借り暮らしマインドで気楽に生きる~転勤族は面白い~
「転勤族」と言うと大変そうなイメージを持たれることが多いので、わたしなりに感じてきたことを書いてみたいと思います。
わたしは転勤族の父と専業主婦の母、3歳上の兄との4人家族でした。幼い頃から引っ越しが多く、小学校は3回転校しました。大変そうだねとよく言われるのですが、わたしは幼少期からこの生き方を気に入っていました。来年どこで何をしているかわからない、その不透明さを面白がり、常に借り暮らしのような身軽さを楽しんでいるところがありました。
将来結婚する人も、絶対転勤族の人にしよう、と思っていたくらいです(実際に今の夫は転勤族です)。一度きりの人生、いろいろな場所に住んでみることができるなんて最高に貴重な経験じゃないか、しかもそれが好きな場所じゃなくてランダムに指定されるというところがまた面白い。自分では絶対に選ばないような場所に行ける、それこそ運命じゃないかと。そもそも「どこか一か所にこれから一生住みます!」という方がわたしにとってはイメージしにくいことでした(今も)。
1~2年おきに環境が変わるという経験を繰り返した結果、わたしは自然と「良くも悪くも今の環境がずっと続くわけではないということ」「案外どこでもなんとかなるものだということ」に気が付いていきました。いつの間にかいろいろなものを俯瞰で見る癖がつき、良いことも悪いことも、この広い世界のほんの一部だという感覚がありました。
実際に経験してきた身だからこそ言えることとして、まず、半強制的に人間関係をリセットできることはメリットも大きいです。本当に大切な人とは、住む場所が離れても繋がっていられる手段はいくらでもあります。新たな場所には新たな出会いもあります。定期的かつ自動的に「心機一転」できることは、転勤族の魅力の一つです。
そして人間関係だけでなく、何かをやめる、はじめる、捨てる、買う、など多くの「きっかけ」をくれます。いつ、何がきっかけで自分の人生が大きく動き出すか誰にもわからない、だからこそきっかけが多い人生は面白いと思うのです。
また、生きていく中で、上手くいかないことがあったり、嫌な奴がいたり、それは誰にも避けられないことだと思いますが、それが「今だけだと知っている」「いざとなればいつでも抜け出せると知っている」、それだけで少し生きやすくなるような気がします。世界は広い。一度の人生で絶望するには、この世界は広すぎる。
わたしには、今年1歳になる息子がいます。夫が転勤族である以上、息子も少なくとも幼少期のうちは、各地を転々とすることになるでしょう。慣れ親しんだ環境から離れるのは寂しい、新しい場所に飛び込むのは不安、その気持ち、よくわかります。だけど、得られるものもたくさんあると教えてあげたい。どこで誰と生きていくか、あらゆる選択肢があることを知って欲しい、多くの出会いや経験を通して、大きく羽ばたいていって欲しいと願っています。
こんなわたしなので、よく「ポジティブだね」と言われることがあるのですが、「面白がらないとやってられなかった」というのが本音です。大変なことももちろんありましたが、こうやってなんとか自分の人生を肯定しながら生きてきたような気がします。きっと負けず嫌い。転勤族の息子が「かわいそう」と思われるのが嫌で、これを書いたのかもしれません。ちょっとでも「転勤族も面白そうかも」と思ってもらえたら嬉しいです。
(コナンとか金田一とか見てた世代なので、幼馴染は憧れたな〜。)