Day9】愛犬共生住宅時代の幕開け #6
12.犬がもたらす人や地域への効果
少子高齢化や晩婚未婚化、核家族化、テレワークも重なり、見つめ合う事で人に対し幸せホルモンと言われるオキシトシンを分泌させる正のループを持つと言われ、自らも飼い主の支えになる事を喜ぶ犬は、今後ますます飼われる割合が増えると予想できます。
実際、昨今のコロナ禍による外出自粛の影響で日本において新たに飼われた犬が2020年だけで6万頭増加しました。
(ただし安易に飼い始めたための飼育放棄も増加しているのが現状です)
また、ドイツやオーストラリアでは犬と暮らす事により、精神面の安定、散歩によるコミュニティや世話による運動から、年間3000から7500億円の医療費の抑制効果が報告されています。
犬と暮らす事、また交わる事によってもたらされる子供や高齢者、障がい者、発達障害、認知症の方達への正の効果は世界中で報告されています。
犬が子供に与えるメリットとして、
①思いやり、優しい心を育てる
②コミュニケーション能力の向上
③責任感が芽生える
④情緒の安定
⑤命の大切さを学べる
⑥免疫力の向上
などがあげられます。
「日本の高齢者1万人以上を対象にした調査で、犬を飼っている人は飼った事がない人に比べ、介在が必要になったり、亡くなったりするリスクが半減する事がわかった。
また、過去に1度も犬を飼った事がない高齢者が自立喪失(介護が必要な状態や死亡)の状態になるリスクを1とすると犬を飼っている高齢者のリスクは0.54倍と大幅に低くなる事を突き止めた。
一方、今回の調査では、猫を飼っている高齢者の自立喪失リスクが低減する効果は見つからなかった。」
国立循環研究所/東京都健康長寿医療センター研究チーム(2022年)
「自閉症スペクトラム障がいの子供70人を対象とした調査の結果、犬を飼っている家庭の子供の方がソーシャルスキルが高い事がわかっている。」
(米ミズーリ大学研究チーム)
「ADHDの子供(7〜9歳)が犬によるアニマルセラピーを受けた結果、注意欠陥多動性障がいが改善され、また社会性が高まった事もわかっている。」
(カリフォルニア大学研究チーム)
「認知症高齢者に犬による動物介在療法を実施する事は日常生活の精神ストレスの緩和やうつ状態の改善になる。
また自発的な発話が増えている事も明らかになった。」
(大分大学医学部看護学科論文)
また地域コミュニティにおいても、
「犬の存在は健全な地域社会を発展させるうえで、重要な要素(ファクター)になり得る」
「犬の飼い主は、飼わない人よりも近所の人との知り合う可能性が5倍高い」
(西オーストラリア大学研究チーム)
犬がもたらす人や地域への正の効果は、たくさん報告されています。
13.服部緑地公園で見た「本物のコミュニティ」
先日子供と一緒に、家のすぐそばにある大阪最大の府営公園である服部緑地公園に遊びに行きました。
涼しくなる夕方あたりでしょうか、犬を散歩される方が増えてきました。
しかし、よく見ると3カ所ほどに犬を連れた人たちの集まりができていました。
どういう集まりなんだろうと近づいてみると、それは意図された集まりではなく、その日初対面の人、通りがかりの人もたくさんいる、自然にできた犬を通した人間コミュニティでした。
もちろん常連さんもおられるのでしょうが、通りすがりも同じ、年齢性別、リーダーも規則(大声をあげない、走らないなどの常識はあります)も志すらない集まりに見えました。
最近はコミュニティという言葉がよく使われ、コミュニティをどうやって作るか、どう持続するかなどという話もよく聞きますが、マッキーバーが言うように、本来コミュニティとは自然発生的にできるものを言い、まさにこの服部緑地での目の前の集まりは、犬を通した本物の人間コミュニティなのだという事を言わば「発見」しました。
本では読んでいましたが、それを目の当たりにすると、犬が地域に与える影響は確かに強くあるのだと確信しました。