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ある日突然大好きなお姉ちゃんが姿を晦ましたのですが実は両思いだったみたいです...。

〇:早く学校行こう〜理佐姉〜!



玄関で落ち着きのない様子で姉である理佐を待っている。



理:はいはい。もうちょっと待ってね



洗面台で前髪を作りながら理佐がそう答える。



〇:さっきからもうちょっともうちょっとって言って10分待ってるんだけど


〇:まだなら先行っちゃうよ?


理:いいの?


理:〇〇が大好きな理佐お姉ちゃんと一緒に学校行けなくても


〇:っ…


理:いっつも一緒に登校してるから一人ってなると寂しいよね〜


〇:そ…そんなこと…


〇:べつに一人でも行けるし…。。


理:ふ〜ん…


理:本心?





〇:えっ…?



いつの前にか用意を済ませた理佐が〇〇の前まで来ていた。



理:ほ〜ら、なにボーッとしてんのよっ


理:先行っちゃうよ〜?





〇:ちょっ…待って〜!?





















〇:今日いつもよりあったかいね


理:そうだね〜


〇:こんな日に学校だなんて…。


〇:理佐姉とデート行きたか…


理:あっ


〇:ん?


理:体操服忘れた。最悪…。


〇:貸そうか?


理:え、でも〇〇も今日体育あるんじゃないの?


〇:3限目にね。理佐姉は?


理:2限


〇:じゃあ貸せるじゃん


理:え、でもいいの?


〇:いいよっ



強引に体操服を理佐に渡す。



〇:終わったら返してくれたらいいだけだからっ


理:でもなぁ…



『理佐〜』



理:ん…?


理:あっ、『由依』


由:おはよ〜。〇〇もおは〜





〇:由依さん…!


〇:おはようございますっ…!


由:二人してなにこんなところで立ち止まってたの?


〇:理佐姉に体操服を貸してたんですっ!


理:別に言わなくていいからっ…!


由:大好きなお姉ちゃんのために貸してあげたんだね


〇:理佐姉のためならっ!


理:…//


由:理佐からもなんか言ってあげなよ


理:…


理:早く行くよっ…!


由:もう…ツンが強いんだから…。
















保:なぁなぁ〜


保:ほのがオススメしたドラマ見てくれた〜?


ひ:1話だけ


〇:同じく


保:二人とも1話だけかいな



休み時間ということもありクラス中が賑わっている様子。



ひ:でも面白かったから見ようと思ったよ


〇:同じく


保:そう言ってくれるのは嬉しいけど〇〇は思ってないやろ


〇:なんで!?


保:棒読みやし、おんなじ事しか言わんから


〇:そんなことないよっ?


保:じゃあ理佐さんに、



理:この前わたしが〇〇に教えたドラマ見てくれた?





保:って言われたら?


〇:まだ1話だけしか見てないんだけど、あれ面白いねっ!!


〇:今日見ようと思ってたんだけど、理佐姉も一緒に見る…?


保:全然ちゃうやん


保:ていうかそんな変わる?!


ひ:ふふっ…




『渡邉〇〇はいますか〜?』



ひ:あっ!理佐さん!



ひかるは笑顔を見せて理佐に手招きする。



ひ:理佐さん今日もかわいいですっ!


理:ふふっ…ありがとっ


理:はいっ、体操服ありがと


〇:あっ、どうも。


〇:次体育ってこと忘れてた…


保:ほんまやんっ!?


ひ:早く着替えないと…


理:もしかしたら体操服汗の匂いとかするかも


ひ:っ…!?


ひ:〇〇。ひか体操服忘れた。貸して


理:ひかるはあるでしょ。今手に持ってるじゃん


ひ:くぅ…


ひ:理佐さんの匂い嗅ぎたかった…


〇:だめだよっ?!


〇:理佐姉の匂い嗅いでいいのはぼくだけなんだから…


理:何言ってんの



そう言って優しく頭を叩く



〇:ぼくはいいでしょ…


ひ:いいなぁ…理佐さんに叩かれたい…


保:ひぃちゃんはずっと何言ってん…。

















由:ねぇ明後日卒業式だって


理:もう卒業かぁ…早いなぁ


由:理佐が卒業したら〇〇悲しんで学校行かなくなるんじゃない?


理:それはない、大問題だから。


由:毎日帰ってきた〇〇を癒してあげないとね


理:…。



突然沈黙を貫く理佐。




由:理佐…?


理:言ってなかったんだけど…


由:え、うん…


理:卒業後、家を出てひとり暮らしするんだよね…


由:えっ…!?


由:それは〇〇に行ったの?


理:親には言ったけど、〇〇には…


由:一番言いなさいよ!?


由:もしかして黙って出ていくつもりだったの?!


理:うん…。


理:事前に行って止められるのもアレだし…


由:言わないほうがダメ!


由:絶対帰ったら言いなよ!


理:…うん。

















ひ:ぅぅ…理佐さん…きれい…


保:由依さんもオーラ半端…ぅぅ…


〇:二人とも泣きすぎ



理佐と由依の卒業式を見て号泣のようだ。






そして最後のHRを終えた卒業生。





ひ:理佐さ〜ん…!!


理:うぉっ…すごい泣いてるじゃん




理佐を見つけ、胸に飛び込んだひかる。




ひ:そりゃ…泣きますよぉ…


ひ:理佐さんがいなくなるなんて悲しくなっちゃいますよぉ…


保:そんなん言ったらほのもですぅ…


理:あらら保乃ちゃんまで


保:今日の理佐さん一段とお綺麗でしたぁ…


理:ありがとっ~










由:〇〇は理佐のところ行かなくていいの?


