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売れなかった絵

個展最終日。

私は前日の夜にインスタに思いの丈を書き殴った。

お客さんが来なくて苦労した事、
私は挫折して作品ではなく恥を製作し続けてたと思ったという事、
絵を描くのをやめようかという事…

しかしそんな投稿を見ていた優しい方々がコメントくださって、腐っていた私の心は解きほぐされていった。

1人の人が
"ポストカード買って額に入れて飾ってます、やめないでください"
と書いてくれて
私はスマホを見ながら泣いた。

ママ友さんは私が幼稚園の役員を2つしながらまさかそんな忙しい時に絵を描いてると知らなかったから、誇っていいんだよ、よく頑張ったね、
今度見せてね、とLINEをくれた。

インスタのDMでコメントくれた人もいた。
"あなたの作品は誰にとっても素晴らしいものではなく、誰かにとって素晴らしいものであれば最高だよ。
少なくとも自分が愛せてるなら誰かの評価なんて関係ないよ。"


"今回の展示が少しでも愛おしい思い出となりますように…"


最終日。

45さんが店番をしている。

私は、終わったねー、絵売れなくて残念だったね…と私の絵のコーナーに行ったら
絵が一つなくなっていた。

45さんが買ってくれたのだった。

同情心かもしれないけど、一枚買ってくれた。嬉しかった。

同時に今回の事は彼が持ち掛けてくれた企画だったので
もう少し自分に力があれば恩を返せたのにと申し訳なく思った。

せっかくだから夕食食べよう、と45さんから誘ってくれた。

明日は雹が降るかもしれない。


何が食べたい?何食べようか、と聞かれ
私は45さんが食べたいと素直に言った。

お店の電気が消えた暗がりでハグしてキスをした。


その日片付け後は、お惣菜とお酒を買い込んでラブホテルで打ち上げした。

ご飯を食べ途中セックスをした。

私はワガママを言って1時間延長した。

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何も予定がなくなった平日。

私は自分のために靴下を買った。

今回の自分へのご褒美だ。


もうすぐサンダルの季節は終わり、
秋になろうとしていた。






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