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ep54 村境ルート探索#9 (河俣集落跡−大峠山-牛廻山-大井谷その②)
いざ大峠山へ
大峠から大峠山へのルートは開けた日当たりの良い場所を登ります。ここは伐採跡なのか、ブッシュを掻き分けながら進みます。こう言う場所はイバラもあちこちにあるので、時々足を止めさせられます。ここまで薮に苦労したので、流石にここが薮道の最終であろう。との事で『薮太郎の坂』としておきます。
急な登りですが、距離はさほどありません。時々後ろを振り返ると安堵山周辺の果無山脈が良く見えます。
登り切った場所が大峠山かと思いきや、少々尾根を並行移動します。踏み跡も多く、山頂アピールをする山名板などがあると探しましたが、細い木に貼り付けられた小さな文字板が寂しく縛り付けられて居ました。
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暫く山頂で補給し、次なる目標の牛廻山へと進みます。ここから先は、今までの暗い杉林や薮道に比べると、天国の様に明るく穏やかなトレイルです。ブナやミズナラの大木が目立つ自然林が残る気持ちの良い尾根道となります。
ばくろうが牛を引っ張り越えた牛廻山
龍神村から十津川村へ入る街道は大きく分けて
①果無山脈縦走路
②河俣経由の道(現在の県道735)引牛越
③牛廻山を越え、蟻ノ越から続く牛廻越
果無山脈は主に中辺路や本宮方面へ行く際に使われた道だと思われます。引牛越は龍神村から上湯川へ入るルートであり、丹生ノ川から上湯川に沿ったルートです。牛廻山は迫西川と出谷方面へ入る道として使われた山越えの街道です。ここから枝分かれした古道が十津川村の南西部に続きます。旧龍神街道として、昔は盛んに人の往来がありましたが、生活道として使われなくなった現代では徐々に消えつつあります。
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十津川村の南西部は特に龍神村からの道が発達していたので、
集落が広く点在します。複雑なルートで楽しませてくれます。
旧龍神街道の縦走については筆者も走ったり歩きましたが、メンバーのジュンテンさんが十津川側を通しで歩いています。
https://yamap.com/activities/16727188
牛廻山は穏やかな丘陵になっていて、二等三角点が設置されています。山名板が多く貼り付けられ賑やかです。
牛という文字が多く出て来るこの一帯は、十津川村の農耕で使われる牛が往来した様から名付けられたと思われます。話によると龍神村から牛の仲買人である博労(ばくろう)が行き来していたそうです。一昔前は一家に一頭の牛が居たので、頻繁に牛のやり取りが行われたのでしょう。時々登山者が訪れる山で、近くを通る国道425号線の登山口からは容易にアクセスが可能です。
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新しく作られる道
牛廻山の山頂から暫く村境を進むと、蟻ノ越と旧龍神街道、丸尾山方面へ続く分かれ道に差し掛かります。蟻ノ越方面は今後護摩壇山までルート探索を行う予定です。今回、丸尾山方面街道途中に三本の大きな杉が有り、名所なので今回立ち寄るつもりでしたが、前半の薮道で予想外に時間を費やしました。ここからは下山に転じて、車をデポした大井谷へ下ります。
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話には聞いていましたが、大井谷から蟻ノ越まで将来的に道が繋がる予定があり、工事が進んでいるとの事。街道を進むとその林道に出ました。丁度、上湯川(寺垣内)から登って来る辻に小さなお地蔵さんがあって、林道を歩き始めます。
この道は基幹作業道で、一般車両は入れませんが、10tトラックが通れる程の広い道です。大井谷からこの道が繋がると、災害時の緊急迂回路としても活躍が期待されています。十津川村では山林の資源搬出等に作業道を作って重機で作業できる様に取り組んでいる様です。
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今年の年末には完成予定です
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下山に利用したこの道は未完成の為、途中で途切れます。予想外に工事が進んでいたので驚きました。幸い当初想定の下山ルートがすぐ近くにあったので、そのままブッシュに突入します。
足を滑らせながら降り立った三叉路は以前大井谷へ下った道と合流します。元々荒れていた道なので数年前に比べても然程変化はありませんでしたが、相変わらず前に進み辛い尾根です。谷の音が近付き、やっとの思いで大井谷あるきのこ組合の工場に降り立ちました。
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7時間半かかって16キロ程の行程でした。中々前に進めず苦労した感がありましたが、不明箇所を踏破した喜びの方が大きく大満足な山行でした。
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<メンバー>
焚き火の兄貴・ミッちゃん・YTT ケンちゃん
<ログ> YAMAP
<動画> youtube