切りながら混ぜる。
菜箸に卵をつけてフライパンに垂らす。
ジュッ。
温まった。
混ぜた卵の入った重たいガラスのボールを両手で持って、フライパンに半分入れる。
フライパンを揺らして全体に広げる。
半熟の卵を、フライ返しで巻く。
残りの卵もフライパンに入れる。
先に焼いた卵の下にも、フライパンを揺らしながら流し込む。
半熟状態で巻く。
ぷるぷる卵焼き、お皿に乗せて、
はい完成!

最初から最後まで1人で作った。
本当に見事な料理人だ。

作ってくれた卵焼きを、私は温かいうちに食べた。
「美味しい!〇〇ちゃん(娘)が作った卵焼き、美味しいね!ありがとう」
娘は照れくさそうに笑った。
まだ4歳の娘が、なんだかお姉さんに見えた。

きゅうりを切ったり、ハンバーグも丸めてくれた。

真ん中も穴が空いてる。
一口サイズが我が子は好きなので、小さいハンバーグもころころころころ。
ぎゅっと握った手型もかわいいなぁ。
作ることが本当に楽しくて好きみたい。


娘がお料理を好きになったのは1歳の頃だ。
兄が作るとなると必ず一緒に私のいる台所に来ていた。
はじめて作ったのは、1歳半のとき。
ピザのトッピングや巻き寿司作りを手伝ってくれた。
具材を乗せる、小さな人差し指と親指でつまむ指先が、本当に器用で驚いた。

次第に包丁にも興味を持った。
兄が野菜嫌いだったため、夏には、息子が選んだ野菜の苗を一緒に買い、一緒に育てていた。
トマトやきゅうり、ナスにピーマン、スイカまで。
子どもたちは、毎日収穫するのが日課になっていた。
そのとき、子ども用の包丁も買い、
息子は収穫して、嫌いだったはずの野菜をそのまま食べたり、自分で切ったりしていた。
それを見ていた娘も
「わたしもやる!」
包丁を持ちたがった。
まだ1歳11カ月。
危ないし、怖い。
でも、私も一緒に手を添えれば大丈夫かと思い、娘の手の上に私の手を添えた。
「イヤ!」
すぐに手を振り払われ、逆にヒヤッとなった。
イヤイヤ期真っ盛り。
なんでも、自分で!1人で!やりたい!だった。
止めることはできない。代わりのものを探した。
「包丁はお兄ちゃんのだからね」
「こっちが〇〇ちゃん(娘)のよ」
バターナイフを渡した。
"わたしの"で納得してくれた。
はじめは慎重に。次第に、いーーーっと口に力を入れてきゅうりを切っていた。

断面は、ガタガタ。
それでも娘は、切ることができて満足そうな笑みを浮かべていた。

2歳になってからは包丁を持たせた。
切りにくいバターナイフではなかなか切れないからだ。
思うようにできない姿は、娘の"やりたい"に応えられていない気がした。
ハサミも使えるようになったし、
手を添えることはできないが、見守ることはできる。手が切れないよう、横で見守りながら、左手の置き場所を度々伝えるようにした。

やればできた。

繰り返すうちに、娘は切るのが上手になった。

3歳になって、きゅうりの薄切りと、卵焼きも1人で作ることができるようになった。
野菜炒めや、お菓子作り、お皿洗いや、最近では、揚げものも手伝ってくれる。


こちらはヒヤヒヤする。

手が切れないか。
火傷しないか。
しかも、粉がたくさん落ちたり
量だってわからないから、掃除が大変だったり、失敗することだってありえる。

でも、やらせてみると、
失敗しても笑う。
成功しても笑う。
一緒にやればできるようになるし、
上手になる。
だから、リスクがあっても、「やりたい」といってきたことは、やらせたいって思う。


ある日、パパの帰りを待ちながら、娘とご飯を作っていると、
「わたしね、お料理好きなんだ〜♪」
と言ってきた。
私は結婚するまでほとんど料理をしなかったし、得意ではない。
でも、結婚して料理はできた方が良いと思っていたから、好きになってくれて良かったと思った。

ある時は、兄が友だちにプロポーズしていると、娘は私にプロポーズしてくれた。
「結婚してください、お料理します」と。
お母さんになったらご飯いっぱい作ってくれるのかなと、なんだか微笑ましかった。

そんな娘は、大きくなったら"パン屋さん"になりたいようだ。
娘の4歳の誕生日のとき、私がキティちゃんなどのサンリオキャラクターの肉まんを作るのを手伝ってくれたのがきっかけだ。
こねる手つきがよく、力いっぱいこねてくれた。とても上手で私はいっぱい褒めた。
すると、

「大きくなったら、パン屋さんになる!」

娘が夢を見つけた瞬間だった。

娘の夢を応援したい。
夢を見つけた娘に、私は何ができるだろうか。
よし、一緒にお家でいっぱいパンを作ろう!
そう思った。

娘とパンを作る。

やっぱり娘はこねるのが上手。
5分くらい1人でずっとこねる。
諦めない。力いっぱいこね続ける。

一緒にパンを作っていると、娘は私に聞いてきた。

「わたしがパン屋さんになったら、みんなパンくださーいって来るね♪でも、わたしとお兄ちゃんが大きくなって仕事でお家からいなくなったら、ママとパパ2人になるね。寂しい?」

「寂しいね。でも、2人の夢が叶ったらママうれしいよ。ママ毎日〇〇ちゃん(娘)のパン屋さんに行く!」

「でも、ママがもういいかい?って言ったら、私はまーだだよーっていうよ。だってお休みの日もあるでしょ?」

笑っちゃった。

寂しいかもって思いながら、涙こらえて言ったのに。
確かに毎日パン屋さんしてたら疲れちゃうもんね。よくわかってるな。

娘と夢の話をする時間は、とっても幸せ。

娘はたびたび言う。
「わたし、パン屋さんになるんだ〜♪」

遊んでいるときも、ソファーに座っているときも、絵本を読んでいるときも。

昨夜も娘は、お誕生日に園からもらった、質問されたことを書いて作る絵本の、"大きくなったらパン屋さんになりたい"と先生に書いてもらったページを見ていた。

福音館書店
ぐりとぐら おたんじょうびおめでとう

パン屋さんになりたい夢が膨らんでいく。
そう思っていると娘は、

「パン屋さんが終わったらー、わたしお花屋さんになりたーい!」

娘の夢は1つじゃなかった!!!!

でも、いいね〜、いっぱい夢があって。

大きな夢でなくてもいい。
途中で夢がかわってもいい。
自分らしくいられたらいい。

夢を見つけて、
夢をもって
大きくなって、
あなたの夢が花咲いたとき
ママは心から「おめでとう」って笑顔でいいたい。

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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

子どもがお料理したいと言って来たとき、
危ないし、掃除が大変だし、時間がかかるし、止めると怒ったり泣いたりすることを想像すると思います。
でも、"これならできる"を見つけながら、"やりたい"を叶えていくことで、年齢関係なくできることを知りました。
子どもの可能性を伸ばすためには、親の都合で静止しないことがとても大切なかかわりだと、自分の経験から感じます。
子どもは夢がいっぱいあって素敵ですね。
夢をもつ娘といられて、私はとても幸せです。


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