【デュエプレ】天門バイオレンスサンダーフュージョン【AD最終10位】
こんにちは。
パラワンと申します。軽く自己紹介すると、デュエプレは6弾ぐらいから本格的にランクマを初めて、今年の2月にチームTKGに所属した地方大学院生です。構築記事を投稿するのは初めてなので多めに見てもらうと助かります。
今回はボルシャックメビウスカップでAD10位と結果を残した「天門バイオレンスサンダーフュージョン」について説明します。
1 構築経緯
「天門フュージョン」というデッキタイプを筆者が握り始めたのは12弾環境中頃である。天門ミルザムのパッケージとゴッドのカードパワーに魅力を感じ研究を進めたが、色バランスや初動が不安定で環境で戦えるリストは作れなかった。また、当時は剣誠やNEXのカードパワーには太刀打ち出来ず、そういったデッキに勝てるようにすると、デッキパワーが露骨に低下することを感じていた。しかし、そういったなかでも「受けを《デーモンハンド》など除去トリガーに頼らず、《マッスルポテト》や《ロマネスク》といったブーストカードで序盤から能動的動けるようにすればよいのでは?」というアイデアは何となく浮かんではいた。
そんな中、13弾で《モノノフ》や《ブレイブ》のナーフ、環境の低速化によりメビウスカップ中期から天門フュージョン行けるのでは?と思いデッキ制作に取り組んだ。そして、プラチナ帯8連勝で一気にマスター帯まで駆け上がったリストがこれである。
このデッキタイプを作るにあたって、筆者は世間一般で当時出回ってた天門フュージョンを色々調べていた。共通点として、《サンダームーン》の不採用、緑は16枚前後、《ボルバル》の採用である。最終レジェンドを獲得した実績のあるデッキもあるが、筆者はこの3点が納得いかず、この問題を解決しながら《ロマネスク》や《マッスル・ポテト》といった前寄せカードを組み込むことをデッキを作る上での目標とした。
これから、3点の問題点について解説しながら、どのよう解決したのか説明する。
1 サンダームーンの不採用
基本的に《天門》と《バイオレンスフュージョン》というカードは水と油の関係でカード間のシナジーはない。受けのカードで攻撃力が不足しがちな天門と、デッキパワーは高いが防御力が低いフュージョンはコンセプトという観点から互いの弱点を補いあっているが、カードの性質で言えば全く異なる。どういうことかと言うと、天門を発動してもマナは伸びないし、フュージョンが打てるなら天門を使って守る必要はない。
このような水と油の関係を繋ぎ合わせるカードとして《サンダームーン》に着目した。そういったカードには他にロマネスクもいるのだが、「なんで入ってないんだよ」とより言いたくなる《サンダームーン》についてここでは説明する。
サンダームーンの役割は主に3つある。
1つはフュージョンを回収からの早打ちである。打ったら勝ちのカードをマナをわざわざ13マナまで貯めなくても使えることはテンポアドバンテージを大きく得れる。回収効果も優秀でフュージョンの枚数を減らし、デッキの枠を開けてくれる。
2つ目は《ミルザム》や《ロマネスク》といった場に居ることがリスクになるカードの処理(通称ミルキャン、ロマキャン)である。このデッキに入っているブロッカーは癖のあるカードが多くそういったカードをうまく処理しながら、相手にプレッシャーをかけることはこのデッキの性質と噛み合っている。
3つ目は単純な打点である。パワー17500は《ドルゲユキムラ》、《ゼンアク》などを超えるパワーで現環境の大抵のフィニッシャーを上から取れる。また、フュージョンからゴッドが一体だけしか出ないような打点が不足している状況でも17500のトリプルブレイカーが非常に役に立つ。進化前の羅月でも5500あり《キリン》や《デスマーチ》などを殴り返せるパワーラインにある。また、《デリンダー》と組み合わせて計7マナで進化速攻でき、押し込み性能を向上させている。
