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宇和島の伝統漁法が生む 透き通る海の幸すくいちりめん
こんにちは!うわじま市民ライター2024の直也です。
突然ですが、かける手間がちがう、透き通るようなちりめんをご存知でしょうか。
今回ご紹介するのは、宇和島の「すくいちりめん」です!
小学校に貼ってあった調べ学習の報告書
ずっと気になっていました。
旧石応小学校のパソコン室に貼ってあった「石応の水産業」の調べ学習の報告書。
※石応(こくぼ)地区:宇和島駅から見て西に位置する、宇和島市の沿岸部にある地域。
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「すくいちりめん」
タイトルだけが見えているけれど、肝心の説明書きは机に阻まれてよく見えません。
聞いたところによれば、どうやらいわゆるちりめんじゃことは一線を画していて、段違いにおいしいらしい。
東京から引っ越してきたわたしは、「ちりめんじゃこってそんなに味の違いが出るものなんだろうか」と半信半疑でした。
いつも通り過ぎてしまう作業場
実はこの「すくいちりめん」、わたしが仕事場にしている旧石応小学校のすぐ近く、白浜地区でも生産されています。期間限定で、主に4月から6月の雨のすき間をぬって天日干し作業をされています。
そこを通る時は市内に用があったり、車をわざわざ停めるには道が細すぎたりと、どうしても「また今度」になりがちで、突撃インタビューしにいく機会をいつも逃していました。
このままでは時期を逃して来年に持ち越しになってしまう、と昨年の6月初旬に作業場を訪れました。
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秘訣はぎりぎりまですくわない!
網のうえに広げられ日の光を浴びるしらすは、太陽の光にきらきらと輝いています。潮の香りも漂っていました。
ちょうど作業をされていた2人の女性の方にお話を聞かせていただきました。
早速、質問。
「すくいちりめんって何なんでしょうか。何が違うんですか?」
「特徴はぎりぎりまですくわない」
一般的なしらす漁は、底引き網で集めた魚を、そのまま船でがーっと何kmか走ってから網を寄せて引き揚げます。
一方のすくいちりめんは宇和島の伝統漁法で、網ではなく、光を使って沖から岸辺まで魚を引き連れてしまうのだそう。
沖で見つかった魚の群れは、海の中に垂らされたライトから離れられず、おもしろいことにずっと船についてきてくれます。
それを、海の浅くなったところで直径1mほどの口のすくい網ですくっていきます。
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こうした伝統漁法と手間によって、網や魚同士との摩擦とは無縁の、鮮度抜群の状態の魚が水揚げできるのです。
「だから、味も鮮度も違う」
自信をもってそう語る漁師の方は、「ちょっと高いけどね」と誇らしげにほほえんでいました。
貴重なすくいちりめんで贅沢食べ比べ
すくいちりめんの漁法の謎は無事解決しました。
肝心の味もぜひ体験しなくては、ということでどこで買えるのかをお尋ねしたところ、なんと目の前で干していたすくいちりめんをビニール袋に大量に詰めて、「ぜひ食べなさい」といただいてしまいました。
そのうえ、「食べ比べもしてみてね」と、最後までしっかり乾燥させたすくいちりめんも。
より水気の残る半生のほうを、ネギポン酢丼にしてその日のお昼に早速実食。
まず感じたのが、なかなか感じることのない濃い魚の甘み。口の中に新鮮な海の香りが広がります。また、食感がふわふわぷりぷりで、鮮度の高さをはっきりと感じました。
これはたしかにちりめんじゃことは全然違う。
しっかり乾燥させたちりめんのほうも、乾燥しきっている分、旨みが凝縮されて深い味わいが強まりました。
どちらも大満足の味でした。
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海の幸が宇和島の魅力
「海が近くて~」といううたい文句は宇和島でよく聞きますが、ここまで海の幸を五感で感じたのは引っ越してきてから初めてでした。
漁師の方の味への自信、ぜひ食べなさいと気前よくくださった優しさ。一度にお腹も心も満たされました。
本当にありがとうございました。
ぜひ一度、宇和島のすくいちりめんをご賞味あれ。