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The Stone Rosesを見た
あれは、2012年のことだったと思う。ちょうど私の誕生日に、苗場までFUJI ROCK FESTIVALを見に行った。目当てはもちろん、The Stone Rosesだった。ああいうタイプのフェスは、おそらくもう行かないだろう、というくらい、個人的には過酷だった。最初で最後。彼らを見るためだった。
確か、当日は、Jack Whiteも来ていた。一緒に行った友人は、そちらを見に行ったか、見に行きたがっていたかのどちらかだった。Beady Eyeが前座のようだったと記憶している。記念Tシャツは買えなかった。後日、おそらくパチモノを買った。誕生日の日付が入っている。今でも押し入れに並んでいる。
どういう曲順で、どんな演奏だったか、今ではほとんど覚えていない。鮮明なのは、イアンの着ていた、ファーストアルバムのアートワークを模したパーカと、マラカスのようなものを一心不乱に振るイアン。レニとマニは天才的にうまかった。ジョンは時折笑っているように見えた。結局は、バンドメンバーがどうだったか、ということしか、覚えていないようだ。少なくとも、私にとって、音楽とはそういうものだ、と、これを書いている今も、再認識した。
その後、映画館で彼らのドキュメンタリィも見た。大ファンが作った、ということが映像からわかって、微笑ましかったし、嬉しかった。彼らが仲違いしたアムステルダムでは、カメラを置いた。その姿勢は素晴らしかった。何もかもが知りたいわけではない。彼らが笑顔で演奏しているところ、再結成を前向きに捉えているところが見たかった。あの映画は、それに応えてくれた、と思う。
あの四人が再結成するとは、世界中の誰も考えていなかったのではないか。記者会見を見ると、確執はなかったかのようだ。それ以前に、メンバーの親族の葬式で再会したという噂もあった。それが噂になるくらい、確執は根深かったのだろう。タブロイド紙やパパラッチの動きにも辟易していたと思う。
元々は友人だった。バンドを組み、仕事仲間となった。その変化についていける人たちは、ごく僅かだと、私は思う。彼らは、一度ダメになった。
しかし、再び何かを一緒にやろうと考えた。そこに至るには、おそらく多くの葛藤や、何より勇気が必要だったはずだ。結局、彼らは、新しいアルバムを残すことはなかった。おそらく、今後も再結成はないだろう。内部の話をしないという協定を結んだとも聞いた。とても残念だが、それよりも、同じ人間として、一度でもその勇気ある決断を下してくれたことに、今でも感謝している。