状況判断のトレーニング
1.はじめに
こんにちは。
風来GPでトルネコ3についての記事を書かせていただくということで、どんな話がいいかなぁ~・・・と考えていたのですが、トルネコ3の特色が出る分野ということで、私からは「状況判断」についてのお話をさせていただきたいと思います。
「状況判断」、それは私がわざわざ説明するまでもなく、ローグライクをやりこんでいる方々は日頃から意識的に研究をされている内容だと思います。知識を詰め込み終えた後は、プレイヤーの実力を鍛えるということ≒状況判断をトレーニングすることになります。ではなぜあえて「状況判断」をテーマにしたのか、それは各作品のもっと不思議系のダンジョンにおいて、トルネコ3の異世界の迷宮というダンジョンが状況判断のトレーニングに適しているからです。
2.異世界の迷宮が状況判断のトレーニングに適している理由
2.1.トルネコ3の異世界の迷宮
トルネコ3の異世界の迷宮というと普通のもっと不思議系ダンジョンであるにも関わらず、その難易度が高いことでよく知られています。高難易度化の要因は様々ですが、ダンジョンとして4つの固定階に大部屋モンスターハウス(以下、固定MHと呼びます)が設置されているという特徴を持っています。特に70F、81Fの固定MHは苛烈であり、対策なしに突破することはほぼ不可能になっています。異世界の迷宮は70、81のMHを越えるための準備をしつつ道中を凌いでいかなければならない、その点が1回目の踏破を難しくしていると私は思っています。
2.2.状況判断の解
ローグライクの状況判断について迷うのは、その場を凌ぐことが全ての解決にならないということです。例えば開幕のモンスターハウス、プレイヤーがその場で倒れてしまうことは最悪の失敗ですが、窮地を脱するために持っている対抗策を全て切ってしまえばこの先の道中でいずれ倒れてしまいます(簡単なダンジョンであれば歩き回っているだけでアイテムの補充は十分ということもありますが・・・)。ですので、状況判断の解として拠り所となるのは「最終階層の踏破」に繋がっているかという点です。
2.3.異世界の迷宮の難しさと固定MHへの対処について悩む
「最終階層の踏破」を見据えた選択ができているか、これを軸にした状況判断を鍛えるために異世界の迷宮というダンジョンは非常に適しているでしょう。道中の敵が非常に強烈でお店も少ないため、単に歩き回っているだけではアイテムが増えるより減っていく階層が多いです。そんなバランスの中では強力なアイテムを切りたい場面も多々ありますが、そのアイテムは固定MHを越えるために必要です。代案を考え状況を切り拓いていくことを強いられる、それが異世界の迷宮というダンジョンです。
3.実戦
3.1.例を出します
では、異世界の迷宮での状況判断とは実際どんな感じなんでしょうか。ここからは私のプレイ動画の中から、「固定MHへの対抗策を温存した状況判断」の一例をあげて解説していきたいと思います。
3.2.実戦の背景
下は2022年の11月20日のプレイ映像からのワンシーンです。不思議RTAフェスのふしちゃれ企画で「ポポロ異世界10回クリア」を掲げていたのですが、ちょっと時間が取れなくて最終日に無理矢理3回くらい打開しようとしてる最中でした。残り12時間程度で9回目のクリアを狙っている最中、とりあえずここで死ぬと目標はほぼ未達になるので失敗は許されません。
42F、ここは異世界の迷宮の中で「浮遊ゾーン」と呼ばれるエリアです。おおめだまという敵に部屋内の味方を全て混乱させられ、手間取っているうちに空から強襲してくる敵に攻撃されるという危険なエリアです。他の階層より罠が多く設置されており、移動にも気を配らなければなりません。そんな浮遊ゾーンですが、画像では開幕敵5体(赤いアイコン)、こちらは仲間4体(黄色いアイコン)で迎え撃ちますが、困ったことに石像(△のアイコン)が1つあります。
3.3.何を持ってるの?
