化け物たちのバカ騒ぎ・3

 第二話:https://note.com/jolly_lily783/n/n00f19992fe68


カーミラが私の蹴りを食らってよろめいた瞬間、私はそのままベッドから大きく跳躍する。
 脚力には自信がある。私はそのまま、ドアをけ破り疾走する。

 優れた脚力を活かして、人に化けて飛脚として働いた妖狐の話は多い。中でも有名なのは、鳥取県の桂蔵坊や秋田県の与次郎狐だ。両者ともに死後、稲荷神社で祀られて今なお伝説として語り継がれている。

 だがその狐の脚力を込めた蹴りを食らってなお――
「逃がさないわよ!」
 とカーミラが背後から追いすがるのを感じる。
 私はただひたすら走る。銃と弾丸を失った今、まともに迎え撃つ手段は私にはないのだ。否、たとえあったとしても吸血鬼の弱点を無効化する霧が周囲を包んでいる時点で、焼け石に水だろう。
 だから私は、無我夢中で疾走する。それが今の自分が可能な唯一の手段だから。
 だが――
「私の情報を与えた対価として命じます……止まれ!」
「!?」
 後ろからカーミラの声が聞こえると同時に、私の動きが止まる。
 カーミラの催眠術で強制的に動きを封じられたのだ、と気づいた次の瞬間には
「がっ!」
 後ろから伸びた少女の手が、私の首をつかんだ。
 『箸より重いものを持ったことが無さそうな』という表現がよく似合う、形のいい繊手は見かけの印象を裏切る凄まじい膂力を込めて、ぎりぎりと締め上げてくる。
「ぐ……」
 私はとっさに蹴りを繰り出そうとするが、カーミラが首をつかんだまま、私を壁に勢いよくたたきつける。
「……っ!」
 あまりの衝撃に声さえ出せず、一瞬意識を手放した。
 苦痛ですぐに意識を取り戻したものの、私はまともな抵抗さえできずただ手足を痙攣させるしかできなかった。
「私、長時間の催眠術ってどうも苦手なのよねえ……念のため保険かけといてよかったわ」
 私の首をわしづかみにしたまま、カーミラは独り言ちるように話す。
「さっきあなたに私の名前を霧の効果を教えてあげたでしょ?あれはね、自ら情報を明かすことで、一時的に相手の動きを封じる催眠術なの。最も格上には通じないけど……」
 嫣然と微笑みながら話すカーミラの声を聞きながら、私は苦痛に身を震わせることしかできなかった。
「ねえあなた、もしかして……」
 そんな私の様子を見て、一瞬眉をひそめたカーミラが話しかける。
「人間に変身する以外の能力を使えないのかしら?」
「……っ!」
 図星だった。私は元々落ちこぼれで、『養母』に拾われた当初は、狐火や幻術はおろか、変化さえまともにこなせなかった。……おそらくはそれが、実の親に捨てられた理由だろう。
 『養母』の教育のもとで、私は人間への変化をほぼ完璧にこなせるようになった。人間はおろか他の妖怪や魔物にさえ気づかれぬほど精度が高く、人類社会で生きていくうえで支障がないほど。
 だが、幻術や狐火は依然として使えない。『養母』も人間社会で生きてゆくうえでの必須技能ではないからか、無理して習得しなくていいと言ってくれた。
 身体能力そのものは高かったため、『アルバイト』をする際には事前に与えられた情報によく目を通し、対象の弱点を取りそろえることで対処できていた……これまでは、だが。
「か……」
 絞められた首からは、か細い声しか出ない。
 しゅるりと、私の腰から狐の尾が出た。私の髪と同じ、黄金色の豊かな毛におおわれた尻尾。
 それが淡く光を放ち始めた。
「……?」
 訝し気な眼差しを向けるカーミラの目の前で、徐々に色と光を増して鮮やかに輝く尾が軽く床を打つ。その直後――茜色の焔が生まれてカーミラを包み込む。
「あああああっ!」
 夕暮れ時の空のような色合いの火炎に身を焼かれて、カーミラは身をのけぞらせて絶叫する。吸血鬼は多種多様な能力を持つが、弱点も多い。炎もその一つだ。
 同時に私の首をつかんでいた手が離れて、私はせき込みつつも立ち上がる。
「狐火……出せた」
 どうにか声が出せるようになって、私はかすれた声でつぶやいた。

