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のりかな毎日エッセイ241210:堂々値上げできない僕らはステルス値上げした:働き方改革
2024年12月10日、1時45分。
月曜深夜。
ついさっき、土曜深夜に書いた投稿をupした。
その続きを書いてしまおうかと悩んでいる。
ステルス値上げの話の後半部、その後半。
これで終わりにできるといいのだが…或いは…。
その後半、その後半の後半の後半…と無限延長する可能性も…。
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https://www.b-ch.com/titles/3600/029
いや、終わる、終わらせる!
この俺が終わらせてみせる!!
この果て無き争いの連鎖を…!!ここで!!
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きみの~す~が~た~は~♪、ぼくに~に~て~い~る~♪(終)
:
笑ってくれて構わんよ?
君には無論、分かるだろう。(わけが分からないよ!)
説明する気もないし、また、その必要もない。
…ただの福田ガンダムごっこだからね。
画像が気になる人は自分で調べてみてくれ。
ガンダムに詳しくなるとは…
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「フフ…冗談はよせ…。」
https://bookmemo.dojin.com/say/gundam/how-surprisingly-naive-my-dear-brother/
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ギレンが粛清されたところで、本題に戻ろう。
:
僕の記憶力はロバ並なので、思いついた話の展開を明日まで覚えている保証はないわけで…それではMOTTAINAIので。マータイさんに怒られてまう。
何の話だっけ?ガンダムSEED DESTINYの話?
じゃなくて、ステルス値上げの話だ。
ここまで30分以上かかってるし。何やってんだ僕は。
遊んでる場合か!
「遊びでやってんじゃないんだよ!」(懲りずにGネタ)
:
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前回は、上のグラフを含む以下の記事について考えた。
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消費者の多くは、「ステルス値上げより堂々値上げしてほしい」と思っている。つまり消費者の多くは値上げを求めているのだ!
アンケートをこのように誤読させる意図があるのではないか?この記事は。
そう解釈すると、この記事は値上げ企業に対するお追従のようにも見える。
…いやよく見ると2023年2月と古い記事だし、まだ値上げが始まる前だし、
僕の疑い過ぎかも…。少なくともこの記事には悪意は無いと思う。
無いと思うけど、ただ悪意は無くても、「ステルス値上げ」の意味が狭義なのか広義なのか曖昧で、値上げ企業に都合よく誤読されるリスクが高いと僕には思えた。
この投稿者が伝えたかったのは、
「狭義のステルス値上げ=シュリンクフレーション」ではなく、
「堂々値上げの反対=コッソリ値上げ」に対する消費者の怒り、つまり…
「値上げは我慢するが…コッソリ値上げは許さん‼」
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消費者はみんな値上げを礼賛していて、3割以下の変人が値上げに不満の様子だ、とアンケートを誤読されないよう、前回の投稿でそこは確認した。
広義のステルス値上げ=コッソリ値上げとは、以下のABCのことであった。
A:商品の密度を1%ずつ、バレにくい感じに減らしていくステルス値上げ。
B:商品の値段を1%ずつ、バレにくい感じに増やしていく普通の値上げ。
C:値上げブームに便乗してウチも値上げすれば悪目立ちしない、という便乗値上げ。
値上げの不満を、企業側の事情も汲んで我慢している消費者に、こういうなめた態度を取ると怒りが爆発して炎上する。
企業の皆さんは、上記アンケートの結果を値上げを正当化する意味に誤読したり、それを主張せず、正直に読み取った方が無難だと思いますよ…。
「あなたは値上げに不満かもしれないけど、ほら、6割以上のみんなは堂々値上げしてくれと言ってるよ?値上げに不満なあなたは少数派だよ笑」
こう言ってるのと同じだから。危険危険。
とはいえ…。
僕らは怒れる消費者であると同時に、一人一人が商品を売る企業でもあるわけで。会社員は会社に労働力という「商品」を売る企業、だよね?
