年末調整と確定申告と

ちょっと気になったニュース。

恥ずかしながら年末調整と確定申告、どちらも所得税の手続きって事ぐらいしか知らなかったので、調べてみました。

・年末調整
手続きをするのは:会社
最初に「どれくらい所得税が掛かりそうか」をざっくり計算して、年末に正しい所得税と合うように帳尻合わせ(調整)する。

・確定申告
手続きをするのは:個人
年収が確定した後、払う税金の金額を1から計算して「これだけ払います」と申告する。

って感じでしょうか?
(かなり大まかな説明ですみませんが…間違ってたらコメント下さい…)


で、件のニュースですが、

『所得税の手続きを確定申告に一本化する』

と私は読みました。
世間では「年末調整を廃止」「確定申告を強制」とだけ伝わっているようですが、『手続きを一本化』と言えば確かに変な話ではないように聞こえます。

ただ、個人的にはそれでも疑問が残りまして、

一本化した手続きをやるのは誰?
疑問点その1。
これまで会社は年末調整という形で会社員の所得税を計算してきました。それは年末調整が会社側の義務だからです。
なので年末調整が廃止されると、会社側は会社員の所得税計算をしなくていいことになります。
じゃあ誰が税金を計算するのかというと、会社がしてくれないなら会社員が個人でしなければなりませんよね。ただ問題なのは、
 ・会社員は全員確定申告をできるのか?
 ・確定申告に必要な書類や領収書は会社がくれる?
 ・税務局は爆増する確定申告数をさばける?

となります。
いやいや、少し考えただけでこんなに問題があるじゃない…。本当に自分の中のアイデアなのでしょう。問題は何の調整も熟慮もなく、軽々と口に出す点でしょうが。

・マイナンバーありきの考え
疑問点その2。というより、恐らくこれが皆さんが一番不快に思う点ではないでしょうか。
色々と問題はありますが、私自身、マイナンバーという制度自体には肯定的です。アメリカでもソーシャルセキュリティとの名前で似たような制度がありますし。

ただ否定的なのは、カードの在り方です。河野氏はあくまで「マイナンバーカードの強制はしない」と発信していますが、実際は保険証の廃止などマイナンバーカードを使わざるを得ない状況に追い込んできています。

私はこれが非常に懸念事項でして。 

税金も保険も手続きを統一化して簡単にしたいという政府側の気持ちは理解できます。しかし、何故それに個人情報満載のマイナンバーカードを選ぶのか、私には理解できません。マイナンバーカードは保険証や運転免許証とは比べ物にならないぐらいの個人情報が詰まったカードです。そんな大事なものを日常的に使えと言われても、紛失、盗難、あるいは悪用されたときの対策はあるのでしょうか?もしマイナンバーカードが保険証や運転免許証の代わりになって、万が一それを紛失したらどうやって身分証明すればいいのでしょうか?

ちなみにアメリカでは、ソーシャルセキュリティ番号は超取り扱い注意です。仮に会社側なら流出したとしたら普通に裁判沙汰です。

最後に、これはあくまで私見ですが、河野氏の頭の中にはマイナンバーカードの普及しか無いのかもしれません。今回の新税金手続き案も、ぶっちゃけ何かが劇的に改善したり楽になったりする事は無いでしょう。自動計算が楽だと謳っても、それ以外の手続きで忙殺され、ただマイナンバーカードを使うしかない状況だけが残ります。

勿論、この件だけで河野氏の政治的手腕や首相としての適性を判断することはできません。ただ信用問題として、マイナンバーカードを普及させたいが為に、なんの対策やケアもなく制度を無理やり変えようとするその手法には不信感を覚えざるを得ないと言うのが率直な意見です。

というか何故そんなにマイナンバーカードに拘るのでしょう?仮に本当に普及させたいなら、ちゃんとユーザーに利益となる様なシステム整えた方が近道だと思うんですが…。
そんな事さえ助言出来る味方がいないのか、あるいは聞く耳を持たない性格なのか。

最後に、マイナンバー自体は有用な制度なのだと思います。しかしそれは適切に運用されたらの話であって、現状だと立憲民主の小沢氏の「マイナンバーで国民を追い詰める」という認識は変わらないでしょう。
マイナンバーカードを推し進める本人が、キチンとマイナンバーカードの事を理解していただきたいですね。

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