他にも役割はあるが、基本的にはこの3点よりフュージョンデッキに採用したいカードである。しかし不採用が多い理由として、光単色で色マナとして貢献できない、こいつに依存するデッキは除去に弱く不安定であること、単純に枠がないことなどがある。
筆者はメリット、デメリットを加味しても天門フュージョンには天門なしのフュージョン以上に入れる価値があると考え、採用した。色バランスの問題がどうしても生じるが、そんなことは後でなんとかすればいい、色バランスを考えすぎてデッキパワーを落とすのは本末転倒だと思い、無理矢理2投した。
2 緑の枚数
筆者はブースト系のデッキならば最低でも20枚は緑を採用すべきだと考えている。しかし、天門フュージョンというデッキで緑を大量に確保することは難しい。そのため、世間一般で出ているリストは16枚前後であることは世の中を舐めていると思いながらも、デッキの性質上しょうがないと思っていた。しかしそれでは、環境デッキとやり合えないと思い緑の枚数を増やすことに着手した。最初に、ライフミラクル8枚だけだと初動が物足りないので環境的に強い《お清め》、デリンダー》と相性のいい《マッスル・ポテト》で初動を増量した。フィニッシュ用の《フュージョン》と是非入れたい《ロマネスク》を入れたら合計で16枚となった。これだと物足りないので、納得いかないが青緑という優秀な色で腐っても除去トリガーの《花籠》を2枚採用した。他に、自然のカードで採用したいカードがないか、血眼になって探したが納得いくものが見つからず18枚で妥協した。最悪、初動が引けなくても天門でカウンターできるという言い訳ができるので今回は18枚を緑の最低枚数とした。
3 ボルバルの採用
《ボルバルザーク》はデュエプレを代表するフィニッシャーで登場時から使われる続けてきた。5c天門、5cコンと5c系統で実績を残していて、赤緑と不足しがちな色を補いながらデッキパワーを向上させるいかにも天門フュージョンに入りそうなカードである。
しかし、このような前寄せフュージョンの場合10ターン以内に勝負が決まることは多く、《フュージョン》さえ撃てれば他のカードは不要になる。つまり、ボルバルの出る幕は意外と少ないのだ。勿論、採用すれば活躍するタイミングは絶対あるだろうが、天門フュージョンというデッキは枠がカツカツでこんな贅沢品採用している余裕がないのである。
これらの条件を満たしつつ、《デリンダー》だけだとドローが不足していたので、《プリズムブレイン》を採用しこのリストが完成した。赤や黒の枚数が不足しているが、特に採用したいカードもなく、序盤でブーストさえ打てれば天門などで誤魔化せると考え、この構築のままマスター帯にチャレンジした。
しかし、マスター帯では初動の事故が負けに直結する点、《デリンダー》を出すために色を揃える点が必要不可欠だと痛感し、デッキを少し改良することにした。そして完成したリストがこれである
変更点として《プリズムブレイン》を《バイオレンスサンダー》と《ロードリエス》に、《お清めトラップ》を《宝箱》にした。
《プリズムブレイン》は微妙に感じていたカードで、《デリンダー》と違い場に残らないことが弱く、引くだけではそのターンにカードをプレイできないためトップを弱くしていた。そのため若干不足していた天門から出るブロッカー兼ドロソとして《ロリ》、赤黒と足りない色を補いながらデッキパワーを底上げする《バイオレンスサンダー》を採用した。これにより青の枚数を削らないでデッキパワーの底上げと色の調整ができた。
《お清めトラップ》はBロマ、ナイト、黒緑速攻と刺さる対面が多く、特に苦手なBロマ対面に対するメタとして有効に作用していた。しかし、所詮1ブーストであり他の対面で腐る点は気になっていた。ランクマッチをするにあたって様々なデッキに当たるため(特にALL)、メタる側より、自分の動きを通した方が勝率が向上するのではと思い、思い切って《お清めトラップ》を抜いた。この考え方は紙のトッププレイヤーのZweilanceさんも似たようなことを言っていてデュエプレでも通ずると思う。代わりに採用したのは《神秘の宝箱》で、足りない色を持ってきたり、ゴッドを埋めたりと自分の動きを加速するのに役に立った。
