【断髪小説】 入社の覚悟〜断髪、そして黒染めへ〜
10分程走らせた後、車は工場近くにある1軒の古びた大衆美容室の前に駐められた
「百合子美容室」と掲げられた看板は古びており、外観からして昭和のレトロ感が漂う美容室であった
カランコロン…「いらっしゃい」
この店の主人であり美容師であろうおばちゃんが3人を迎えた。店内はセット面が2席だけあり、壁には昭和時代に活躍した女優のポスターが貼られていた。こじんまりとした感じだが、どこか昭和レトロな空気が漂よっていた
直美「今日はこの2人よろしく!髪型はいつもの乙女刈りで」
直美はそう言い残し、待合スペースのソファーへと座った
美容師「はいはい、お2人さんね!それじゃ早速始めるから、先ずはこの子からいこうか」
指名されたのは瞳であった。緊張した表情をしながら瞳は大きなカット台に腰掛けた。手慣れた手つきで美容師は瞳の首にタオルを巻き、白いクロスを掛けた。
美容師「もう1人のお嬢ちゃんも隣に座っておいて。この子が終わったら次にやるから」
優子は美容師のおばちゃんに促されるままに大きなカット台へと腰掛けた。隣を見ると大きなクロスを掛けられた瞳が緊張した面持ちでじっと鏡を見つめていた。
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