見出し画像

[マイフォトストーリー]カメラと満月と息子と

写真家の横田裕市さんが始めた企画、「#マイフォトストーリー」
カメラを始めたばかりの私ですが、自分の一枚に自分のストーリーを載せてみたい!
ということで、今回は先日の息子との思い出の一枚を紹介させてください。

https://note.yokoichi.jp/n/n7b57a9bff020?sub_rt=share_b


カメラと満月と息子と

カメラが欲しいと言い続けていたら、とうとう妻がプレゼントしてくれた。

手にした瞬間から少年のように夢中になり、毎日カメラを片手にあれこれ撮影する日々が始まった。

そんなある日、4歳になる息子と電車に乗ってお出かけすることに。

浜松町の日の出桟橋から船に乗ったり、お台場海浜公園の砂浜で遊んだり、一日中はしゃぎ回った。

もちろん、僕はカメラを片手に息子の笑顔や景色を撮り続け、大満足の一日だった。

しかし、帰りの電車では疲れ果てた息子がぐずり始める。

眠いのとお腹が空いたのとで、車内はちょっとしたバトル状態となってしまった。

僕も疲れていたせいで、次第にイライラが募り、息子に少しきつい口調になってしまう自分がいた。

乗り換えのホームで、ふと息子が「満月、きれいだね!」と声を上げた。

その一言にハッとして顔を上げると、架線越しにくっきりと浮かぶ満月が目に飛び込んできた。

オレンジ色と青色が混ざり合う空の中で、月が静かに輝いている。

気づけば、僕はシャッターを切っていた。

「本当だね、きれいだね」と息子に声をかけると、彼も満月をじっと見つめ、ぐずっていた顔が一瞬で穏やかになり、目を輝かせていた。

その表情を見て、僕のイライラもすっかり消えた。

あとで調べてみると、この日の満月は1月の満月で、「ウルフムーン」と呼ばれるものだと知った。

ウルフムーンには「感情の癒し」や「内省を深める」意味があるらしい。

なるほど、あの時ふとした瞬間にイライラが吹き飛んで反省させられたのは、このウルフムーンの力だったのかもしれない。

もしカメラを持っていなければ、この瞬間も、あの日の出来事も、ただの記憶の断片として忘れてしまっていただろう。

でも写真に収めたことで、何気ない親子のひとときが、心に刻まれるかけがえのない思い出になった。

この1枚を見るたびに思う。

「カメラを始めてよかったな」と。

そして、あの日の息子の声と満月を、これからもずっと忘れない。

いいなと思ったら応援しよう!