この構築の特徴としては、序盤からブーストを安定して撃つことができる上に、色が揃えやすいので天門フュージョン特有のマグロ感が無く、能動的に動ける。シールドトリガーを削っている関係上、盾は薄いが、カードパワーと安定性が高くなり、多くの対面で戦えるようになっている。
このような構築で、安定したブーストから高コスト大型カードを叩きつける、受けは天門に一括することがコンセプトで基本戦術となっている。通常、「天門フュージョン」は「天門なしのフュージョン」に速度負けして勝てないが、この構築だと、《クリスタル・フュージョン》採用ブースト特化型には速度で流石に勝てないが、《ロマネスク》や《サンダームーン》のおかげで、現在メジャーな《キング》や《ルギラレシール》採用のメタカード折版型と同等以上の速度にはなっている。
5色デッキで緑18、全色9枚以上と最低限の色枚数を確保しているが、単色20、多色20と5cの割には単色率が高く、事故を軽減している。これは3色レインボーのカードをできるだけ多く採用していることが大きく、癖が強いこれらのカードを我ながらうまくデッキに組み込んだと思っている。基本的にこの色バランスで満足しているが、青が10と少ないことは不満を持っている点ではある。デリンダーは序盤で出したいカードであるので、別の青マナをセットしてデリンダーを出すことが望ましい。しかし、10枚だと青マナを作るために泣く泣くデリンダーをチャージすることがあり、青マナをもう少し確保することが理想的である。
これらの過程を経て最終10位の構築が完成した。この構築を握ってからは当たり前のように5連勝、最大で14連勝できるなど高い勝率を維持し、4月25日でレート1680を達成した。こういったらなんだが、比較的苦労することなく最終レジェンド圏内まで到達した。1700まで走ろうと思ったが、ツヴァイやBロマ、カチュアなど苦手対面の増加、多忙やモチベーションの低下により断念したが、もっとレートを更新できたポテンシャルはあると思っている。
2 採用カード解説
フェアリー・ライフ
初動。特に言うことなし。
フェアリー・ミラクル
5cにする意義。3ターン目にこれを唱えるためにマナチャージをきちんと考えること。例えば、初手に黒緑の《バイオレンスフュージョン》を置いたら3ターン目までに5色揃えるには《バイオレンスサンダー》+白単色しかないから極力置かないなど。黒緑速攻対面を除いて、無理をして3ターン目に打ってトップに賭けることより、じっくり色が揃ってから発動した方が自分の感覚としては良い気がする。
神秘の宝箱
初動の8枚目以降として採用。このデッキは《デリンダー》の為に色を揃える必要があり、その補助として優秀。ゴッドのサーチやデッキ圧縮など地味な仕事ができ縁の下の力持ちと言える。初動が10枚、緑18枚で3ターン目までにブーストが打てる確率は先行で88.5%、後攻で92.1%で完璧に満足はしていないが、天門という別のエンジンを組み込んだ構築の割には最低限以上の序盤の安定性を確保していると思う。
マッスル・ポテト
多くの人がこのリストを見た時、最初にツッコミを入れたくなるカードでおそらくあろう。筆者は天門フュージョンを k tak さんが開発してから1ヶ月後には採用候補にしていた。しかし、現実的にデッキに入れて成立させるには何ヶ月も時間がかかってしまった。主な役割は、トリガーや手打ちで出て天門をビートに間に合わせることである。筆者は正直、《デーモンハンド》や《ナチュラルトラップ》といった確定除去トリガーでビートを耐える時代はもう終わったと思っており、こいつを踏んでもらったほうが何倍もビートに勝率を出せると思っている。そして、Sトリガーのカードは基本的に腐りやすく、どれだけ積んでも運に依存する、キリコやライゾウなど無効化するカードが環境に蔓延っていることなどから、トリガーの大量投入はデッキパワーを下げることだと感じている。そのため、天門を能動的に打って、盾に依存しない防御手段を確保するための準備としてこの芋は非常に優秀である。また、このデッキ最強カードのデリンダーと相性が良く、緑単色と色でも貢献できる、マナにおける枚数を選べるなど腐る場面が少ない。ただし、単純なブーストカードとして見れば底辺も底辺であり、環境が高速上振れ環境でないのであれば、《セブンスタワー》や《ガーデニングドライブ》を入れた方が良いと思う。