僕らだってこの商品をコッソリ値上げしたいし、むしろ堂々値上げしたい。
あらゆる商品が値上げしつつある今、まだ値上げしてない以下の2種類の商品が値上げすれば、全ての商品が値上げしたことになり、相対的には値上げしてないのと同じになるのでは?そして世界は平和になる。
α.「会社員」という商品(給料)
β.発注企業に販売する下請け企業の商品(機械の部品とか)
会社員という言葉には、雇われて働く人々、という意味を込めてある。
こっそり値上げの何が問題かと言うと、この二つ「だけ」値上げできてないこと、なんじゃないのかな?
月々20万円の給料が40万円に値上げすれば、パンが200円になったって問題ないし。いや金持ちが困るか。
一億円貯金してる人にとって、パンが100円なら100万個買えるから、一生飢える心配はないけど。パンが200円になったら50万個しか買えなくなる。
…50万個買えれば充分でしょ。
大した問題じゃないね。足りない分は働けばいいし。
え、働きたくない?働かざる者食うべからず、だよ?
:
それはともかく。
なぜα、βだけ堂々値上げできないのか。
それは立場が弱いから、だよね?
:
会社員だった頃の僕は給料を上げてくれ、なんて言えなかったし、今だって漫画の値段を上げるのには慎重にならないといけない。
中小企業が大企業に納入している部品代を値上げしてくれなんて、言いにくいだろう。その理由は推して図るべし。
僕らは怒れる消費者であると同時に、一人一人が商品を売る弱小企業でもある。その意味では、僕らはコッソリ値上げしたり堂々値上げに踏み切る企業の気持ちを想像することはできる、はずだ。
イマジン。
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上記の意見は上のグラフの、「そう思う派」の意見の一例。
この意見、僕の中の消費者の部分は激しく同意なんだけど…。
「明日から僕値上げするんで!給料倍にしてね♪」とはっきり上司に宣言できる人っているのかな?僕には無理やけど…。
「買わない選択」されたら路頭に迷うし…。
それに中小企業の社長さんとかだったら…。
「値上げしたの?構いませんよ?どんどん値上げしてください。
ただウチとしては、来月から安い競合他社さんの部品仕入れますけど。」
何百人という社員とその家族を道連れにする覚悟がいるね。
…というわけで、この「70代女性」の方には申し訳ないんだけど、そんな
はっきり宣言して値上げする度胸は無いよ。想像してほしい。
他人ごとじゃなく自分のこととして想像してほしいよ…。
僕らの多くは、或いは中小企業の多くは、立場が弱いので、堂々値上げなんてできない。
それでも原材料代はどんどん高騰する。
なので僕らの多くは、コッソリ値上げを行う。ステルス値上げを行う。
中小企業ははっきり値上げすると納入先の親企業に切られる、だから社員の給料を減らしたり、サビ残させたり、効率化と称して1時間当たりの仕事密度を増やさせたりする。
或いは製品の密度を極力減らす。柱を必要最低限ギリギリまで減らす。
姉歯事件をふと思い出したけど、これもステルス値上げ事件では?
構造計算書偽造問題 - Wikipedia
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「仕事の効率を上げろ」と会社が社員に言うのは、時給千円で二千円、三千円分の仕事をさせるためだろう。
時給千円で2時間残業させても同じく三千円分の仕事はさせられるけど、2時間分の残業代を支払う必要が生じる。1時間で三千円分の仕事をさせれば2時間分サビ残させたのと同じになる。社員の給料をステルス値下げさせることで、親企業に納入する部品の値上がりを抑えることができる。
支払うべき給料を実質値下げしたり柱を限界まで減らしたり…そうしないと会社がつぶれてしまう。
社員は社員で、バレないよう仕事の効率を下げようとする。ステルス値上げだ。そうしないと過労死するし。企業も社員も、生存のために騙し合いを行っている。
その過程で、親企業に納入される部品はスカスカボロボロになっていく。
検査は通るけど。検査が通ることだけに特化した部品。検査官との間にも騙し合いが起きたり。検査官を抱き込んだり。
仕方ない。堂々値上げできない以上、コッソリ値上げするしかない。
実質、その価格に見合わないスカスカの危険部品が市場に出回ることになる。値上げした商品を買える余裕のある消費者も、危険部品がもとで事故に遭うリスクを抱えることになる。
でも仕方ない。堂々値上げをさせないんだから。
:
給料や部品価格を適正に評価しないと、働く態度や部品の質がコッソリ下がっていく。共産主義国家みたいに、末期のソ連みたいに粗悪品が市場に出回るようになる。まじめに働いても見合う給料を与えられないならそうなる。
みんなずるくなる。死なないために。
