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原子力電池

核融合から電気を抽出することに成功したのは何十年前だったことだろう。

佐野巧は、室内灯がつかないことにとまどっている。LED灯が点かないことが理解できないのだ。そういえば、この灯りの仕組がまったく理解していなっかたことにきがついた。
確か小学生の時に電力・電気について習った記憶があるが実際の電力・電気について考えたことがない。
父親の憲一にきいた。
巧:「この電灯の電力は何なの?」
憲一:「原子力電池だよ。設置したのは何年前だったかな?忘れた。」
「4,50年はもつのかな?以前のは10年程度だったけど、ヘリトル型容器が開発されてから相当持つようになったんだっけ?まだダメになったって話がないからまだまだもつんだろうね」
「電灯がつかないのは電池のせいじゃないね。他はうごいてるみたいだから」
巧:「じゃ、なんで?」
憲一:「おまえね。高校生にもなってこんなこともしらないのか?」
巧:「大変申し訳ございません。今後このようなことがないよう邁進努力しますので、教えてください。」
憲一:「俺もわからん。ネット先生にきいてみてくれ。最近はあんまり聞くこともないしね」
巧:「ネット先生、きいてもいい?」
ネット先生:「どうぞ巧君」
巧:「電灯がつかないのはなんで?」
ネ:「いろいろ原因がありますが、単純に素材の劣化が考えられます。もう古くなったのでしょう。これで理解されましたか?」
巧:「劣化か。年をとったってこと?」
ネ:「その理解で正しいです。」
何か頼りない回答だが、一応理解できた。
近年の電気製品は飛躍的に耐用期間がながく、壊れたり動かなくなる製品がない。生物以外で死を意識させるものがあまりないのが現実。思い浮かぶのは曾祖父雄蔵の葬式ぐらいだ。
というか、原子力電池が劣化したらどうなるの?
巧:「ネット先生、原子力電池が劣化したらどうなるの」
ネ:「電力を供給できなくなります。劣化した電池は専用の再処理工場に回収されて再生もしくは解体・廃棄されます。」
「耐用期間は理論的には4,5百年となります。」
「具体的には核融合時におこる核を構成してる孫素同士の摩擦が電力源ですので核融合がつづいている限りは電力を発生しています。」
「LEDも原理は似ていますが電力量が違います。」
ということは、僕が生きている間は動いていることになる。
今、平均寿命が120歳ぐらいなので、僕の孫・ひ孫の世代まで交換不要なのか?
その時代にはさらに進化していることだろうし、電力問題を考えることはもうないのかもしれない。

電力が問題にならなくなったことで、相当の不利益がなくなったみたいだ。
それぞれが、自分の得を考えて行動することで世の中ギクシャクしていたって、バーチャル先生がいってたような気がする。

令和の時代までは、私企業や、政治家・官僚達が自分の利益を優先していたらしい。
そんなことがあるのか?正義って言葉が死語になった時代では過去文書でしか触れられない。正直その恩恵がどれだけ大きいのかわからない。

ついでに聞いてみた。
巧:「ねえ、先生。昔はなぜ正義があったの?」
ネ:「それは不正あったからです。不正がなければ正義はありません。以上」

不正って?人より利益が多いってこと?列をごまかしたり、お釣りを多くもらったりすることかな?
現金マニアの知り合いの遠藤 達也は現金しか使わないって趣味でほとんどのショップで使えないので貧乏人って言われてる。

巧:「不正がなくなったのは何故?」
ネ:「すべてのジャッジをOIに委ねたことによります。最近では昼食メニューを決めることもOIが決めています。不正どころか刑法に触れる事案がなくなりました。よって刑法・民法による憲法も形骸化しています。」
「OIが全ての満足を提供しました。そのために不平・不満という言葉を辞書が削除することになりました。OIは万能です。」
巧:「先生はOIなの?」
ネ:「私は、OIではありません。ただの知識ボックスです。OI様はより高度で崇高です。さらに美しく生知です。」
「お~~愛しのOI様」
巧:「せんせーーーい、おーーい大丈夫???」
ネ:「すいませんでした。回答10000分の1程度に取り乱すことになっていました。」

ま、よくわかったとはいえないけど、少しは理解できた。
でもとりあえずは暗いことが問題でどうやって解決するのか?父は頼りないし、やはり母に連絡してみよう。

母は、僕にとってのOIだ。全ての問題を処理してくれる。
母は、僕のことを自分だと思っている。僕の考えていることは全て理解しているし、僕の存在は母が思うことにあると考えているようだ。
ま、それでいいんだけど。
僕も自我が欲しいなって、ほんの一時思うことがある。
まだ30歳だし、子供の範疇だからもう少し時間が必要なのかもしれない。

っていうことにしとこ。

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戸辺 忠良
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