アイテム欄は下の画像の通りです。隙間から仲間も見えますが、布陣はこんな感じです。アイテム整理ボタンを押してしまったため飛びつきの杖だけ表示が飛んでしまっています。
トルネコ3では呪われた指輪は効果を発揮しません。
壺:ご・・・合成の壺
壺:ほ・・・保存の壺
壺:イ・・・インパスの壺
壺:く・・・草の神の壺
杖:ひ2・・・火ばしらの杖 2回振った
杖:ホ・・・ホイミの杖
杖:め・・・メダパニの杖 3回振った
杖:い・・・痛み分けの杖
今回は草の神の壺があり、70、81の固定MHを越えるためのアイテムは持っています。世界樹の葉は持っていないので、一度倒れると冒険は終了です。
3.4.危険な要素
まずは危険な要素を書きだしましょう。
①敵におおめだまの可能性
おおめだまという敵は、先に話した通り部屋内のこちら陣営を全て混乱させてきます。混乱を食らうとプレイヤー(この場面ではポポロ)は仲間に指示を出せません。それはいいのですが、仲間は鍛え上げた攻撃力で味方を攻撃します。ポポロが殴られると90程度のダメージを食らう可能性がありますので、仲間からの攻撃+αでポポロは死亡してしまいます。この危険な敵、おおめだまがいるかどうかでこの開幕が真に危険な状況かが分かれます。
②石像がやばい可能性
メガンテの石像があると、仲間が敵を倒すたびに爆発を起こし仲間が死にます。この階層で仲間を失うと体制をを立て直すことは難しく、仲間が全滅すれば恐らく冒険は失敗に終わります。変化の石像の場合、仲間が敵モンスターに変身するのでより最悪です。他にもルーラの石像でポポロが別部屋で孤立させられ敵に囲まれる、重力の石像で仲間が罠を踏んで仲間が死ぬ、転んでアイテムを失う、などなど。①と併せると1個の石像とは言え甘くは見れません。
③大部屋MHの突破手段を失ってしまう可能性
先に画像で説明したとおり、今回は大部屋MHの打開策として草の神の壺+まどわし草を持っています。また、場所替えの杖+すばやさ草も次善の策として持っています。ここで怖いのは、転んだりして草の神の壺を失うことでしょうか。
④見えない敵
見えない敵、これは物理的に見えないシャドーのことではありません。浮遊ゾーンで空を飛ぶ敵は別部屋からもポポロを認識しており、一直線にこちらに向かってきます。目前の状況を突破しても、次にやってくる空からの敵に襲われてポポロが死んでしまっては状況の突破にはなりません。
3.5.最初の1手目
危険な要素を頭に入れたうえでの1手目、これが一番大事です。この1手目が間違っていたらそのまま挽回のチャンスがないまま終わってしまうこともあります。1手目として考えられるのは以下の3手くらいでしょうか。
①歩く
今回はおおめだまがいるか不明な状況です。おおめだまさえいなければ、正直この状況はそこまで危険ではありません。しかし、今回の冒険は失敗が許されないという背景もあるので、5体も敵がいれば1体はおおめだまがいると想定します。その想定の場合、隣接する仲間に殴られた後に死んでしまうリスクが高くなるので今回は得策ではないでしょう。
②草の神の壺を使う
今回はこれがあります。すいこみの壺の中に草の神の壺に入れる草もあるので、ここで草の神の壺+まどわし草を使う手もあります。しかし、ここでまどわし草を使ってしまうと補充が必要になります。今回はアイテム欄がちょっときついので、今回はこれを避けましょう。草の補充をしないという選択肢もありますが、これから何があるかわからないのでそれも避けたいところです。
③すばやさのたねを使う
先に話しておくと、今回はこの③を採用しました。すばやさのたねを飲むことで、ポポロは2回の行動が許されます。1回目で石像の発動の有無を確認し、2回目の行動で仲間の攻撃を受ける地点から離れて敵の内訳を把握しに行きます。
3.6.状況は・・・?