 狐火。その名の通り、狐とかかわりがあるとされる怪火。狐の吐息が光っているだの、狐が尾を打ち合わせて火を起こしているだの言われている。
 火の気のない場所に漂い人を惑わすとも、逆に夜道を照らして案内してくれるとも伝えられている。
 狐が地中の朽ちた木を取って火を作る、あるいは人や馬の骨で作るともいわれているらしいが、『養母』によると狐は、周囲に漂う死者の残留思念を利用して狐火を灯すらしい。
 私は今まで何度練習しても、それができなかった。火事場の馬鹿力――命の危機に追い込まれて活性化した生存本能のおかげだろう。
 私はこの隙に逃走しようと身をひるがえす。着せられたドレスの裾を破きながら、全力疾走。わき目に振らずに学校を飛び出て校庭に飛び出すが
「がっ!」
 背中に衝撃を感じた。と思った時は地面にたたきつけられていた。
「……残念だわ。あなた私の好みだから、生かして色々楽しもうと思っていたのに」
 小鳥がさえずるように愛らしかった声は、どす黒い怨嗟を含んで地を這うように低く響いた。
「でも……貴方も同じ女だから分かってくれるわよね?自分の顔を傷つけられた怒りと屈辱を!」
 地面に倒れ伏したまま横目で見上げたカーミラの顔は、ところどころ赤黒くただれていた。霧のおかげで致命傷には至らず、痛ましい火傷もみるみる修復されていく。やがてシミ一つない白い肌に戻るが、怒りは収まらないらしい。
 長い黒髪に囲まれた可憐な面差しが歪み、『般若の如き』という形容がふさわしい憤怒の形相を呈している。
「あなたが悪いのよ」
 言い放つやいなや、カーミラは片手で私の首をつかんだまま、口を大きく開く。血を吸ってそのまま殺す気だろう。私は必死にもがくがカーミラはびくともしない。八重歯にしては大きく、長すぎる牙が私の肌を食い破ろうとする。
(死ぬ……かな。母さん、ごめん)
 懸命にもがく一方、頭の方は半ば死を覚悟し『養母』に詫びる。
……次の瞬間、私をつかむカーミラの手が切り落とされていた。
「……え?」
 カーミラはしばし硬直した後に呆然とかすれた声を漏らした。何が何だか分からないと言うように。
 傷は何故か再生しない。いや、よく見れば再生自体は始まっているようだがひどく遅い。よく見ると、傷口にちらちらと蒼い炎がまとわりついている。
 私も同様の状態だった。一体何が起こったのか。私は攻撃どころか、もはや逃走さえままならぬ状況だ。
 では誰が――と思っていると
「ああっ!」
 カーミラが悲鳴を上げて大きく吹っ飛ぶ。どうやら手首を切り落とした何者かに、そのまま蹴り飛ばされたようだ。
「……無事かい?華乃」
 清水がさらりと流れるように涼やかな声が響いた。ゆっくりと視線を転ずると、そこには私が大好きな見慣れた姿。
 ほっそりとした長身を隙なく包み込むのは、かっちりした仕立ての黒いパンツスーツ。白い繊手には薙刀が携えられている。おそらくはこれでカーミラの手首を切ったのだろう。結わずに背中の半ばまで垂らした癖のない髪は、月明かりのように色が淡く、金にも銀にも見える。すらりと伸びる鼻梁が目立つ形のいい細面は二十歳前後ほど――私とさほど変わらないように見える。瑞々しいほど涼やかな美貌の中で、切れ長の大きな眼が私をまっすぐに見つめている。
「……母さん」
 白面金毛九尾の狐。二尾の狐。化生の前。七色狐。妲己。華陽婦人。褒姒。若藻。藻。玉藻稲荷大明神。九尾稲荷大明神。玉雲大権現。伝承や祀る神社によって多種多様な呼ばれ方をされているが、この国で最も有名な呼称は玉藻前だろう。
 かつてその美貌と博識から、鳥羽上皇の寵姫にまでなった女性。天下一の美女とも、国一番の賢女とも謳われた彼女こそが、私を拾い育ててくれた養母だ。
「どうして、ここに?」
「君と連絡が取れなくなったと、君に仕事を回した陰陽師から教えてもらった。それで、心配になって様子を見に来た」
 私の質問に、母さんはいつも通りの淡々と澄んだ声で応じた。

