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【アークナイツ用語解説】オリパシ―

始めに

SFがお好きな方が最近増えていると感じています。日本人は戦後から鉄腕アトムやドラえもんといった作品でSFに触れてきたためか、現在もAIの遺電子やアイの歌声を聴かせてといった作品が新たに生まれています。
この、SF作品がどんどんと生まれてくる波は、日本だけではありません。その波は、中国でも起きています。
本投稿では、中国から来たSF作品である『アークナイツ(開発ハイパーグリフ、日本運営yostar)』の中核の概念である、オリパシ―について解説をしていこうと思います。
SF作品の魅力であり、ライト層が手を出しにくい専門用語を解説することで、皆さんがアークナイツの世界観や魅力について触れていただけたら幸いです。

アークナイツとは

アークナイツとは何か。これについて、公式では以下のように解説しています。

アークナイツとは、天災がもたらした謎多き鉱石「源石(オリジニウム)」の影響により、世界各地で鉱石病という病が発生。それにより現れた特異体質者たちをめぐる戦いを描いた本格タワーディフェンスゲームです。

一見すると、オリパシ―という単語がありません。ここが翻訳の難しさですが、鉱石病がオリパシ―を指しています。
特異体質者たちの戦いの原因となっている鉱石病(以下「オリパシ―」と記載します。)について、どんな病で、どのような影響を与えているかなどについて、次の項目から解説をしていきます。

オリパシー概要

オリパシ―とは、アークナイツ世界で猛威を振るっている感染性の病を指します。
最近まで猛威を振るっていた COVID-19 や、かつてのスペイン風邪のように国家が対応しなければならない影響度を持つオリパシ―は、アークナイツを語る上で極めて重要な要素を占めます。
オリパシ―に感染した者を作中内では、感染者と呼びます。この感染者=オリパシ―だと容易に考えられるほど、オリパシ―という病は社会的に認知されている一方、その病がどんな症状をもたらし、自分に危害を与えるのかという点も広く認知されています。
オリパシ―は、感染者の肉体を、次第に源石へと変貌させる死亡率100%の不治の病であり、さらに恐ろしいことに感染者が亡くなった際には、死体が新たな感染源になってしまう特性を持ちます。
この特性を持つ感染者は、人である前にいつか病気をまき散らすであろう存在として扱われています。そのため、非感染者は、自身が感染しないために感染者に対して排除を行っています。
その排除の程度こそ、国家間によって違いがありますが、基本的に感染者=疫病神という認識が一般的な”常識”として存在しているのが現状です。
主人公が初めて戦う、ウルサスという国では感染者への差別が特にひどく、感染した場合即強制連行、強制労働を課すという強硬な対応を行っています。



オリパシ―の感染源、源石(オリジニウム)とは

オリパシ―は源石という、現実社会で言うならば石炭や石油のような存在である固形化したエネルギー体を体内に取り込むことで発症します。
源石は、鉱床として地面深くに眠っている場合が多く、それを採掘・加工することでエネルギー体として活用できるようになります。
上記の点から見て分かる通り、源石を採掘する作業に従事する方等がそれ以外の職業に勤めるかたよりもオリパシ―感染リスクが高くなります。現実社会で例えるならば、石炭を主なエネルギー源としていた時代の炭鉱夫が職業性肺疾患である塵肺に罹りやすいというのが、これに該当します。
では、その感染の大本である源石から距離を取るように、国家が動けば問題が解決するのか。残念ながら、それだけで問題は解決出来ません。
源石は前述したように、固形化したエネルギー体であり現代社会を支える基礎そのものです。巨大な工業設備から、ランタンまで、すべてのエネルギーが源石の恩恵ありきで成り立っている状態で、源石を否定したところで誰も従うものはいないでしょう。
アークナイツ世界において、この源石を使わなければ生活できない。源石があるから人が苦しむという、アンビバレンスな問題を解消するために主人公が所属する組織、”ロドス・アイランド”が活躍していきます。



オリパシーが原因で発生する問題

オリパシ―が原因で発生する問題は、上記の感染者への差別だけにとどまりません。感染者への憎悪による犯罪や、感染者からの報復活動といった直接的な暴力だけでなく、国民間の分断をあおることにもつながります。
アークナイツ世界では、多くの種族が出てきます。ウサギをモデルにしたコータス、猫をモデルにしたフェリーン等それぞれの種族による微妙な差異や、生まれた国による考え方の違い、生まれた階級の違いによって意見が分かれ、問題解決のためのエネルギーを一つに集約することが難しくなっています。
ここに更に、感染・非感染という対立構造が生まれることにより事態が複雑化し、それを解決するために極端な動きをする団体も生まれます。その団体の一つが、ロドス・アイランドと対立することになる”レユニオン・ムーブメント”です。
彼らも極端な活動を行いたいわけでなく、感染者への差別から自分や大切な人の安全を守るために活動している側面もあり、それがより事態を混迷にしています。
絶対的な正義がない以上、誰かが決断を下さないといけない。その決断が争いを生んだとしても。
アークナイツが硬派なSFものと呼ばれる理由が、感染という不条理に対して人がどう考え、どう行動するかに焦点を当てた作品だからではないかと、私は考えています。

終わりに

アークナイツは、中国産SFであるため日本にはなじみの薄い、人種間の対立・国家間の対立も表現しているため、手に取りにくい点もあると思います。
本投稿が、そんな悩みを持っているかたに届き、アークナイツの世界をより詳しく知りたいと思っていただける一助になれば幸いです。

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