見出し画像

総合内科専門医試験 備忘録

 2024年11月10日に第52回総合内科専門医試験がありました。措置的受験で受けてきたのでレポートのことはわかりませんが、試験について書き起こしておこうと思います。自分が試験についての情報にとても助けられたので、どなたかの参考になりましたら幸いです。
 卒後10年の地方勤務医です。今年は医局人事での異動により忙しさがかなり緩和されたため、勉強時間を作れたのはよかったです。
※ 参考書を読んですぐ頭に入る系の賢い方はこの記事読まなくていいと思います。石橋を叩いて渡りたい人用に書いています。


 国家試験終わってから10年も経っていますので、各科の国試レベルの基本的な知識すら忘れています。しかも疾患の名称や治療が変わっていて、生物学的製剤が大量に増えてたりしていて、時の流れを感じました。
 あとは単純に年齢を重ねて脳の劣化がすすんでいて、勉強中は記憶力と集中力の低下を感じました。悲しいものです。


【勉強期間】

 精神的な余裕を持ちたかったため、だいたい半年前、5月の連休明けから過○問を集めて解き始めました。半年はいらなかった気もしますが、過○問もセルトレも量が多いので、3ヶ月前から勉強を始めるのはちょっとキツいかなと思います。試験問題は200問、セルトレ冊子は328問あります(追加2年分を入れると+100問くらい)。
 日常診療と勉強を同時にこなさなくてはならないため、ちゃんと終わるか自信がなく、確実に倒すために「試験の○ヶ月前までにこの教材を終わらせる」という形で、1日あたり解く問題数を決めてすすめていました。緊急入院とかあると当然予定狂いますし毎日同じように勉強できるわけじゃないので、遅れた分は土日に帳尻合わせるなどして対策しました。
 早く勉強を始めすぎたため、直前になってもスパートがかけられませんでした。ただ、なんとかなるやろ!という気持ちでは望めました。精神衛生上はよかったです。

【勉強に使用した教材とその感想】

 年によってボーダーは違いますが、試験は高得点を狙う必要はなく、6~7割とって合格をつかめさえすれば良いので、効率重視でいきましょう。
※ 各教材に関してはあくまで個人の感想です。
【◎:打率高め ○:そこそこ △:微妙 ×:いらない ?:不明】
◎ 過○問4年分+内科学会が出してる問題集2年分
  COVID-19により2020(第48回)、2021(第49回)は試験なし。
◎ セルトレ冊子第5集+2023、2024
  セルトレの2023、2024は冊子に入っていないので集めました。
◎ 内科専門医過○問 2023、2024
○ CareNet 出るズバ内科専門医+総合内科専門医
△ CareNet バーチャル模試
× 内科学会誌のMultiple Choice Question 2年分(2022-2023 計20冊)
△ 日経メディカル 出題傾向の予測、合格率を1割上げるエッセンス
× 内科医のための臨床問題集(medicina増刊号)
◎ その他:ヒント先生の勉強法、自分でノート作り
? QBオンライン

あくまで効率を優先した個人の感想です。理由は下記に続きます。
◎ 過○問
 非常に重要です。必ず集めましょう。戦いは過○問を集めるところから始まっています。結局は情報戦なので、ツテがない方は人間の集まりを探しましょう。同じような傾向の問題は毎年出ています。
 ただ、内科学会が出してる冊子の問題集は古いし難易度低いし治療方針も変わっているため、ある程度内科の知識がベースである人はやらなくてもいいんじゃとは思います。2025年に受験する方は、正直2022-2024の3年分で十分だと思います。ガイドラインも色々変わりますしね。

日本内科学会認定内科医試験・総合内科専門医試験/過去問題集 第1集、第2集

◎ セルトレ
 これも重要です。打率は比較的高めです。正直分厚いしやりたくないのですが、だいたいみんながやってるので、結局通る道になります。
 2024年4月にセルトレ冊子が新しくなって第5版が出ました。直近の2回分(2023、2024)は入っていないです。2024セルトレ受けた人が同じ職場にいた&2023を受けた同期がいたため、幸いこれも集めることができました。直近のものは重要なので、可能であれば集めた方が良いと思います。
 過○問と同じく、膨大な量の問題集です。かなり時間がかかりますので、効率的に解きましょう。

2024年4月10日発売。定価7700円。

◎ 内科専門医の過○問
 これは集めるの忘れがちですが、結構重要です。似たような問題、似てなくても同じ疾患を扱った問題は出た印象があります。
 これを集めるにはツテが必要ですが、人間力を駆使して集めましょう。自分は2年分集めました。量が多いので、集めても3年分で十分だと思います。