「……母さんって、それじゃ貴方があの玉藻前なの?」
 何とか体を起こし立ち上がったカーミラが、私が発した声を耳ざとく聞き取って問いかけてくる。
「確かに、私はその名を鳥羽上皇から賜ったことがあるよ」
 カーミラの質問に、母さんは鈴を鳴らすように透明感のある声で抑揚無く答える。
「へえ……なんだか」
 カーミラは母さんをしげしげと観察する。
 美人だが女性としての色香より、涼やかで怜悧そうな印象が目立つ。透明感のある声とかっちりしたパンツスーツと相まって、中性的で凛然とした雰囲気すらある。
「エンタメ作品で描かれる姿とは違うのね」
「期待はずれだったかい?」
 その感想に、母さんは口元に淡い苦笑を浮かべた。
 確かに、昨今のエンターテインメントで玉藻前の名を冠されたキャラクターは胸元を露出した妖艶な美女として描かれることが多い。おそらくは『権力者を誑かした美しい悪女』という面を、分かりやすく強調するためだろう。
「期待外れとかじゃないわ。綺麗だけどイメージしてたのと違うっていうか……」
「そう。ところで吸血鬼のお嬢さん。残念だが君とゆっくり談笑することはできないな……」
 美しい女性には目が無いのか、半ば陶然とした様子で話しかけるカーミラに対し、中性的な口調で応じながら、母さんは私の姿を一瞥する。
 ドレスの裾は私が自ら破いたものだが、あちこちの傷や首についた爪痕はカーミラがつけたものだ。
 それらを確認した後に再びカーミラに向けられた眼差しは、鋭く冷え切っていた。
「私の娘を随分と可愛がってくれたようだね」
「え、あの……」
「お礼だ。遠慮なく受け取ってくれ」
 言い放った母さんが、軽やかな身のこなしで一歩踏み出す。そこから文字通り瞬く間にカーミラとの距離を詰めて、薙刀を一振りする。
「あああっ!」
 とっさに飛びのいたものの完全にかわし切ることはできなかったらしく、カーミラが苦痛に顔をゆがめて絶叫する。
 薙刀は蒼い炎――母さんの狐火を纏っておりそれが傷跡の再生を阻害しているらしい。だが、それでも致命傷にはなりえない。あの霧がある限りは。
「母さん!周りにあの白く光る霧がある限り、どんな攻撃をしても無駄だ!」
「ほう、なるほど。ならば……」
 ぬらりと不気味なほど生白く輝く霧を視認した母さんが、つぶやいた。
「霧を焼いてしまえばいいのだね」
「……え?」
 当然のように言い放つ母さんの言葉を聞いて、カーミラは愕然と凍り付いた後に、かすれた声を出す。
 しゅるり……と母さんが自分の尻尾を出す。木の葉のような形をした、優美で柔らかそうな尾。雪のように白い毛並みに覆われた尻尾が九本も揺らめくさまは、大きな花弁のように見えた。
 その尻尾の色が変わる。雪が降り積もったような純白から、稲穂を束ねたような黄金色へと。
 その尾の群れを打ち合わせると、狐火が生まれ意志あるものの如き動きで、周囲を包み込んでいる霧に向かう。
 私が出したような夕焼けのような茜色の炎ではない。
 蒼い炎。月の光よりも冴え冴えと透き通った、鮮烈にして清涼な色合いの火炎が、ミルク粥のようにねっとりと濁っていながらぬらりと輝く不気味な霧を容赦なく呑み込み、焼き尽くしていく。
 学校には傷一つつけぬまま。
「……う……嘘……」
 自分の弱点を無効化するための霧が、丸ごと焼き尽くされる光景が信じられなかったのか。カーミラは愕然と立ち尽くして眺めた。
「……さて、吸血鬼のお嬢さん」
 広範囲に漂う霧をすべて焼き尽くしたことを確認した母さんが、勝ち誇る様子もなくカーミラに声をかける。

