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夜中に幼馴染から来るメッセージが必ず送信取り消しされている件について。

…てる…かも…。



〇:…ん。


理:あっ。


理:おはよっ





まだ誰もいない教室。


僕の隣の椅子に座っている幼馴染。








〇:…今日も早いね


理:まぁね、そんな日があったってもいいでしょ


〇:うそだ。理佐は極力ギリギリまで家でゆっくりしたいタイプじゃん




理佐の家は学校から徒歩10分の距離にある。


驚異的な近さなのにこんな早くから学校に来ているなんて意味がわからない。




理:家にいてもおもしろくないから早く来ただけ。


理:そんな〇〇はどうしてこんな早くから登校してるの


理:前までわたしと同じゆっくりタイプだったのに


〇:早くに来て寝てるだけ。学校で寝れば遅刻とか気にしなくてもいいからね。


理:ギリギリまでゆっくりするとかないわけ?


〇:ないかな


理:あっそ。。


〇:なに。そんなに僕と一緒に学校来たいの


理:調子乗んなし


〇:ごめんなさい






正直言って、理佐はモテる。



先輩、後輩関係なくモテる。



1週間で多い時は20回告白されるとかされないとか…






理佐とは幼稚園からの付き合い。


俗に言う幼馴染ってやつだ。


高校に上がっても理佐との関係は切れなかった






ただ高校での理佐のモテ方は尋常ではなかった。


本人の知らない間でファンクラブができたり、理佐の登下校を出待ちする人達など…。


1年生の間は理佐と登下校をしていたが、ファンクラブ会員の中で変な噂が一人歩きしていたこともあった。




一緒に登下校しなくなった1番の原因は「過激派による脅し」だ。


人目のつかないところにぼくを呼び出し、



『理佐と一緒にいるな』


『あんまり話すな』的なことを言われた。



もちろん痛いことや、めんどうなことはごめんなので、2年生に進級したタイミングで僕だけ早い時間に登校することにした。


あ、もちろん理佐には内緒で。




それ以降、僕達が一緒に登下校することはなくなり、そして校内では極力話すことをやめた。




ただなぜか、最近理佐も早い時間に来るようになった。



理佐の意図はわからないが、理佐なりになにかあるのだろう…。





理:ねぇ、今日放課後…



ガラガラ…。



理:…。


『あっ!理佐さん!おはようございますっ!』


理:…おはよ。。



理佐はスッと立ち上がり、自分の席へ向かった。



〇:(理佐が言いかけていたあれはなんなんだろ…)



多分今日はもう、理佐と話す機会はない。


疑問のまま今日を終えるだろう。







長くて退屈な授業を終え、自宅へ。






疲れていたのか、ベッドに身を任せていると眠りについていた。



気づけば、19時に。




時刻の下には、1時間前に理佐から連絡が。




理:〇〇


理:ねぇ、


理:寝てるの


理:ばか





理佐の不機嫌な顔が想像つく。




〇:なに、どうしたの



アプリを切り替える暇もなく既読が付く。



理:もう、いいもん



とてつもなく失敗した模様。




それから、理佐の連絡を気にすることはなく23時。



あんなに昼寝をしたのにもう睡魔に負けそうだ。


ここは素直に負けよう。


スマホを充電させ、部屋の照明を落とした。





























十分な睡眠時間を確保したからなのか自然と目が覚めた。


時間を確認してもまだ余裕がある。



〇:ん…?



スマホの通知欄には、



『理佐がメッセージを送信取り消ししました。』



と2件あった。




〇:また、寝ていて気づけなかったか



理佐に申し訳気持ちになる。



〇:今日学校で聞くか




























クラスに入ると、理佐がいた。



今日は理佐の方が早かったみたいだ。



〇:おはよう


理:おはよっ


〇:理佐さ、


理:ん?


〇:夜中に送ってきてた連絡ってなんだったんだ


理:…?!


〇:朝には取り消しされていたけど


理:あ、あれは別に由依に送ろうとしたやつだから


理:ただ間違っちゃっただけだし


理:うん。




『由依』とは僕たち共通の友だちだ。


理佐にとって由依は親友と言える存在だろう。



〇:なるほど、そっか






この日からと言うもの、毎朝、毎朝スマホを確認すると、



『理佐がメッセージを送信取り消ししました。』



の文字が。



送信取り消しされている度、理佐に学校で問い詰めてみても、



理:送り先間違えた




理:え、送ってないよ?


理:〇〇のスマホがおかしいんじゃない?





あたかも知らないかのように振る舞っている。


おかしい。



理佐からは決まって夜中に必ず連絡が来る。




そして今日ある作戦を決行しようと考えていた。



























いつもなら寝ている時間。


今日はゲームなど、動画で時間を潰し夜更かし。



気づけば、いつも理佐から連絡が来るであろう時間に



そう。考えていた作戦とは、夜更かしをして送信取り消し前に見てしまおう。というものだ。



〇:カンペキだ。



ピロン…



眠い目をこすりながら待っていると、案の定理佐から連絡1件、2件と…


恐る恐る、既読を付け、メッセージを見てみると、





理:最近、〇〇の寝顔見れてなくて寂しい。。なに、わたしが〇〇に合わせてちょっといつもより早く家出たら、あんたはゆっくりなのよ。ばか。


理:学校で〇〇と話したいに決まってるじゃん。あんたと話さないと〇〇成分が補給されないのよ


理:一回ぐらい幼馴染なんだからぎゅーぐらいさせてよ


理:〇〇はもっとわたしに興味持てっ





〇:え、このメッセージ…


〇:全部僕宛だし…。


〇:理佐にすごく…好かれてる…?


〇:ということは今までの取り消しも…






〇:理佐、これって


理:あっ



瞬くスピードで消されていくメッセージ達。



先ほどのメッセージが全て削除され、理佐から着信が。




〇:もしも…


理:もしもしっ


〇:どうし…


理:見たよね。


〇:…


理:見たよね。わたしのさっきのメッセージ


〇:み、見た


理:じゃあもう隠す必要ないよね


理:わたしは〇〇のことが好きなんだから


理:今すぐにぎゅーしたいぐらい


理:わかる?このわたしの気持ち


〇:…はい。


理:…。


理:本当に分かるんだよね?


〇:…はい。


理:じゃあ明日の学校早く来てっ


理:〇〇のわたしへの気持ちを直接伝えて


















理:き…期待してるんだからっ!




fin.

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