機械提督デリンダー
このデッキ最強カード。こいつがいるから、手札が大量に必要なヘブンズゲートというデッキに大量のブーストを投入することができる。2マナ3000ブロッカーという基本スタッツも馬鹿みたいに高く、グレートメカオーと種族も優秀。個人的にエピソード1の未実装カード《サイバーNワールド》より強い事書いてると思う。青マナが手札にこれしかない場合は、涙を流しながら埋めよう。欲張って青マナを引くまで待つと大抵失敗する。
知識の精霊ロードリエス
5枚目以降の《デリンダー》として採用。デリンダーの代わりとはなり得ず、大抵の場合1,2枚しかドローできないが、天門から出した時のバリューの高さなどこちらにも長所はある。《ロマネスク》と一緒に天門から出すのが強くドロー+ブーストでアドバンテージを大量に稼ぐことができる。
ヘブンズ・ゲート
このデッキの防御面のほとんどをこのカードに委ねていて、盾にいなくても能動的に相手の攻撃を食い止めることができることが優秀。また、攻めのカードとしても優秀で、《ロマネスク》、《ミルザム》を同時発射すると、山札を9枚も堀り、8アド取れるなど破格の性能をしている。基本的にこのカードを気持ち良く使うためにデッキを構築しており、こいつさえ打てれば劣勢状況をひっくり返すことも少なくない。攻守に優れたキーカードであるが、長期戦になるとトップを弱くする要因となるので、《神秘の宝箱》で埋めたり、《羅月・サンダー》で回収したりして、デッキ圧縮する場面があることを覚えてるとよい。
策略と魅了の花籠
青緑という不足しがちな色、最低限トリガーとして相手を止めれる、手札交換で最低限の手札の質を上げれる、確定除去と1枚で多くの仕事を担える。しかし、このデッキのコンセプトは早めにブーストして《フュージョン》を叩きつける、受けは天門に一括することであり、このカードは若干嚙み合ってない。デッキのバランスを考えると入れざるを得ないカードではあるが、こういった考えでデッキを構築しているとどんどんデッキパワーを下げることになりかねないので、採用にはいつも以上に注意を払う必要があると感じている。
龍仙ロマネスク
《天門》と《フュージョン》を繋ぎ合わせるカードのうちのひとつ。当然だが、ブーストできるのは自分のターンのみなので、相手ターン中に出すことはまずない。セルフランデス効果はこのデッキだと相当なデメリットで、きちんと考えないと首を絞める。第一に、「フュージョン」は13マナまで貯めたいデッキなのに、10マナでマナがストップすることは基本的にアンチシナジーである。そのため出せるタイミングが限られ、基本的には手札にロマキャンできる札がある時、チャンプブロッカーとして有効に働く時のみ出す。相手がハンデスをしてくるのであれば《ロードリエス》とセット以外は出さない方が良い。色が優秀なので初手のマナ要因としての方が役に立っているかもしれない。あと、何があっても2体出しはするな。ろくなことが起きないし、いつのまにかマナがなくなってる。墓地に落とすカードは《ゲキメツ》で蘇生できる《ポテト》と《デリンダー》を優先しよう。
奇跡の精霊ミルザム
このデッキ最強カードその2。こいつを出せば1ターンはほとんど死なない上に、デッキによっては詰みまで持っていける。単純に5枚のカードを動かしているパワーカードで出してアド損はしないので、《ロマネスク》と違ってあまり考えずにプレイしても良い。本当は3投したいカードであるが、白単色という色、嵩張ると邪魔になる点でなくなく2枚。ミルキャン手段が《サンダームーン》しかないのは物足りないが、現環境では比較的除去されにくく、盾回収も弱い効果ではないのでなんとかなっている。
