石破氏の安全保障論
27日、石破茂氏が第28代自民党総裁に選ばれました。
それ自体は賛否両論ありますが、気になる記事があったのでちょっとコメントを。
元々防衛畑の石破氏。
やはり安全保障関連については並々ならぬこだわりがあるようですね。
ただ私個人は石破氏の構想について懐疑的でして、特に日米地位協定の見直し案については現実的でないように思えますのでつらつらと意見を纏めました。
【何故日米地位協定を改定するのか？】
私がまず疑問を持つのが、石破氏が日米地位協定を改定する理由です。
石破氏の論調としては、私の知る限り、
・安全保障の為にアジア版NATOを作りたい。
・そうすればNATOの核共有制度も出来るし。
・そのためには日米地位協定の改定が必要。
・新しい協定では日米対等な関係を目指す。
ここでポイントなのは、別に今の日米地位協定が不満だから改定する訳ではありません。日米地位協定といえば多くの日本国民は沖縄の米軍非逮捕が思い浮かぶと思いますが、石破氏の改定はあくまで「自分の考えた防衛構想」を実現したいからと私は読みました。つまり多くの日本国民が思う沖縄の米軍逮捕とかはほぼ無関係で、しかもこれが改善される保障もありません。
【そもそも核共有制度って？】
石破氏の構想はNATOの核共有制度をベースにしたものだと思いますが、正直夢物語りだと思います。
そもそもNATO核兵器共有制度は実際に核兵器を分配するわけではありません。分かりやすくいえば自国領に侵攻された時、「俺ごとやれー！」するための制度なんです。つまり核兵器共有制度が実際に機能するのは戦争開始後（しかも攻め込まれる程劣勢な状況）というわけですね。おまけに最終的な決定権は米国にあるしで、ぶっちゃけ「これ意味なくない？」という声も多い制度です。
アジア版NATOと簡単に言いますが、つまり他の国々も巻き込むということです。貿易、経済、保有戦力すらバラバラな国々を纏めるのにどうするのでしょうか？ていうかこれ米国にメリットある？
日本には非核三大原則を初めとした核兵器に厳しい法律、憲法があります。核兵器共有制度とは間接的にですが核兵器使用に関わるということであるため、どのような見解になるのでしょうか？
と、軽く考えても問題は山積みです。
防衛研究所ですら現実のNATO核兵器共有制度について日本の適用は難しいと言ってるぐらいなので、ほぼ無理じゃないこれ？
【在米日軍基地？】
ツッコミポイント2。石破氏は米国のグアムに自衛隊基地を作ると言及していました。個人的にはこちらのほうが問題と思ってまして…
米国領に基地を作ると言うことは、暗に「米国領に自衛隊が派遣される可能性がある」という事と同意義です。 石破氏は訓練と相互関係を理由に挙げていましたが、例えば宇宙飛行士は宇宙に行くから厳しい訓練をするのであって、一般人がしても意味ありませんよね？それと同じで軍隊もわざわざ行く必要もない場所での訓練など不要です。
相互関係だって、今までの行動訓練場所を米国領にして相手国に負担を肩代わりしてもらおうと思われても不思議じゃありません。
【石破氏の思惑】
じゃあなんで石破氏はこれらを上げてるの？と聞かれますと、これは私の勝手な思い込みですが、石破氏は「対等な関係の日米地位協定」みたいな個人的野望があるのではないでしょうか？
言葉だけなら甘美な響きでしょう。確かに現在の日米地位協定は戦後制定されたもので、米国側に有利な協定という側面は否定できません。その分かりやすい歪が沖縄の米軍犯罪という形で見えてる以上、賛同する人も多いかと思います。
しかし今一度マクロな視点を持ってください。
対等になるということは相応の責任をという事。今の日米地位協定は「日本が攻撃されれば米国は助けるけど、逆は無い」が原則ですが、対等な関係となれば米国はなんというでしょうか？
少なくとも自衛隊の他国派遣か、もしくは米軍の完全撤退になるでしょう。
果たしてこれらは現実的でしょうか？
現状、米国抜きに日本の安全保障は成り立ちません。それが良いことか悪いことかはさておき、石破氏の発言にはこの認識があまり感じられず、「なんか現実より自分の理想追ってない？」と思ってしまうわけです。
というか米国にしてみれば「いや日本は中北露の防波堤になってくれれば良いんだけど…」なわけで、アジア平和にしても「その方がうちは経済的に安定するから」なんですよね…。
思いっきり利益有りきの関係ということは、つまり旨みがなくなったと判断されれば、最悪見捨てられる可能性もあると思うんですが…。
どうなんでしょうね？
まぁ、あくまで素人の意見ですが（笑）
いつも通り、間違ってたりトンチンカンな意見と思ったらコメントでご教示くださいm(_ _)m
特に核兵器共有制度についてはかなりざっくりした説明なので…汗
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