○ CareNet 出るズバ内科専門医+総合内科専門医
△ CareNet バーチャル模試

 みんな大好き出るズバ。要点がまとまってて良いですが、テキストのみでそれを読むだけなので、ネット講座のようなものを期待している方は認識を改めた方が良いです。内容はイヤーノートのまんまです。ただそれでも覚えるべき箇所をまとめてくれるのは(勉強範囲が膨大なため)助かります。
 ただ、バーチャル模試は実際の問題よりやや難易度が低いです。自分は第1回だけ解いて途中でやめました。感想としては微妙です。

× 内科学会雑誌のMultiple Choice Question
 ここから出ているという情報もあったのでやりましたが、結構難しめなので1回解いただけじゃ覚えられませんでした。「こんなん専門医しか解けんやんけ!」という類の試験問題はここから出ていたのかもしれません。
 高得点を狙う方にとっては優先度は○~◎かもしれませんが、合格だけを目指すなら無理して手を出さなくていい教材です。

内科学会雑誌に載ってるこういう問題です。

△ 日経メディカル 出題傾向の予測、合格率を1割上げるエッセンス
× 内科医のための臨床問題集(medicina増刊号)

 どちらも長門先生が書かれているものです。日経メディカルの方は直前に見返す用に手元に置いておくくらいの扱いになりました。medicinaは解説の丁寧さが解説者によって異なるのと、問題の質的に打率が低めなので試験勉強用におすすめするほどではないです。

medicina増刊号。2024年3月25日発売。

◎ その他
 
純粋な暗記に関しては、ヒント先生の勉強法が一番スムーズでした。詳細は下記の記事をご参照ください。

 あとは自分でノート作りをしていました。膨大な量なので手書きは無理でした。ローテしていた研修医くんにNotionなるものを聞いて、これを活用して作っていました(時代は進化してますね・・・)。手書きより入力が圧倒的に楽なこと、画像も載せまくれること、検索機能がついていることが手書きより良かった点です。あとはイヤーノートだとどこに載ってるか探すのに時間がかかるけど、すぐ見たいものがある時用に自分の作ったノートがあると便利です。試験の時にホテルに持ち込む勉強道具としても運びやすくて助かります。
 自分が作ってたノートの一例を適当にスクショして載せておきます。

イヤーノートはアトラスが別になってますから見づらいのが難点ですよね。

 正直ノート作りは時間に余裕がないとなかなか難しいと思います。でも勉強範囲が膨大なのと脳みそが劣化してるので、意外と勉強したことをすぐに忘れてしまいます(自分の脳がもうダメなだけかもしれませんが)。間違えたところのメモとか、覚えたいことだけ箇条書きにしとくとか、そういうのだけでも記録しておくと違うんじゃないかなと思います。間違えるところはだいたい同じなので。

? QBオンライン
 すみません、これはやっていないのでわからないです。評価も割れているようです。実際やらなくてもなんとかなった?ので、過○問などが仕上がって余裕がありそうだったら手を出してもよいのかもしれません。
 ちなみに紙のQBはかなり古いのでやらなくて良いです。

【勉強のしかた、試験中の心構え】

★ いろんな勉強教材に必要以上に手を出さない。
★ 試験直前に新しい勉強を取り入れるのは避ける。
★「この問題見たことある・・・けどなんだっけ。忘れた・・・」を極力減らす。
★ どうしてもわからない問題は存在する(専門医なら解けるレベル)。
★ サービス問題を確実に拾い、無理なものは深追いせず次へ進む。

 試験直前にはいろいろな情報が入ってきがちですが、新しいものに手を出しても混乱するだけなので、無視しましょう。その時間を復習にあてるほうがよっぽど吸収効率が良いです。

 試験中に「見たことあるけどなんだっけ」となるのはかなりストレスがたまります。おかげで不完全燃焼感があり、試験終了後数日間経ってもかなりモヤモヤしていました。なにも解放感がなかった。
 試験後の感想をふまえ、勉強方法をやり直すならこうしようと思うポイントは『問題集は過○問(総合内科、内科専門医)、セルトレにしぼる。その代わり2周以上は見返して、取りこぼしがないように覚える。』です。私は「どうせ時間なくて1周しかできんから、いろんな参考書とかの問題をとりあえず数稼いで解いておく」のスタイルでいきましたが正直これは微妙でした。おそらく過○問とセルトレをきちんと解いて理解して覚えていけば、余裕で受かるラインまでは達します。セルトレは解説も丁寧ですしね。色々な教材に手を出すよりよっぽど効率がいいと思います。

