生徒の作文を添削していると自分のことが書かれていることに気づいたのですが...。
〇:教室掃除ありがとな
天:いえいえ~!
天:じゃあ〇〇先生!頭撫でてくださいっ!
保:あっ!天ちゃんだけズルいっ!
保:保乃も頑張ってんから先撫でてや!
高校の教師になってはや2年。
国語の教師としてこの櫻坂女子校にやってき、今年初めて、クラス担任を持つことになった。
あの、、質問なんですが、うちのクラスメイトはすごくスキンシップを要求してくるのですが、これって普通じゃないですよね...?
女子校だからって普通じゃないよね...
普通、女子って教師に頭とか触られたくないと思うんですけど...。
あ、もちろん撫でたことはないですよ?
この事を、ぼくの先輩教師であり、同じ国語科の小林由依先生に相談すると、
由:それだけ好かれてるってことよ~
由:そんな気にしなくていいんじゃな~い?
〇:ですかね...
由:むしろ頭撫でちゃいなよ
〇:そ、そんなのダメですよ...?!
由:〇〇くんは真面目だからなぁ~
由:じゃあまず、わたしの頭を撫でてみる?
なんてことを言われたのを覚えている。
保:なぁ、保乃の方が〇〇先生と身長近くて撫でやすいと思うでぇ~?
天:い~や。〇〇先生はわたしぐらいの身長の女の子が好きなんですぅ~
天:ですよねっ?!
〇:はいはい。いまから先生はやらないといけないことあるから帰りな?
天:帰ってもすることないからまだいるー!
保:いまからなにすんの〜?
〇:今日授業でみんなに書いてもらった作文を見ないといけないんだよ
天:じゃあ一緒に見るぅ〜!
〇:静かに見ててくれるなら...まだいいか
天:よっしゃっ...!
保:...
〇:そういや、田村って作文提出出来たんだっけ?
保:...ほにょ?!
〇:たしか、『放課後までには出すから〜!』って言ってたけど
天:保乃ちゃん他の授業ずっと寝てたでしょ!
保:ほにょ...?!ね、寝てへんわ...!
〇:田村、、いまからやろうな。
保:ほにょぉ...
みんなの作文を添削するぼくの隣で意外にも静かに見ている山﨑と
保:なに書いたらええか分からへん...
とこめかみにペンを当てながら苦戦している様子の田村。
〇:そんな難しい題じゃないと思うんだけどなぁ
保:改めて『今自分がハマってること』なんて言われてもむずかしいに決まってるやん...
〇:そうなのかぁ...
保:もう、『〇〇先生』とかでもええかな?
〇:ダメに決まってるでしょ
天:うわっ、それにしたら良かった!
保:そんな天ちゃんはなに書いたん?
天:わたしは『カメラ』のこと書いたよ~
保:ようそれで、1枚も書けたな...
〇:さっき見たけど、内容よかったぞ
天:わたし、文才あるのでっ!
保:〇〇先生のことやったら8枚ぐらい書けるんやけどなぁ...((ボソッ…
その後もクラスの添削を続け...。
天:この子、これにハマってるんだ~!
天:へぇ〜この子もこれ好きなんだ!話し合いそう~
隣で一つ一つに対してリアクションを山﨑が取ってくれるから退屈では無かった。
〇:うしっ...最後だ
天:保乃ちゃんまだやってるし...笑
保:ちょっ...もうすぐ終わるからっ...?!
〇:はいはい、焦らずにな~
天:最後は誰の~?
〇:これは山下のだな
天:おっ!しーちゃん!
〇:山下がハマってることは...
〇:えっ...?
保:ん?どーしたん?
ペンを止め、田村が心配したような顔でこちらを見つめてくる。
天:題名なんて書いてるの~?
〇:いや...
保:もぉ、はよ言いやっ!
〇:あぁ...ちょっ...
言わなかったせいか、田村に山下の作文用紙が取られてしまった...。
保:は...?
天:なになに~?
保:『〇〇先生の観察』って書いてんねんけど...
天:へぇっ...?!
〇:山下ってこんな子だっけ...?
ぼくのイメージだと、真面目で、授業もしっかり聞いてくれるタイプな子だと思っていた
天:ちょっ、内容は...?
保:えっとなぁ...
わたしが最近ハマっていることは〇〇先生の観察です。
〇〇先生はうちの学校でも人気の先生で、かっこいいとよく友だちがウワサしている。
いままでしーは先生のことをかっこいいと思ったことなかったけど、人生で初めて〇〇先生を見てビビっと来た。
そんな〇〇先生の観察にハマっている。
例えば...。
〇:あ、小林先生おはようございますっ
由:おはよ~
〇:今日もお綺麗ですね
由:なに~誰から教わったのそんなこと
〇:教わったも何も思ったことを...
毎朝、由依先生のことを褒めていたり...
『ねぇ~〇〇先生~今度の休みディズニーとか行こーよ~』
〇:先生と生徒なんだから行きませんっ
「じゃあわたしとユニバ行かへん?」
〇:テーマパークの問題じゃないの
女子生徒からお休みの勧誘を受けていたり、
〇〇先生の観察を初めてしーは分かったことが...
すごい嫉妬するようになった。
〇〇先生、このしーの気持ちどうしてくれんねん...。
保:なんか、すごいしーちゃんの表情が想像できるわ...
天:わかるわかる...
〇:ある意味すごい作文...。
保:ってかこの途中の勧誘のやつって保乃らじゃない?
天:たしかにっ!
〇:誘われた記憶があるなぁ...
...
〇:ちょっと、これは本人に聞いてみないとだなぁ...
明日、放課後聞いてみよっ...
~翌日~
〇:はいっ、じゃあ今日も終わりっ。号令!
『気をつけ~さようなら』
今日も、全ての授業が終わった...。
あ、そうだっ...。
〇:山下さんちょっといい?
山下さんのところに行き、問う。
瞳:先生...なんですか...?
保:しーちゃんに聞きたいことがあるやっ!
天:そうだあー!
〇:なんで、あなた達も居るのよ...
天:なんでってそりゃ...
保:昨日一緒に見てたからやん!
瞳:見てたってなにを...
〇:山下さんの作文の件なんだけど、
保:あの、内容はなんなんっ?!
瞳:もしかして、2人も見たん...?!
天:もちろん!
瞳:恥ずかしい...//
〇:なぜ、あの内容を...
瞳:そんなん好きやからに決まってるやんっ!
天:え、それもわかんなかったの?
保:みんな好きに決まってるやん
え。田村と山﨑もそっち側に付くの...?
〇:とりあえず山下、これは書き直...
田:なあなぁ!今度3人で〇〇先生のいい所、語り合わへん?!
瞳:いいかもっ..//
天:その日絶対予定空けるっ
あぁ、もう何も聞かれてないや...
...
...
田:やっぱ〇〇先生は真面目でかっこいいところがええよな!
天:それで愛嬌もいい!
瞳:わたし、勉強でわかんないところあって、教えて貰ってる時いい匂いすぎて倒れるかと...//
天:いいなぁ〜!
由:わたしなんて、職員室の席隣だからいつでも嗅ごうと思ったら行けるんだからね
保:それはずるいですぅ!
fin.
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