「このまま、おとなしく投降する気はあるかい?」
 カーミラは答えない。うつむいたまま、細い肩を震わせている。
「……悪いけどないわね」
 沈黙の後に答えた声は、静かに落ち着き払っていた。
「……私じゃ貴方に勝てないことは分かったわ。……でもこのままじゃ腹の虫がおさまらない」
 そう告げて母さんを見つめるカーミラの紅い瞳は、紅蓮の業火を宿したようにぎらついていた。
 対してその眼差しをまっすぐに受け止める母さんの瞳は、涼やかな青。透明度の高い藍玉をはめ込んだように、玲瓏と輝いていた。
 カーミラが背中に生えている羽を無造作に引きちぎった。
 地面にへたり込んだまま見ていた私が思わず目をむいて息をのむも、カーミラは引きちぎった羽を手にすると、羽はそのまま不可視の手に粘土としてこねられるように形を変えていく。
 やがて羽は、一振りの黒い棹状武器に形を変えていた。はっきりと断言はできないが、中世ヨーロッパで用いられた『グレイブ』と呼ばれる武器に見えた。
 それを手にしたカーミラは、母さんに対して構えて臨戦態勢をとる。小柄で華奢な外見の彼女には似つかわしくない……かと思いきや、意外なほどしっくりと似あっている。
 母さんもそれに応じて薙刀を構える。しん……と張りつめた静寂がその場を満たした。
 次の瞬間、互いに瞬く間に距離を詰めた二人が刃を振りかざしていた。
「があああっ!」
 獣のように吠えるカーミラが振りかざしたグレイブを、母さんは巧みな技術で受け流す。流れるような動作でそのまま、柄でカーミラの腹を大きく突いた。
「ぐっ……」
 呻いたカーミラはそのまま、大きく吹き飛ばされる。即座に体勢を立て直して再度攻撃に転ずるが、母さんはまたもたやすく受け流す。
  一瞬の攻防。その隙をつくようにカーミラは母さんに軽く触れるが
「ちっ!」
 舌打ちして素早く後方に跳躍して距離を取る。
  身体に触れることで相手の能力に干渉して操作する――カーミラ自身が言っていたが、あの様子からしてそれができるのは私のような格下か自分と同等の相手だけで、母さんのように相手の方が格上だと通じないのだろう。
 追いすがる母さんの身のこなしに応じてさらりとなびく月明かり色の髪が、淡く光る。月華を浴びた夜桜のごとく、白く玲瓏とした輝きの中にどこか蠱惑的な妖しさをにじませて。
「……」
 私は、ただ呆然とその様を眺めていた。戦闘と言うより、一種の舞踊のようだと場違いな感想を抱きながら。
 体格が小柄なカーミラの方が、文字通り人間離れした剛力と速度を込めた攻撃を繰り出すのに対して、母さんはそれを力任せに弾き返そうとせずに風に柳がなびくように、しなやかに受け流している。
 またカーミラは白兵戦のみならず、大量の蝙蝠を生み出して母さんに向かわせるが、焼け石に水である。一匹残らず母さんの狐火に焼かれてしまう。
 顔をしかめたカーミラの姿が、黒い霧と化して母さんの薙刀による攻撃をすり抜ける。
「がああっ!」
 だが間を置かずに放った狐火に、霧と化した全身を蒸発させされそうになりカーミラは悲鳴と共に元の少女の姿に戻る。

