小さくて大きな夢

誰かのために願う夢は、かけがえのないもの。
どんなに小さく見えても、大切な夢。

あなたにはありますか。
叶えたい、大切な夢。

私は昨夜、寝ているときに悪夢を見た。

どんな悪夢かって？

私の父の脳に癌ができた悪夢。
私は父に抱きついて「イヤだー」っていい、泣きながら目が覚めた。

現実になったら、本当に辛い。
いつどうなるかなんて、わからない。
だから、早く夢を叶えなくちゃって。

私の夢はね、私たち家族と一緒に、父と母を旅行に連れて行くこと。

とっても小さな夢でしょ。
すぐに叶えてあげられるような夢だよ。
だからちょっと人にいうのは恥ずかしい。
でも、叶えたいって思うから、恥ずかしいって思わなくなった。

なぜ、旅行かというとね。
私は小さいころに、他の人があまり経験していないことで我慢をしてきた。
もちろん、それ以上に楽しいこともあったし、なによりも両親に愛情を注がれ、兄姉仲良く過ごすことができて幸せだった。

でも、どんなに我慢できたとしても、子どものころ一番辛かったのは、両親がケンカする姿。
時々ではあったが、いつもケンカが始まると、私は姉の部屋で泣いていた。
兄と姉は、私と年が離れているからか冷静で、私の耳を代わりに塞いでくれていたこともある。

父と母はね、本当は仲がいい。
お互い、お互いがいないところで私に話す。お互いのいいところを。
父も母もがんばって、たくさん我慢してきた。
そんな父と母に、あまりできなかった旅行をプレゼントしたいなって。

ふーん
へー
小さい夢

誰になんていわれようと、私はいつまで元気でいてくれるかわからない父と母に、いつまでも笑っていてほしいんだよ。

最近会うとね、母はあまり変わらないけど、父は年をとったなって感じる。

数か月前に、一緒に神社の長い階段を登ったことがあった。子どもたちはすいすいと上り、他のみんなも子どもたちの可愛さについていく。でも、父だけは後ろからゆっくりと。私は父の隣に行き、一緒に歩いた。

私は父に聞いた。
「やっぱり年とったなって感じる？」

父は、笑いながらいった。
「やっぱり、75を超えたら体力落ちたなって感じるようになったな」

普段から健康には気をつけている父。
ラジオ体操をしたり、
手にボールを持って握ったり、
かかとを上げ下げして、第二の心臓といわれるふくらはぎを鍛えたり。
いつまでも、元気でいたい気持ちが伝わってくる。でも体力の衰えを感じている。

立ち姿を見ると、前よりも腰が曲がってる。
顎や頬の肉は、以前より垂れ下がってる。
メガネをのけると、しょぼしょぼした小さな目。

結婚して離れている間に、いつの間にかこんなにおじいちゃんになったんだなって感じた。
私にとっては、いつまでも父で、いつまでも甘えたい。でも、大切にしてもらった分、大切にしたい思いも強くなってきた。

先日は、椅子に座った父の隣に座って話をした。いつもは無口の父。我が家に来ても、ソファーに座って、みんなを見ていることが多くなったとも感じる。でも、知識は豊富で、昔の話をするのは好き。

私は隣に座って聞いた。
父の学生の頃の話。
亡くなったおばあちゃんの話。
弟の話。
19歳で亡くなった妹の話...
いろいろ話してくれた。

最後は、どんな流れからだったかな。
父は椅子から立ち上がっていった。

「パパは死ぬの怖くないよ。だって最後の最後に死ぬときは、痛みを感じないから」

13年前、祖母が亡くなったときは、「次は、俺の番だな」って弱音を吐いていた父。何か心の変化があったのだろう。まだまだ怖いと思っている私には、年をとって弱々しくなった父の姿が強く見えた。

結婚式の余興ではね、事前に撮った父と母からのメッセージ映像もあった。
母は、旦那さんに対して「思いやりをもって、大切にすること」を。
父は、娘自慢だね。「いっつも笑顔で、なんでも一生懸命なんだ」って伝えてくれた。

結婚したって
孫の姿を見せたからって
私はまだまだ親孝行できていない。

誰よりも結婚を反対をしていた母。最後は、「大切に育てたので、大切にしてください」と、夫にゆだねた。それまでわかっていなかった。でも、母の一言で、私は大切に育ててもらったことに気づいた。

あなたも、両親と離れて暮らしていると年をとったなって感じるよね。
自分が年を重ね、これからの生き方を考えていると、両親の人生も大切にしたいと思うよね。

いつまでも元気でいてほしい。
いつまでもうれしそうに笑っている父と母の姿をみていたい。

父と母にできる親孝行。
笑顔で喜んでくれること。

そう考えて思いついたのが、娘や孫たちと行く旅行だった。

やっぱり一緒に過ごす時間が楽しい。
旅行といっても、遠くなくたっていい。
近くであっても、
一緒に遊んで、
一緒に美味しいものを食べて、
一緒にお風呂に入って、
一緒に寝て。
それだけでも父と母は喜んでくれるはず。

もうすぐ、姉も結婚する。
私と姉がいなくなることを、とても寂しがっていた母。だから、みんながいるあたたかい家族旅行をしたい。

たとえ他の人にとって、小さな夢でも。
私にとっては叶えたい夢。

あなたの夢はなんですか。

どんなに小さな夢であってもあなたにとって心から叶えたいと思う夢であれば、それはとっても大きな素敵な夢。誰かを喜ばせることって、小さなことだっていい。

限りある時間を
"ありがとう"を形に
幸せだなって思えるおもいでを。

私は叶える。

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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。