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【感想】アークナイツ第13章 悪兆渦流について ~切っ先の向かう先~

アークナイツの新章が開幕しました。
前回の凄惨な戦場から、今回の舞台はどのような場所になるのでしょうか。そんな思いを抱きながら、13章を始めました。
今回は、13章を通して感じたこと、考えたことをつらつらと書いていきます。
最後まで、読んでいただけると嬉しいです。


組織の根本原理について

※以降はネタバレが入ります。ご注意ください。
今回の物語が宿すテーマには”組織の根本原理とは”。これがあるのだと思います。
ロドス、規範軍、そして救国軍の基本原理。
ブレントウードという大地に向かう彼らには、各々が持つ考えがある一方、組織を組織たらしめるものがあります。
ロドスはア―ミヤが述べたように、”この大地にすべての人のために”活動し、救国軍はロンディニウムをヴィクトリア人の手に取り戻すために活動しています。
シージが頭目(もっとも彼女は否定すると思いますが)として活動を行う、規範軍の基本原理は、彼女が述べているように自らの力で、自らを守り、己が資産を守るというものでした。その思いが、彼女がハンマーを振り下ろす直前のセリフに端的に表れています

この言い回しはおそらくデルフィーンやモルガンが作ったように見られる。
王位継承者のアレクサンドリアではなく、
グラズゴーの親分ヴィーナとして発言しているようで、
個人的にはこのセリフが好きです。

”自らの足で帰ろう”このスローガン----語源は戦いを始める前の鬨の声----は感染者、元軍人、現役軍人、町のゴロツキ、善良な市民をまとめ上げました。
組織の根本原理をスローガンとして、表現することで共通の目的を設定することが出来たわけです。
その一方、スローガンだけでまとめ上げることの危うさを指摘している存在もいます。レユニオンです。

言葉の無力さについて

シージの規範軍がスローガンでまとまったのは、ロンディニウムに帰るという短期の目的が設定されていたからです。
では、感染者の生存のために戦っているレユニオンは?
スローガンでまとめられる人の量を超えているレユニオンは、内部で対立を生むものが多く存在します。
感染するまでの貧富の差、サルカズという人種、そして今後生まれるであろう古参兵と新参者の認識の違い----タルラを大罪人とみなすか、英雄とみなすか----
ガードが亡くなった後に、多くのことを経験してきたナインはこう結論付けています。

ただの暴動者ではいられない

会社で言うところの、経営理念、今風に言うならばMissionと呼ばれるものを設定する必要が、レユニオンに発生しました。

組織とは何なのか。

彼らの将来を憂う前に、組織について学術的な知識をお伝えしたいと思います。
とある学者は、組織とは三つの要素によって成り立っている。つまり、
一、共通の目的を有すること
一、組織のための活動するメリットが、行動を起こすコストよりも多いこと
一、コミュニケーションがあること
これらが、組織を組織たらしめる要因として、最低限必要であると述べています。
ハイパーグリフは組織が存属するためには、これだけでは足りず、理念と現実の帳尻を合わせる要素が組織に必要であると、アークナイツを通して伝えようとしているように感じます。

ロドスを例にして説明しましょう。
皆さんご存じの通り、ドクターは非力な存在です。
だが、彼はロドスの理念をア―ミヤやケルシーと話し合い、方向性を決定する際にその力を遺憾なく発揮します。
そして彼らの決定を信じてくれる人たちがいます。

リーダーがそういうのなら、乗るしかねぇよな

アークナイツ黎明前奏第1話 ACE隊長のセリフより

エリートオペレーターである、ACE隊長やOUTCAST、SCOUTが理念を信じ、現場を指揮してくれるからこそ、ロドスは製薬会社として各地の活動を行えています。
各地の活動だけではなく、薬の開発や薬の流通、時には感染者の警備等の具体的な作業を日常、非日常問わず指揮を執ることで、ロドスは多方面での活躍を許されています。

二つの組織の課題点

ロドスの強みは、豊富な人材が中間管理職として様々な業務の指揮や、実践を行えている点にあります。だが、これはレユニオンや規範軍とて負けていません。
レユニオンには、紅の刀ことレイドや、諜報に長けたパーシヴァルがいます。彼らが昔のレユニオンのように、ゴースト部隊やメフィスト率いる弓部隊のように指揮をとれば、少なくとも戦力を高めることが出来ます。
ただ、今はドクターのように信じられる理念がない。だから、ナインはガードの死を受けて、理念、方針の練り直しを図ったわけです。

みんな大好き紅の刀

レユニオンは、今中興の時代を迎えています。過去のタルラの過ちを断じつつ、彼らのようにはならないと決め、新たに組織化を行うための目的を設定しています。
だからこそ、私個人としては、この先不安なのは規範軍の方だと考えています。
テンペスト特攻隊のホルンをはじめ、職業軍人がいる中シージは意図的に組織化を拒否しています。
規範軍はあくまで、ヴィクトリア家の軍隊ではないという意図で拒否したわけですが、それにより中間管理職が生まれない風土を育みつつあります。
戦闘指揮に関しては、ホルンで良いかもしれません。だが、より広い戦術指揮になると、後衛オペレーターの指揮が必要です。
ブラッドブルードの大君攻略戦では、ロドスと共同作戦を行うことでその点を補っていましたが、今後も同じように行えるのかは疑問です。

規範軍の指揮官級は、彼女らにホルンが入る形になる。
見て分かる通り、高台配置のオペレータ―がデルフィーンしかいない。
そしてデルフィーンはあくまで、専門は諜報である。

まとめ

ヴィクトリアのため。目的は同じでも救国軍と規範軍では手段が変わってきます。
サルカズの手から、ヴィクトリアの大地を取り返したとしても、その手段に関し複数団体が一定の合意を得なければ、泥沼の内戦に落ち込むことは歴史の本を広げれば、事例は枚挙に暇がありません。
これ以上同胞の血を流さないためにも、彼らには戦場での勝利だけでなく、組織の観点でも成長をしてほしいと、一介のドクターとしては祈るばかりです。

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