夏の近道 1話
夏の近道。夏の近道...
いままでの僕は、ずっと遠回りをしていたからその入り口が分からない。
すぐに話しかければいい?海へ誘えばいいのか?
目標は目の前にいるのに、この日常が変わることが怖くて、一歩も踏み出せない。
ー
僕が通っているのは、田舎の公立高校。
勉強なんかしなくても、全員がここを受けるし、全員受かる。
周りはみんな小学校からの幼馴染、顔見知りばかりで、仲良しだと思う。
その中でも特に仲良しなのが、友人の健太郎、幼馴染の愛季の2人。
いつもこの3人で、駄弁ったりしながら行動している。
健:「〇〇、ちょっと俺今日は勉強せなあかん。」
〇:「おお、そか... 健太郎はずっと目標持ってて変わらんくてすごいな...」
健太郎は小学生の頃から警察官を目指しているらしく、高校に入ってからはその勉強に勤しんでいる。
〇:「じゃあ、今日は愛季と2人で帰るわ。ほなな。」
健:「お前、抜け駆けとかすんなよ?笑」
ずっと一緒にいたから、そんなこと意識したこともない。
変わらない日常の中で、その関係を崩壊させたくなかった。
ー
愛:「〇〇〜!あれ?健太郎は?」
〇:「なんかなぁ、勉強せなあかんらしい。」
愛:「えぇ、今日せっかく部活早く終わったのに...」
〇:「しゃあないやろ。まあ、行こや。」
健太郎がいない帰り道は久しぶりで、俺は少し変な気分になった。
愛:「ねぇ、今日暇だからどっか寄り道してかない?」
〇:「ええよ。カラオケとか?」
愛:「うーん、海がいいな〜」
〇:「海なんかないやろ。ど田舎やでここ。」
愛:「〇〇嫌い〜!やっぱ帰る〜!」
〇:「なんやそれ。まあとりあえずコンビニでも行こか。」
愛:「むぅ...」
愛季は正直、めちゃくちゃ可愛いと思う。
学校でもマドンナ的な存在だし、今まで何回も告白されているところを見てきた。
でも、俺は愛季のことをそういう目で見れない。
愛:「〇〇なんか奢れ〜!」
〇:「は?なんでやねん。」
愛:「いいじゃん!愛季の提案無視した罰〜!」
〇:「はぁ...」
愛:「わたし、男子から人気なんだからね?一緒に放課後居れるだけ嬉しいと思え〜!」
〇:「はいはい...」
今までずっとそう思っていた。ずっと...
そう、この時までは...
ー
続く
追記:更新が遅れてしまい申し訳ありません。これからはちょいちょい上げていきます。リクエストとかあれば書きます〜 もしあれば、コメ欄にお願いします〜