〇:い…いいんです…家に帰ったらいくらでも甘えられるので…。


由:でも寂しくなっちゃうね


〇:そ…そんなことは…


由:そう?


由:そうだっ、なんかあった時のために連絡先交換しよっ


〇:あぁ…いいですよ


由:ふふっ…ありがとう


由:ひとりで寂しくなったりしたらいつでも連絡しておいで?




〇:…?


〇:は、はい…。




















~数日後~



〇:母さんおはよ


母:おはよう、今日は早いね


〇:なんか寝れなかったんだよね


母:そうなのね


母:やっぱり〇〇だけだと静かね〜


〇:え、もう理佐姉出かけてるの?


母:え…もしかして聞いてないの?


〇:出かけたこと?


母:違うわよ。ひとり暮らしのことよ


〇:ひ…ひとり…暮らし…。。







この日からというもの〇〇は人が変わったかのように落ち込む日々が続いた。







保:なぁー。今日って体育あったっけ?


ひ:あるよ〜お昼休みの後に


保:今日あったんか…用意してへんて…


保:そうやっ〇〇っ!


保:理佐さんのやつ貸してや!


〇:…。


ひ:ふふっ…持ってないでしょ


ひ:家に行ったらあるんじゃない?


保:たしかになっ!って…


保:〇〇…?


〇:…


〇:ん…ぁぁ…。


保:アンタ最近変やで…?


ひ:体調悪いの…?大丈夫?


〇:…大丈夫。


ひ:理佐さんに聞いたら何か分かるんじゃ…


〇:っ…!?


保:…?


〇:理佐…姉は…大丈夫だから…。。














保:っていうことがあって…最近の〇〇…なんか変なんです。


保:理佐さんの名前出すと異様に動揺するし…


由:やっぱり落ち込んでるか…。


保:えっ...?


保:由依さんは〇〇が落ち込んでる理由知ってるんですか…?


由:まぁ、一応


由:けどやっぱり本人から聞いたほうがいいんじゃない?


保:本人って〇〇…ですか…?


由:そう


保:〇〇…。。


保:今の〇〇なんか心閉じ切っちゃってる感じして聞きにくいんですよね…


由:じゃあ〇〇の家行ってみようよ、今から。


保:今からですか?!


由:わたしも行くからさ。













ピンポーン



〇:…




ガチャッ



由:〇〇ちょっとお話ししよっ


保:ほのもええかな?


〇:…どうぞお入りください。。





そうして自室に通した〇〇。



由:〇〇悲しいんでしょ。


由:理佐がいなくて


〇:っ…!?


由:いいんだよ。強がんなくて






優しく〇〇を抱きしめる由依。



優しさに触れたからなのか〇〇は泣いていた。




〇:た、多分、、理佐姉はぼくに嫌気が差したんです…


〇:だから出て行ったんだと…..


保:出て行った…!?


保:あっ…ごめんなさい…



保乃はあまりもの衝撃で大きな声で驚いた。




由:出て行ったというかひとり暮らし。


保:あっ…そうなんや


〇:でもひとり暮らしするにしても何を言わずに出ていくなんて…


〇:ぼくが理佐姉に甘えすぎたせいで…。


由:ちょっと待って。


由:理佐、何も言わずに行ったの?


〇:はい…


由:あの子ったら…。


由:ちょっと待っててね。




そう言って席を外した由依。




























保:やから〇〇テンション低かったんや


〇:心配させてごめん…。


保:ええねん。人間誰だって落ち込む時ぐらいあるわっ


保:あの元気で有名な保乃ちゃんだって落ち込む時あんねんからっ!





〇:…。


保:なんか言わんかい。


由:お待たせ〜


理:…。






由依の背後には理佐が。



保:えっ、理佐さん!?


〇:…理佐姉。。


由:ほら立ってないで〇〇の横座る。



由依に言われた通り〇〇の横に座る理佐。



由:はい理佐。言うことは?


理:ごめんなさい…。


理:…〇〇に何も言わずに出て行って。。


〇:…。


由:〇〇何日も悲しんだんだって


由:ねっ?保乃?


保:は…はい…!


理:…


〇:ぼくこそごめん…理佐姉に嫌な思いさせて


〇:正直鬱陶しかったよね…


〇:だからひとり暮らし…


理:ち、ちがう…!


理:そんな理由だと思ってたんだ…申し訳ないな…


由:そういえばどんな理由でひとり暮らし始めたのか聞いてなかった


保:たしかに…


理:……すぎて…。


由:え?


理:〇〇が…好きすぎて…これ以上想う時間増えたら…


理:いつか気持ちが爆発しちゃいそうだったから…//




由:は?


保:え?


〇:…?!


理:だから距離置いてたの…//


〇:ほ…ほんと…?


〇:キライになったんじゃなかったの…?


理:キライになるわけないじゃん…//




由:はぁ…結局惚気ですか


保:やったみたいですね



理:その…//


理:良かったら…〇〇も卒業後今のわたしの家で一緒に暮らさない…?//


理:ふ…ふたりで…//


〇:も、もちろん…!


理:や…やった…//


理:ふたりっきりだったら人目を気にせずに…いひっ…//

















理:これからは気持ち抑えたりしないからっ…//



fin.

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