すばやさの種を飲み、左上に1歩移動しました。ここで石像が発動、石像は転びの石像でした。草の神の壺を転んで割ってしまうと固定MHで詰んでしまうこともあり得るので、対処が迫られました。
続いて、もう一歩仲間の陣から離れます。このままではおおめだまの全体混乱が発動すると仲間に殴られてしまいます。
おおめだまがいました。右上におおめだまと、ポポロたちにまっすぐ進んでこない敵、そして視界に見える3体の敵が敵5体の内訳です。ポポロに隣接してきたメイジキメラはマホトーンを使い、ポポロの杖を無効化してきます。
3.7.盤面の再整理
確定内容から、危険事項を再確認しましょう。
①敵モンスター
おおめだまが離れた場所にいます。また、ポポロに隣接するメイジキメラは杖を使えなくしていきます。杖が使えなくなると、おおめだまの対処が難しくなり、外から来る敵に対処が適切にできなくなる可能性もあります。ゆうれいやドラキーマなどふらふらしている敵が3体いますが、これは目下の脅威ではありません。
②石像
斜め4歩先、転びの石像でした。転んで壺を割ってしまうとアイテム欄がきつくなったり、草の神の壺を失ってしまいます。床に置いて草の神の壺を守るのも手ですが、今回は時間が惜しいのである程度転びのリスクを承知で石像を破壊にかかる方が得策です。
③仲間
おおめだまによって混乱してしまいました。これから外から来る敵に備えなければなりませんが、おおめだまさえ処理できれば間に合うでしょう。まずはおおめだまを対処し混乱状態を切らすことが求められます。
④見えない敵
まだ2ターンしかたっていないので目に見えるところまでは来ていません。ですが、確実にこちらに近づいてきています。
3.8.次は・・・
メイジキメラを封じましょう。おおめだまと転びの石像の対処が求められる中、マホトーンを食らうと致命的です。近くに置いていても鬱陶しいので、ここはげんじゅつしの杖で退場させましょう。
3.9.石像の対処
続いて、ちょうど斜めのラインに石像があるので破壊にかかりましょう。もう一歩斜めに進めれば火ばしらの杖で確実な破壊ができるのですが、転んでアイテムを撒き散らし火ばしらが立てにくい状況になるリスクと混乱しているので、いたみわけの杖の光弾で破壊にかかります。
無事破壊できましたが、ここでアクシデント。
仲間に一撃をもらってしまいます。さらに、破壊に手間取ったためドラキーマに接近されてしまいます。外からの敵の接近も含め、少し危ない状況になりました。
3.10.回復してから・・・
とはいえ、回復の壺は十分にあります。回復したらおおめだまの対処に向かいましょう。おおめだまに接近し、さらに目の前のドラキーマへの対処ができる手があるので、今回はそちらの手を取りました。
おおめだまも強い敵ですが、仲間に接近されたら終わりです。一応、左上の仲間が混乱中に敵3体に囲まれているので、おおめだまにメダパニの杖を使います。
これで、開幕にあった危険な状況は一旦解決しました。あとは外から襲ってくる敵がいますので、ここから仲間とポポロは合流に向かいます。
別部屋から敵が来ましたが、すでにポポロは仲間と合流しています。あとは飛んでくる敵を仲間に処理させるだけです。
3.11.結果
被害はすばやさのたね、仲間1匹(スライムベス)の死亡、杖の使用に終わりました。まあまあ痛手ではありますが、仲間の全滅や草の神の壺のロストなど、最悪な状況は避けられたのではないでしょうか。
4.トレーニング方法
今回は「固定MHへの対抗策を温存した状況判断」について一例から状況判断の解説をさせていただきました。トルネコ3の異世界の迷宮では、運よく階段を降り続ければクリアできるということがほとんどありません。そのため道中では強力な草の神の壺を温存しながらどう進めるか、などを常に考える必要に迫られます。私はその試行錯誤を楽しめるのは異世界の迷宮の良い点だと思っています。
今は多くの人が配信上でローグライクをプレイしています。トルネコ3に限らず、他人のプレイ内容から自分なりの解法を見出す訓練を続けることでも状況判断のトレーニングとなります。今回の私の話から、皆さんがローグライクにおける状況判断の楽しさを改めて感じてもらえたら幸いです。