 ただ、専門外の問題ばかりですから、「どうしてもわからない問題」は存在します。体感的には専門医なら解けるレベルの問題が20-30%、過○問やセルトレを十分やりこんでいれば解ける問題が70-80%、といった印象です。わからない問題は深く考えるのをやめて、次へ進みましょう。試験中はみんなどうせ同じところで詰まってます。正答率の低すぎる問題は削除されますし、みんなが解ける問題を落とさなければ良いのです。

【宿泊、試験会場の様子など(ただの感想)】

 ここからはただの感想です。暇な方のみお読みください\( •ω•)/

 試験の半年前から出願手続きができます。手続きしてから受験票が届くまでに結構タイムラグがあります。受験票が届くのは試験1ヶ月前です。受験票が届くと、あぁついに届いてしまった・・・という絶望感に襲われます。
 横浜、大阪の2会場でした。横浜ファンなので横浜を選びました。CS〜日シリ最高でしたね!試験の1週間前に日シリやってたし今年のこの展開で勉強するのはさすがに無理でしたね!こういう想定外のことが起こるので勉強早めに始めたのはまあまあ正解だったのかも。笑

 試験前日は前泊しました。ホテルは早めに予約する方がいいと思います。周辺のホテルは受験生で溢れかえると思いますので。
 勉強道具は荷物になるし試験終わった瞬間にただの紙屑と化すので、持ってくのは最小限にした方が良いです。
 パシフィコは行ったことはあるけど記憶が朧げだったので、前日ホテル到着後にルート・所要時間の確認と散歩を兼ねて会場まで歩きました。意外と大事な要素だった気がしました(当日の朝の不安を少しでも減らしたい方はおすすめです)。
 試験前日は早く寝ましょう。睡眠の質には自信があるタイプなのですが、環境変わったし試験前だから緊張して眠れないかな?と思ったけどベッドに入ったら秒で寝ました。アホで助かる。

 横浜は受験者数1100人くらい?スーツケースなどの大きな荷物も持ち込み可です。昼ご飯は用意して持ってった方が無難です。
 鉛筆でもシャーペンでも良いですが、マークを塗る速度を考えると鉛筆のほうが早そうです。周りを見てみても鉛筆が多かったです。
 試験は9:00〜16:10です。3つの時限にわかれていて、1時限あたり100分です。昼ごはんをどこで食べるかちょっと悩ましい。

 試験中になんかAI音声が聞こえて、あれ不正行為で失格にならんのかな?と思っていましたが、どうやら本当に不正行為をはたらいていたようです。カンニング方法も令和ですね。つまみ出されて不合格になったようです。そんなことするやつ本当にいるんや。
 音が鳴らないように、スマホやタブレットなどは電源を切るのが一番安心です。

 そんなこんなで終わりましたが、エッなんかむずくね?というのがメインの感想でした。周りも同様の感想でした。去年合格率高かったからですかね。知らんけど。ちなみに合格率は、2023年(第51回)は87.36%、2022年(第50回)は71.85%、コロナ前の2019年(第47回)は65.4%です。
 試験を倒し、翌日(月曜日)は有給をとっておいたので、観光とベイストアでの買い物を楽しみつつ帰宅の途につきました。観光は平日に限りますね。

【終わりに】

 色々と思うところを書きましたが、これで試験落ちてたらほんと面白いです。こいつの言うことなにもあてにならんなと思います。ちなみに落ちてもレポートを作ることは今更できないので、多分もう受験しないです。
 合格発表は1月下旬〜2月上旬だそうです。
 もう勉強なんてしたくなーい( ˘•ω•˘ ).。oஇ

 試験勉強中は、ヒント先生のNoteの記事にとても助けていただきました。こうやって備忘録作ろうと思ったのもヒント先生の記事のおかげです。
 どなたかの試験勉強の参考になりましたら嬉しいです。

 読んでいただきありがとうございました。
 受験したみなさん、お疲れさまでした。
 来年受験される先生方、頑張ってください。このような記事を読んでくれている先生方は真面目なので、きっときちんと情報集めて勉強ができると思うので、大丈夫です。

 それでは。…(っ•ω•)╮ =͟͟͞͞📚