血風聖霊ザーディア
癖の強いブロッカーが多いこのデッキの中で比較的癖がなく、安定した仕事ができる優等生。苦手なツヴァイ対面ではこいつを早出しすることが、勝ち筋の一つとなっている。現環境では5500火力は刺さっていることが多く、覚醒前サイキック、カチュア、キリコの種全般など、絶妙にこのデッキが苦手なカードを取ることができる。
神羅サンダームーン
基本的な役割は上述の通りであるので、ここでは細かい強みについて説明する。第一に現環境では確定除去が少なく、最速でこいつが通る状況は意外と多い。最速でこいつが通るなら、4、5ターン目にデリンダーに乗っけたり、デリンダー進化速攻7マナ進化を積極的に狙って行っても良い。他には、ゲーム中終盤で山札の中身を羅月の探索効果で把握してゲームを有利に進めることもできる。
極仙龍バイオレンス・サンダー
色が優秀なので取り敢えず採用してみたら、このデッキとシナジーが凄く、最後のラストピースとなった。《ロマネスク》との相性が良く、6→10と綺麗に繋がり、自然にロマキャンができる。こいつとロマネスクで5色揃うなど、如何なる場面でも噛み合っており、8弾で運営が恐らく望んだであろうこれらの共存をスムーズに実現させている。また、《キングアルカディアス》、《クロスNEX》、《スペルデルフィン》などほとんどのメタカードをすり抜け、大抵のクリーチャーから進化できるため腐る場面がほとんどない。前寄せで重量級カードをさっさと叩きつけるというコンセプトに合っており、1枚採用でもデッキ名にしれっと入ることができた。
バイオレンス・フュージョン
このデッキの切り札。基本的に打ったら勝ちだと思っても良い。別にこいつを撃たなくても勝てる対面はあるので、撃つことに拘る必要はないが、カードパワーの上昇でゴッド1体では勝てない対面が増えたことは頭に入れた方が良い。色は強そうに見えてそこまで強く無く、1ターン目これをチャージ、2ターン目光単色チャージ《フェアリーライフ》発動としても、自力で赤と青を揃える必要がある。しかし、赤と青の多色は《バイオレンスサンダー》しかなく、4ターン目デリンダー発射にはそれなりの要求が求められる。そのため《サンダームーン》の関係上マナに早くセットしたいが、色マナを考える必要がある。
破壊龍神
《フュージョン》から出すメインウェポンでなんだかんだで出たら勝ちの対面も多い。このデッキで不足している除去やドロー、ロマキャン要因など様々な仕事を一枚でこなす。4枚でなく3枚の理由は非常に曖昧だが、感覚として、4枚だと多すぎるので3枚。《ゲキメツ》と合わせて赤黒のゴッドが4枚が色バランスやマナカーブ的にちょうどよいと思われる。
龍極神
殿堂カードなので1枚。インフレにより、昔みたいに3往復して勝てる展開は少なくなったが、流石のカードパワーは健在。
超絶究極神
現環境で最も通りがよく使いやすいゴッドで色基盤としても優秀。本来は3投したいが、枠の都合上2枚。
3 採用候補
このデッキはプレイングよりも構築のほうが重要だと思うので、どのような経緯で構築が作成されるかを理解するほうが大切である。不採用となったカードには不採用になったなりの理由があるので厳しく説明する。
白騎士ゲート
これを1枚入れると盾天門の割合が50%を超え、「受けは天門に一括!」という方向性がより強くなる点は良いと思ったがカードとして弱すぎた。1体と2体では天と地ほど差があり、天門から出すカード2体のうち1体が《デリンダー》であっても十分強いということが再確認された。筆者は基本的に、こういうパチモノの劣化品みたいなカードがあまり好きではないと再認識した。
プリズム・ブレイン
単純に《デリンダー》だけではドローソースが不足するので、何かしらのカードが欲しいと思い採用。しかし、単純にカードを引くだけではコントロール対面でも隙を与えてしまうなど力不足。ドローが不足することは多々あるが、トップを強くして強いカードを上から叩きつける思考にしたほうがデッキがうまく回った。