社員がサボタージュしてないか、コッソリ値上げしてないか四六時中監視し、日報を出させる中小企業の社長。その社長も親会社には秘密を抱え、バレないように原材料をギリギリまで減らしたり、工程を変えた部品を出荷したりしている。親会社の担当もそんな社長を疑い、定期的に監査を行う。
検査記録を出させる。ギスギスしてる。ギスギスギスギス…。
僕も一応、元会社員なので、いろいろ経験して知ってはいるのです。
言わないけど。
材料コストを検査ギリギリまで下げるのは企業努力だけど、検査ギリギリOKの部品の中にはギリギリアウトの部品も含まれるかもしれない。
親会社もそこは突っ込めない。36協定とかJIS規格とか、法的にグレーな領域に足を突っ込んででも、価格を抑えたまま部品を納めてくれる子会社孫会社は親会社にとっても都合がいい存在。彼らとの「関係」は切れない。
値上がりされると困るし、マスコミとかにリークされても困るから見て見ぬふりをする。ズブズブの関係…。ズブズブズブズブ…。
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そもそも36協定結べば週40時間以上働かせてOK、というのが意味不明。
実質、労基法の形骸化では?スカスカ労基法。
ギスギスしつつズブズブな、親会社と子会社、孫会社の関係。
或いは会社と社員の関係。その中で部品価格や給料は値上がりせず、値上がりを抑えるためのグレーな企業努力、ブラックな企業努力はスルーされる。
結果、自主検査項目はクリアしているけどギリギリスカスカな部品が納められる。もう一歩だけ進むと、自主検査の結果も自主的に訂正するようになる。さらにもう一歩進むと、外部監査員も抱き込むようになる。汚職…。
マジで旧共産圏みたいだ…。コネと汚職とワイロの世界にあと一歩♪
マスコミはビックモーター不正とか姉歯事件を叩くけど、「もう一歩だけ」進んだ人たちをやり玉に挙げているだけだよね。氷山の一角というか…大半の企業はその一歩手前でかろうじて留まっている、明日は我が身の人たちだと思う。僕の感覚だけどね。
:
商品価格を正当に評価せず、堂々値上げできないようにすると、コッソリ値上げが行われ、グレーな企業努力を隠すようになる。親会社も子会社も、社長も社員も、お互いにそのグレーな部分を見て見ぬふりをし、価格を変えないままスカスカになった商品を「検査OK」として通すようになる。
万が一、不正が発覚したら、「子会社が勝手にやったこと」「社員が勝手にやったこと」としてシッポ切りをする。「会社としては定期検査は行っていたが、担当社員が勝手に数字を書き換えたのだ」ともしものときに弁明するための、形だけの検査実施。
そんなことしていて、親会社も子会社も、社長も社員もみんな苦しいだけだと思うけど。一番損するのは、スカスカ部品で組み立てられた危険商品をそうとは知らず、買わされる消費者だろう。
:
「商品を値上げするとお客さんが離れるかもしれない…」
「部品代を値上げすると親会社さんとの取引が破綻するかもしれない…」
「給料値上げを求めるともう会社来なくていいと言われるかもしれない…」
だから値上げを言い出せない。だからステルス値上げをする。
企業努力としての効率化や無駄の削減は、追求すると無駄じゃないところまで削り始めることになる。
「コストカット体質」になると、無駄の削減が自己目的化する。
36協定結んだから毎月45時間までは残業させて大丈夫、とかね。社員の健康とか私生活という「無駄」を削りに削ってるし。
ここは要らないだろう、ここは検査項目じゃないから省いてもいいだろう、ここは誤魔化せば何とかなるだろう、とエスカレートする。いつの間にかグレーゾーンからブラックゾーンに突入してるけど、社員同士という小さな「村」の中ではそれが常識になってしまう。エコーチェンバー…。
エコーチェンバー現象 - Wikipedia
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外部の人にバレて、「その慣習異常だよ、法律違反だよ!」と指摘されて大問題になる。マスコミ沙汰になる。
:
豚焼肉弁当の話からだいぶ遠くに来てしまった。でも僕らの日々の仕事も、
仕事への向き合い方もステルス値上げしてないか、今一度見直すべき時なのかもしれない。
などと偉そうなことを言ったりして。
値上げという評価がなされないと、人も企業もどんどん腐っていく。
2000年代以降、コストカットが自己目的化してスカスカになった日本の製品は売れなくなっていった。「メイドインジャパン=高品質」というイメージと、実態との落差が広がったためか。
「まじめで勤勉な日本人」も昔のイメージ。
「指示されたことだけやりますけど?仕事より推し活が生きがいです」というのがステルス値上げした今の日本人かな…。失われた30年…。日本沈没…。
どうしたらいいのやら…。
いろんな商品が適切な値上がりをするのは良いことだと思うけど、それが消費者の怒りを招くのは、会社員という商品が値上げしないからだと思う。
でも給料ってどうやって値上げしたらいいんだろう?
