ep23 榎谷の悲劇① (村民の話)
十津川村北部の深い森
村境北部、伯母子岳から清水ヶ峰に向かう途中、十津川村山天集落へ下る山天辻があります。地元民が話すには、『熊の巣』と呼ばれ、原生林を含め300町歩(東京ドーム63個分)と言われる広く深い森です。
そこから神納川に流れ出る榎谷(エノキダニ)はアマゴ釣りで時々人が入る谷です。地図上に道らしきものはありませんが、地元の人が山仕事で使う道が谷奥へ伸びるらしいです。
山天辻から五百瀬まで伸びる尾根道は何度か下った事があります。小辺路トレイルジャーニーin十津川のコースでもあったこの尾根は、途中で上りがあったり、少々不明瞭な部分があり迷いやすい場所と言えます。
かつて、この辺りで以下のような悲劇がありました。
地元で語り継がれる遭難事故
昭和5年4月初旬(今から94年前)
旧制中学、現在の奈良県立郡山高校の山岳部、教員含め生徒7名、伯母子岳から下山途中、道に迷い榎谷へ下る。
春になったばかりですが大雪が降ったそうです。下山途中、山小屋に避難するもほぼ暖を取れず、動ける者が山天集落へ助けを呼びに下山し、その後救助に向かうも、生徒2名と教員1名が凍死しました。
「7人おって4人だけ助かったんじゃ。7人旅はするもんじゃーない」
その様に地元のおばあさんが語ってくれました。
今もその場所には生徒の名前を刻んだ碑が立っていと言う事です。以後、関係者の方々が何度も訪れているといいますが、はっきりした場所は私も分かっておらず、一度訪れてみたいと思う場所でもあります。
遭難事故に関する情報は、古い為か、ほとんど見る事ができません。以下のリンク先に少しの情報がありましたので記載させて頂きます。
⚪︎奈良県山岳連盟50年のあゆみ↓
http://www.narakensangaku.org/arc/b02.pdf
19ページに記載されています
⚪︎十津川村の出来事
3人分の棺が写真に残されています
https://www.library.pref.nara.jp/supporter/naraweb/page_thumb18894.html