セブンス・タワー
このデッキのブースト力はメタカード(キング、ルギラレシール)の入った「フュージョン」と同程度ぐらいであるが、このカードを採用することで《クリスタル・フュージョン》採用型に肉薄するまでとなる。このデッキのコンセプトには合っているが、枠がないこと、これ以上ブーストを入れるとトップが弱くなること、現環境では7マナあるときにこれを撃つ余裕がないことから不採用。強力なカードであるため、こいつをうまく使いたい。
ブレイン・チャージャー
4→6のマナカーブが綺麗に繋がり、ロマネスクや天門に手札を減らさず、アクセスできる点は優秀である。ブーストとドローが一体化しているのでデッキの枠を大きく節約できるが、ブーストカードの癖に色を生み出さず、このデッキ最強カードのデリンダーと相性が悪く評価を落とした。こいつを使うなら専用構築にするべきだが、そうすると、このカード依存がひどいので難しい。紙に《フェアリーシャワー》という、このカードにトリガーがついたようなカードが有るのだが、それが仮に実装されたら、採用したい未実装カード第1位である。
霊王機トリファリオン
青緑白の3色で、できればブロッカーを持つカードが欲しいと探していたらこいつが筆者の目に止まった。《デリンダー》が捲れればブロッカー2面展開も出来て、ワンチャン強いのではと思ったが、流石にお笑いだった。とはいえ、このエピソードは3色レインボーのカードをこのデッキがいかに欲しているかを示している。
超聖竜シデン・ギャラクシー
天門でビートデッキを耐えた後、返しのターンにリーサルを作ることができる点を高く評価。不利対面、不利な状況をひっくり返すカードとしていいと思ったが、ツヴァイには《アクアガード》、ライゾウには《ロマネスク》Bロマでは《デスマーチ》と使いたい対面でブロッカーが入っていることが厳しかった。こいつだと、盾を全部割るだけでトドメのアタッカーを用意する必要がある点、赤白とマナにおいても大して強くないカラーリング、相手ターン中は単なるデカブツで簡単に除去されると惜しい点が多く不採用となった。
悪魔精霊バルホルス
このカード1枚で完全に黒緑速攻が止まる点を評価したが、このデッキの防御力は今でも充分固いので、これ以上は必要ないと判断。これを入れることは黒緑速攻対面で楽をしようしているだけでこのデッキの進歩にはならなかった。中速ビートにはこれを掻い潜る方法が何かしらあることも多く腐る対面も多い。白黒という色も弱く、このデッキのほとんどのカードと組み合わせても5色揃わない。
炎槍と水剣の裁
このデッキで最も採用したいカード。序盤はブーストに専念するので、手札が枯渇し相手の盤面に触れないという問題を解決している。除去トリガーを抜いて受けは天門に一括というコンセプトにも沿っていて、母数の多い、ツヴァイ、キリコ、ナイト対面で刺さっているなど褒めるところしかない。赤青というカラーリングも少し癖があってマナ置きに苦労するが、頭を使ってパズルのように当てはめれば5色揃えるのに役に立つ時が必ず来るだろう。これだけ褒めたのに、不採用になった理由として、サンダームーンの探索の兼ね合いが大きい。サンダームーンで探索失敗は言語道断なので、6コス以上の呪文は3種類に留めたいが、もう既に枠が埋まっている。花籠と変えてもよいのだが、緑の枚数をこれ以上減らしたくなく、残念だが不採用。これとセブンスタワーをうまく組み込んだデッキを作ることは目標の一つである。
聖鎧亜 キング・アルカディアス
現環境での刺さりはそこそこで、サイキッククリーチャー、B・ロマノフ、キリコ、ライゾウなど環境上位のデッキに有効に働くことは多い。ロマキャンが出来たり、《デリンダー》から簡単に進化できたりと、このデッキでは比較的出しやすいので、デッキに入れて邪魔になることはない。しかし、このデッキのコンセプトはブーストして大型獣を叩きつけることで、相手の対面に関係なく使えるカードを優先したい。そのため、メタカードで時間を稼いで《フュージョン》などを通すことは汎用性に欠ける。ましてや、サーチカードが碌に入っていないこの構築だと、引きたいときに引けないことも多い。また、環境デッキに刺さるには刺さるのだが、何かしらの抜け道をどのデッキも持っていて、ロックとして信頼できない。色は《バルホルス》と同様であまり強くない。