 母さんの戦っている様子を見ていて、神楽を舞う白拍子というのはこんな感じだったのだろうかと思った。
 凛々しくも美々しい姿、軽やかで流麗な身のこなし。
 私とは大違いだ。そんな思いで、今の自分のみじめな格好を見て、俯いた。
 私が自分の未熟さを痛感して、悄然と俯いている間に決着はついた。
 身にまとう黒いドレスがズタボロに裂けた状態に陥ってなお、カーミラは戦意を喪失していなかった。
 満身創痍のありさまで荒い息を吐きながらも、かろうじてグレイブを構える。
「るあああああっ!」
 吠えるや否や、そのまま突進する。突進の勢いをそのまま載せて放った突きを、母さんは横に跳んで回避する。
「があ!」
 カーミラが再び吠えると、回避した直後の母さんへグレイブの向きを変えて、今度は大きく投げ放つ。
「!」
 母さんはとっさに薙刀の一振りで、グレイブの投擲を防ぐ。一瞬の攻防の隙に、カーミラが母さんとの距離を詰めて斬られていない方の腕を大きく突きだした。
「ぐっ……」
 カーミラが突き出した手で、母さんは腹をえぐられかすかに呻きを漏らしてよろめく。
「母さんっ!」
 私は思わず声を上げて立ち上がるが、母さんは片手を上げて私の動きを制止させる。
 母さんはそのまま至近距離でカーミラの肌にそっとなでるように触れて、彼女の瞳を覗き込み何事か口の中で小さく唱えた。……次の瞬間。
「あ……あ……ああああっ!」
 カーミラがよろめきながら、悲鳴を上げる。可憐な風貌が怒りや屈辱ではなく恐怖に歪み、自分の身体を自分の爪や牙でえぐりだし始めた。
 おそらくは母さんの幻術だろう。吸血鬼の弱点――ニンニクやらトネリコやら西洋サンザシやらが、自分の身体に植え付けられた幻覚でも見せたのかもしれない。
 ともあれ勝敗は決した。吸血鬼でも脱することはできない幻に捕らわれ続けて、恐怖に錯乱し続けるカーミラは自傷を続け――
「……」
「お……おい、君。聞こえるか?」
 戦闘を終えた後に母さんが呼びつけた陰陽師たちが、カーミラを連れていこうとするが、少女の姿をした吸血鬼は茫然自失となっていた。
 声をかけてもピクリとも動かない。傷口にまとわりついていた狐火は、戦闘が終わった後に母さんが消したので、傷の修復もすでに終わっている。
 だが幻による影響が精神を麻痺させているのか、地面にへたり込んだままだ。
「……その、申し訳ない」
「……ひっ!」
 だが母さんが言葉通り申し訳なさそうに声をかけた瞬間、氷が一瞬で溶け落ちるようにカーミラが恐怖に顔をゆがめて後ずさる。
「……その、娘を傷つけられたと思うと、つい……やりすぎてしまって、本当に申し訳な」
「ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさい!この世に生を受けてごめんなさい!」
「……いや、その謝るのはこちらのほう……いや、まずは深呼吸して落ちつこう!」
 恐怖に錯乱するカーミラとそれをなだめすかそうと慌てる母さんと陰陽師たちの声を聞きながら、私は脱力していた。
 今夜の、化け物たちのバカ騒ぎはひとまず終わったようだ。



 


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