春闘?メーデー?人任せじゃなく自分たちで値上げするには?
デモしたりストライキしたり?
「給料の上げ方」、学校じゃ教わらないしね。
そもそも値上げの原因は「原材料や燃料の高騰」っていうけど、何がどうして値上がりしてるんだろう?
疑問は尽きない…。新たな疑問が湧いてきたけど、それはまた今度にして、
また6千字超えそうだし、今日はこの辺にしよう。
セブン豚焼肉弁当ステルス値上げ編はこれでおしまい♪
後編の後編の後編に続かなくてよかった…。
とにかくステルス値上げは製品の質も社員の働き方も腐らせていくからよくないと思うよ!という話でした。でもハッキリ値上げできない気持ちも自分自身に置き換えたらイマジンできるよね…という話でもあったけど…。
弱い立場…権力勾配…うむむ…。
:
今、小松左京氏の「日本沈没」を読み直しているんだけど…。
70年代に日本の沈没を予言した本だけど、すごいね。
最後にその一文を引用して、今日は終わりにしようと思う。
:
「いいですか。よく見てくだされ。――この、日本の山や湖を、よく見てくだされ。ごらんのとおり、日本は大きい。西南より東北へかけて、二千七百キロにわたり、大小の島々、三千メートル以上の山々をつらねて国土面積三十七万平方キロ、この上に世界第三位の国民総生産をあげる一億一千万の人々が住んでおる。――この日本が……この巨大な島が、本当に沈むと、今でも思っていなさるか? ごく近い将来、急激に沈没してしまうようなことが起こり得ると、本当に、今でも信じていなさるか?」
「私は――」と、田所博士は深い溜息をつくようにいった。「そう信じています。――今回の調査で、ますますその確信を深めました……」
小野寺は、かすかに胴ぶるいした。
それは、あながち、しんしんと肌にしみこむ、夜気のせいばかりでもなかった。――わずかに欠けた月の光にぬれている山々や、満々と暗い水をたたえ、月影を千万の銀波に散らしている湖を前にして、何か異様の感にうたれたからだった。
本当に……この巨大な山々、森や湖や、都市や人を載せた、この巨大な島が、わずかの間に沈むのか?
「よろしい……」と老人の声がした。「それを聞きたかった……。花枝、もういいからしめなさい」
雲一つない中天に痛いばかりに冴えわたる月を見上げていた小野寺は、ふと、眉をひそめた。――澄みわたった大気を通してながめる月の鮮やかな輪郭が、突然、かげろうのように二重になってゆらいだように思ったからだった。気がつくと、今までとぎれとぎれに鳴いていた虫の音がぴたりととまった。風の音、木立ちのざわめきさえ、死んだように静まりかえった。
そんな中で、突然暗い木立ちの間から、夜鴉の叫びが鋭く聞こえた。一羽でなく、あちこちの森の中で、夜目の見えない鳥たちが一斉に不安に怯えた声をあげはじめた。ずっと下で、横手で、湖の対岸で、犬がはげしくほえはじめ、雄鶏の叫びさえそれにまじった。
「来ますぞ……」
と田所博士はつぶやいた。
小松 左京. 日本沈没(上) (光文社文庫) (pp.355-357). 光文社. Kindle 版.
では、…また明日♪