至高無常神
カラーリングは青黒赤と並んで最高クラスである。フュージョンから出る種を嵩増しさせ、合体して10マナと疑似スピードアタッカーとして有効である。単純に不採用になった理由がカードパワーが低いからで、こいつをトップで引いて嬉しい場面が少ない。ゴッドをマナから回収は《フュージョン》が打てさえすれば欲しい能力ではない。ゴッドの枚数6枚はギリギリの枚数ではあるが、《フュージョン》を撃つときに何もゴッドがいないことは50試合に1回程度であまり気にすることはなかった。
これら以外にも採用を検討したカードはたくさんある(ジャック・アルカディアス、執拗なる鎧亜の牢獄、フェアリーホール、エナジーホール…..etc)がこれ以上説明するとキリがないのでここまでとする。不採用理由からわかるように、このデッキは色バランスとカードパワーを重要視しており、それさえ乗り切ればどんなカードにも門戸は開かれている。
4 プレイングと各対面
基本的にこのデッキはプレイングが簡単な部類のデッキである。通常の「フュージョン」と同様に5色揃えて、マナを伸ばしたあと、大型獣を叩きつけたり、デリンダーでリソースを回復すればよい。カードの種類が多くどのカードが対面ごとに刺さるか見極める点、対面によって目指すべき到達点が異なる点、マナを伸ばしながら天門による防御手段を確保する点がこのデッキを使う上で注意すべき点である。各対面解説ではそういったことを中心に説明する。
B・ロマノフ
現在最も使用率が高く、結果も出ているtier1筆頭で、最も意識すべきデッキタイプの一つである。基本的に手札は無くなるものと考え、ブーストはできるだけたくさん撃ち、盾から引いたカードやトップで状況を解決する。《フュージョン》を撃つことは現実的には難しい対面でミルザム+ゴッドを盤面に作ることを目標とする。《ミルザム》を立てれば《ダチュラ》以外では基本的に取られず、確実にターンが返ってくるので絶対にキープしたい。ミルザムで稼いだ時間でゴッドを通すのが最大の勝ちパターン。ゴッドはどの種類でもリンクすれば勝ちに近づくが、《HDM》を出したらほぼ勝ちなので優先したい。基本的に、相手のブン回りに対抗する手段はなく、防御手段の天門を封じられるため不利対面である。
相性 微不利(4.5割)
キーカード ミルザム 破壊龍神など各種ゴッド
エンペラー・キリコ
従来の「フュージョン」だと速度的に不利対面だが、天門があることで、ブロッカーによる耐久ができるため五分まで対抗できる。ロマネスク、ザーディア、ミルザムいずれも出た時に仕事する上に、《サファイア》の攻撃を防ぐため出来るだけプレイしたい。
キリコというデッキはキリコが出れば何が起きるか分からないので、出来るだけ死なないリスク管理をすべきだ。つまり、マナを伸ばしたり、ゴッドで盤面を作ることより、優先的にミルザムなどのブロッカーを建てサファイアが出ても大丈夫なようにする。《パラディンスピア》、《デルフィン》、《レムリア》など無理なカードが多々ある。
相性 五割
キーカード ヘブンズゲート、ミルザム、ロマネスク、ザーディア
ライゾウ
基本的に「キリコ」と同様に、ブロッカーを建てて死なないようにする。《ザーディア》は刺さらないので、《ミルザム》や《ロマネスク》を優先する。《デルフィン》さえ出なければ、盾天門で逆転できる可能性があるので、ブロッカーを手札に抱える。耐久してもフュージョンを撃つことは難しいので、ゴッドでとっとと打点をそろえて殴るようにする。《バベルギヌス》実装前は、《ゼン》を建てれば、《ライゾウ》が来てもほとんど死ぬことはなく、返しのターンのゴッドリンクでほぼ勝てたが、《バベルギヌス》や《クロスNEX》で水の泡となるので強いプレイではなくなってしまった。相性はキリコと同じぐらいだと思われる。
