大人バックパッカー(その31)空港を出たらまず向かうところ。出発ロビー。

空港の出国ゲートを出たら、大抵の人は宿泊先への移動を考えます。早く異国へ飛び出したいところでしょう。当たり前です。
私は違います。初めて訪れた空港であれば、到着ロビーをぐるりと見渡してから出発ロビーへと移動します。このことはどんなガイドブックでも書かれていません(多分)。
出発ロビーに行って、何をするのか?
そこの安全性、快適性を確認するのです。

空港は基本、安全な場所です。空調は管理され、飲食店もたくさんあり、水もあり、トイレも整備されています。旅のさなかの、いざというときのセイフティーエリアが空港なのです。
ただ、場所によっては、必ずしもそうでない場所もあります。
出発ロビーの安全性を確認するのは、空港泊に適しているかどうかを判断するためです。

旅のさなか、どこかへ移動する際、早朝のフライトを予約せざるを得ないことがままあります。朝6時に空港でチェックイン。となるとホテル発は5時、起床を逆算すると午前3時半起き!
おちおち寝ていられません。寝坊したら最悪です。
そんなときに役立つのが、空港泊。空港をホテル替わりにしてしまうという発想です。
バックパッカーあるあるです。
私は過去、一度だけありました。
ドイツのフランクフルト空港でした。
日本からフランクフルト空港経由でモロッコに行く旅の途中。乗り換え空港で私は、モロッコへ行く便を乗り過ごしてしまったのです。
これには深いわけがありまして。

日本から搭乗する際、乗り換えの際の搭乗ゲートも印字されています。これを信じて待っていたのですが、なかなか受付が始まらないな、と思いつつ、うとうとうと。気づくと、出発時間を過ぎています。慌てて係員に尋ねると「イッツ・ゴーン」の短いアンサー。あの時ほど、途方に暮れたことはありません。
エアラインの窓口に行きましたが、おぼつかない英語ですから、交渉などできるわけはない。係員も困り果て、私もおずおずと引き下がりました。
さて、どうするか。帰りの便は、パリから成田へ取っていましたので、フランクフルトからパリに行こうか、と思いつつ、12月末の冬のヨーロッパを移動するのはまっぴらだ、と考え、はやり初志貫徹。モロッコに向かうことにしました。
そんなとき、空港内を歩いていたら「チケット売り場」の看板。これって、大きな空港なら大概あります。当日券、もしくは翌日以降の予約ができるのです。
掛け合ってみました。
きょうの午後の便もありますよ、と言われ舞い上がるも、途中スイスで16時間トランジェットです、と言われ消沈。明日ならば?と尋ねると、いい具合にあったのです、便が。早速押さえました。クレジットカードの請求が、後々痛かったですが、とにかく先に動かないと、旅に乗り遅れる。その一心でした。
翌日、無事にモロッコに向け出発することができましたが、問題は前夜。フランクフルトのホテルを予約しようと思いましたが、出発は午前8時頃。これはもったいない。空港の周囲を見渡せば、いるじゃないか、寝ている人々が!
こうして私は人生で初めて、映画「ターミナル」の主人公のような複雑な立場ではありませんが、一宿の恩義をフランクフルト空港に借りることになったのです。

私は、多くの人が座っているベンチあたりで寝ていましたが、なかには旅慣れた人もいて、床に段ボールを敷いて、リュックを枕に寝ている人もいました。寒さはなく、快適でした。
以前、ニューヨークのラダーディアン空港に、真夜中の2時過ぎに到着したことがあります。必然的に空港泊になりました。あのときは、ニューヨークのマンハッタンから市バスに乗って(24時間運行)、終点で降りて空港に行きましたが、初めての空港だったので、ちょっと怖い感じがしました。

空港泊を推奨するわけではありませんが、いざというときの場所を抑えるという意味で、私は空港の到着ロビーに到着すると、出国ロビーへ向かいます。

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