ep68 山深き村境とツキノワグマ その①
今秋、村境沿いで3頭ものツキノワグマ(以後熊と書きます)に遭遇しました。そのうち2頭は同一日で、3頭目は檻に入っている状態でした。
今秋熊と出会った過去の記事はこちら👇
過去を振り返ると、人生これまで十津川村で熊に出会ったのは2回でした。
1回目は中学生の頃、友人と川釣りの最中に小熊が対岸の斜面を駆け登るのを目の当たりにした時です。親熊の気配があり、一目散引き返しました。
2回目は5年程前にきのこ狩りをしていた時。先に熊がこちらに気付き、猛スピードで駆け下って行きました。
田舎で暮らしていても滅多に見る事のない熊ですが、ここ数ヶ月に3度も目撃するなど、異常な状況と言えます。
熊の個体数が相当増えたと思われる
十津川村では、防災アプリによって様々な情報が配信されます。熊の目撃情報が村役場に通報された場合、早い段階で通知が手元に届きます。比較的詳しい場所や時間帯も報告され、近隣の住民に注意喚起がなされます。
去年あたりから、熊の目撃情報が徐々に増え始め、同じような場所で見られていたものが村中に広がっていきました。あまりにも注意喚起の通知が多いので、村民も随分と慣れてしまったようです。それだけ頭数が増えたと推測されます。
片手の無い熊
そんな中、十津川村出谷集落に片手の無い熊が現れ話題となりました。おそらく、“くくり罠“にかかって、自らの手を引きちぎった熊だと思われます。『手が落ちていた』という情報は、それまでに耳に入っていました。
その後、集落に檻を設置して暫くすると熊が入ったとの事。手負の熊かと思いきや、両手のある個体でした。今も片手の熊は山中をウロウロしていると思われます。
この様に村中あちこちで熊が増え、遭遇率が高くなりました。先日村境北東部の稜線、下辻山付近を歩いていた際も大量の熊棚(食事をした際に出来る物)と糞がありました。糞はうっかりすると踏んでしまいそうな程です。あの糞の量、1頭や2頭の話では無いと思います。
過疎化によって人口が減り続ける紀伊半島の山間部。人の住むテリトリーと熊の生活圏が濃く重なりつつある様です。