「へうげもの」を読んでいる
ひょうげもの、と読むらしい
ふざけたもの、おどけたものという意味らしい
私が心打たれたのは、
数奇者である主人公の織部にとっての
美しいもの、価値あるものが変わっていくこと
人生が進むごとに
また、誰かの出会いと共に
いとも簡単に変わっていく良さ
そして、そのことに罪悪感も恥ずかしさもなく、
純粋に行ったり来たりしている点
宗易(千利休)はまるで違う
自分が信じた感覚にブレがない
何らかの気付きがあったり、
深みが変わったりするけれども、
ある意味で、ものすごく頑ななのだ
信じた美しさのために
暗殺まで企てるくらいだから当たり前なのだけど
私はどちらかというと、
頑なになってしまう
でも、自分の感覚が時々ものすごく変化して、
良かったものがわからなくなったり、
全然違うものが素晴らしく感じられることがあって、面食らう
そんなときは、自分が揺らぐような大問題に思えて
心許なくなる
だから、私が共感するのは宗易だし、
自由に行ったり来たり出来る織部は羨ましい
何が美か
それを探求するのはとても楽しい
私は知らないことも多いし、
まだ目にしていないものがたくさんある
国立博物館に行っても、
気になる美術品しか見ない
いつか甲冑や刀にも興味が湧くかもしれない
マティスの教会にも行ってみたい
バリ島に行って生のガムラン音楽も聴いてみたい
それはもう生きる楽しみなのだ
こんなふうに戦乱の世にあって、
美しいものを欲しがり、創りたがり、楽しんで、
自分の変化にも柔軟でいられた織部が
好きでたまらない
でも、日本独自の美というもの
わびさびはもはや思想で
なんて宇宙的で唯一のものなのか、と感動する
美しい方がいいじゃない、と言ってしまう私の
品の無さ
まだまだ生きていきたくなった
そんな漫画
プレミアがついて
文庫版の11巻と12巻が手に入らないから、
がんばってお金を稼ごうと思う
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