──シンクロ軸サンダードラゴンについて
サンダードラゴンについて誤解をしているエアプが多すぎるので、今回はかつて作成したデッキ【シンクロ軸サンダードラゴン】(Synchronic thunder Dragon)の備忘録も兼ねてその「誤解」を解いていくこととする。
◆サンダードラゴンの強みとは?
サンダードラゴンに関する最大の誤解の一つに、“サンダードラゴンの強み”が存在する。エアプの多くはこの問いに関して、「超雷龍の圧倒的制圧力」と答える。しかし、サンダードラゴンに精通したプレイヤーの多くは違う強みを答えるであろう。
「雷神龍ループによる圧倒的アドバンテージ差」。これがサンダードラゴン最大の強みであり、目指すべき勝ち筋である。
最も、エアプがこれを勘違いしてしまうのはしょうがない面もある。いくら最大の強みでないにせよ、超雷竜を出すだけでイージーウィンに持ち込める場面は存在する。
サンダードラゴンは今となっては環境の端っこの方にひっそりと佇む、ある意味過去のデッキであり、対面する機会は環境トップのデッキに比べれば少ない。エアプの方々にとって、解決札が引けないままに超雷竜になぶり殺されてしまう記憶だけがサンダードラゴンの印象になってしまうのも無理はないだろう。
しかし、一度でもサンダードラゴンを握ったことのある有識者の方であれば、その記憶とは10回に1回有ればいい方のラッキーな試合であると理解していただけるはずだ。
◆サンダードラゴンの弱み
さらにもう一つ、サンダードラゴンの弱みに関する誤解についてもここで語っておく。
一般的に、これはエアプでも有識者でも関係なく、サンダードラゴンに関する誤解でもなんでもない共通認識として、「高い事故率」こそがその最大の弱みであるという風潮が存在する。
確かにサンダードラゴンには(完全な)一枚初動が存在せず、二枚初動が基本のデッキであるため的を得た認識であることは間違いない。
先に述べた「誤解」の延長線として、「超雷竜が展開できれば初動である」という誤解もあるが、これはもうわかっていただけると思うが全くの勘違いである。超雷竜の制圧力は10回に1回勝てればいいレベルであり、ただ出しただけでは、ただのドローゴーと何も変わらない。
「封印の黄金櫃」や「烙印融合」はサンダードラゴンにおける初動とは言い難いのである。(烙印融合に関してはスタペリアも展開できるので初動と言えなくもない。リンク召喚が封じられるのが最大のネック。)
つまりは、弱みに対する誤解とは、強みに対する誤解に端を発する、事故率の高さの程度の差と言えるのである。
超雷竜が展開できるだけの手札は、サンダードラゴン使いにとっては大事故でしかない。エアプの多くは「事故ると言っても超雷竜が出せればそれでいいよね」みたいに考えがちであるが、それは大きな誤解である。
◆「真のサンダードラゴン 」
では、その誤解のヴェールを剥がした真の強みと弱みを踏まえた、「真のサンダードラゴン」。それがどのようなデッキに帰結するかをここから解説する。
まず、サンダードラゴンの強みと弱みを抽象的な展開論から具体的な構築論へと変換する。
「雷神龍ループによるアドバンテージ差」
→「雷神龍ループの成立要件を満たしながら質の高い制圧を先攻で達成する。」
「高い事故率」
→「初動を増やす」or「事故率を高止まりさせて、その分だけデッキの爆発力を高める。」
強みを活かし、弱みを殺す構築に求められる要件がはっきりした。
高い事故率という弱みは、事故率とトレードで得られる爆発力を高めることで相殺し、雷神龍ループの成立と質の高い妨害を揃えるという強みを生かした展開の成功率を上げることによって、サンダードラゴンというデッキのポテンシャルを最大限に引き出せるのである。
遊戯王のデッキは60枚が限界であるのだから、一旦60枚を埋めてしまえば、展開札を削らない限り、それ以上事故率が高くなることはない。この事実に気づくプレイヤーは何故か少ない。
それでは、その目標を満たすためには具体的にどのようなギミックをサンダードラゴンに取り入れたら良いのだろうか。10万枚以上のカードが存在する遊戯王というゲーム。必ずそこにはピッタリ合うカードが存在する。
混沌魔龍カオスルーラー。これを主軸にしたシンクロ軸サンダードラゴンこそサンダードラゴンの到達点である。
◆シンクロ軸サンダードラゴン
・デッキレシピと採用したギミック
トップにもあるように、ハリ禁止前までのマスターデュエルで実際に使用していたサンダードラゴンがこれである。
それではまず採用したギミック、不採用にしたギミックを解説する。
カオスルーラーを展開するためのギミックとして、本来はPUNKギミック(MDではこの記事を書いている時点ですらまだ未実装のディアノートを採用したギミック。セアミンor緊急テレポートからカオスルーラー+レベル8orセアミンを展開できるギミック)を採用したいところではあったが、ジェネリックPUNKギミックとしてバスターモードギミックを採用している。とはいえ、ワンフォーワンを採用できることから半分は召喚権をキープしつつ起動できるギミックであるためそこまでの劣化はない。ただ不要札が多い。
また、孤高除獣と太陽電池メン、封印の黄金櫃は採用せず、サンダードラゴンを動かすギミックとしては混沌領域と闇の誘惑のみを採用した。これはこの6枚が最もアドバンテージを産むギミックであり、それを最大化するためと、そもそもカオスルーラーを起動することに成功すれば、サンダードラゴンだけで動くギミックはおまけ程度であるためこれらのみを採用。
デスフェニギミックと勇者ギミックは誘発のおとりとして、さらに展開がうまくいった場合の上振れとして採用。2ギミックとも相手ターンブラックローズとの兼ね合いが良い妨害札でもある。
60枚デッキであるため芝刈りを採用したくなるところではあるが、あまりにもデッキにいてほしいカードが多く、単純に墓地に落とせばそれがアドバンテージになるカードは少ないため不採用。
ヴァレットギミックはカオスルーラーをシンクロした後にクロシープを展開したいため不採用
・展開の仕組み
このデッキはカオスルーラーの落ちとギミックの組み合わせによってアドリブを多分に要求されるため、一例を紹介する。
カオスルーラー+モンスター1体
①:雷竜融合及び雷電が墓地に落ちている場合
クロシープss→カオスルーラー墓地efss→雷電ef雷鳥→雷鳥ef雷電ss→雷電リリース超雷ss→クロシープef墓地のチューナーss→チューナーとクロシープでハリファイバーss→ハリファイバーefオライオンss→オライオンとカオスルーラーでバロネスss→オライオンefトークンss
結果:バロネス+超雷+ハリファイバー(相手ターンにトークンとシンクロしてブラックローズ)
実際には領域誘惑のドローやルーラーの落ち、相手の誘発などあらゆる不確定要素があるためテンプレの展開は存在しない。雷竜融合が落ちていなければアナコンダから雷神龍を展開することもあるし、逆にモンスターが余ればアナコンダからデスフェニを出すこともある。いずれにせよアドリブ力が要求される。
と、まぁ既にギミックの圧倒的中核であるハリファイバーが禁止になった「終わったデッキ」についてプレイングや展開を書いても無為なのでここらで止めておく。
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