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蛇口をひねる

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オリジナル小説「蛇口をひねる」のすみか
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2024年7月の記事一覧

小説「蛇口をひねる」 第七話

小説「蛇口をひねる」 第七話

 ほっ。よかった。本当に。私のせいで英美と、凛と、私の友情が崩壊しなくて。
ふう。思わず心の中で息をつく。
そして相手から次に紡がれる言葉を待つ。

「で、問い詰めようと思った訳」

…?
疑問が脳内に広がってゆく。正体不明のどろっとしたもの。
誰を?何て、考えるまでもない。凛。凛だ。
それにしても大げさだ。友達が部活を辞めた理由を聞きに行くためだけに、早起きして、まだ眠いって言っている自分の体に

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小説「蛇口をひねる」第六話

小説「蛇口をひねる」第六話

 学校の駐輪場に自転車を停めて、いつものように昇降口までの道のりを歩く。ウサギ小屋のところで右に曲がって、そのすぐ先の警備員詰所で左。そのまままっすぐ20秒歩けば、すぐ昇降口に辿り着く。下駄箱に履いてきたスニーカーを入れて、上履きに履き替える(上履きの色は学年ごとに指定されていて、一年は青、二年は黄、三年は赤だ)。
いつも通り急な憎き階段を何段も何段も上がって3階に辿り着く。ふう。唯一の救いは、私

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