相性 五割
キーカード ミルザム、ロマネスク
黒緑速攻
有利対面で、盾から《ミルザム》や《ザーディア》を出せばほとんど勝てる。それに加えて、このデッキでは盾天門しなくても勝てるように構築されており、《マッスルポテト》や《ライフ》などのブーストトリガー、《デリンダー》による遅延、ブーストして《天門》や《ゼン》の早期発射など勝ち方がたくさんある。空いているターン、空いているマナで《デリンダー》を2コスで出すことが勝率を上げるうえで重要になる。
相性 有利(7割)
キーカード マッスル・ポテト、デリンダー、ゼン
ツヴァイ
基本的にビートデッキは有利なのだが、このデッキだけは話が違う。相手の序盤の展開を防ぐ手段は無く、《ツヴァイ》のブロックされない効果、《マーキュリー》の呪文封殺など悉くこのデッキに刺さっている。確定除去を減らした弊害で《ツヴァイ》を取ることが出来ず、《ミルザム》で盾を10枚にしてもツヴァイ2,3体で殴り切られてしまうことが多々ある。基本的に不利対面なので、相手の上振れは割り切って《ザーディア》や《ゲキメツ》を早期着地させ、取り巻きの小型獣を処理することに専念する。実際に使うとツヴァイをポンポンと出すことは毎試合出来るわけではないので、なけなしで入っている《花籠》や《天門》による逆転を信じてプレイすることが大切である。
相性 不利(4割)
キーカード ザーディア、龍極神、花籠
メカオー
《デリンダー》の種族がメカオーである点、《ミルザム》や《ザーディア》による盾追加、《ゲキメツ》や《ザーディア》による除去など、相手の攻撃や展開を防ぐ方法がたくさんあるので基本的には有利である。しかし、《マーキュリー》だけはきつく、《マーキュリー》+小型クリーチャーの盤面を早期に作られたときは手も足も出ない。《HDM》を完成すれば基本的に勝ちであるので、そこを目標としてプレイし、《フュージョン》にこだわる必要はない。《ミリオンパーツ》でブロッカーが無効化されるので《デリンダー》は極力埋めないほうが良い。プレイングが難しく、使い手によってデッキの強さが変わるデッキであるので、相性をはっきりと判断できないが、微有利程度かと思われる。
相性 微有利(5.5割)
キーカード デリンダー、破壊龍神、ザーディア
デイガナイト
結構な数の試合をやっているが有利不利がいまだによくわからない対面。デリンダーによってリソース勝負をすれば試合を有利に進めることはでき、相手はこっちの大型カードを止める手段がない一方、《シーザー》に走られると止める手段が少なく、《ランブル》を除去する手段も乏しい。デリンダーも《HELL》の的になるため調子に乗ってポンポン出すと痛い目に遭う。
《サンダームーン》が意外と刺さる対面で、早期に《羅月》を出して盾に殴りに行ってタップさせれば、《ヘブバイ》を盾からめくる以外の除去する手段がなく、サンダームーンが通ることが多い。《HDM》は完成したらほとんど勝ちである点、盾が意外と薄いので打点を揃えると殴り切れる点など《フュージョン》以外にも勝ち筋はそれなりにあるので頭に入れておくこと。ナイトはなんだかんだ事故があるデッキなので、総合的に見ると天門フュージョン側が微有利程度はあるのではないかと思う。
相性 微有利(5.5割)
キーカード デリンダー、サンダームーン、破壊龍神
ドロマー超次元
ナイトと同様、有利不利がわからないデッキだが、体感、デイガナイトよりも当たりたくない。大量のハンデスより13マナまでなかなか貯めさせてくれず、相手のサイキッククリーチャーを除去する手段が乏しい。デリンダーをうまく往なされると、リソース勝負でかなり不利になってしまう。幸い、《ルナ・アレグル》によってアウトを狙うことや、普通に打点を揃えて殴ることしか相手側に決定打がないので、山を削りすぎないで長期戦に持ち込むことが良い。フュージョンやゴッドを止める手段を相手が持たないので、試合を長引かせてこれらを通せばよい。意外と刺さるカードは《ザーディア》で、超次元獣を処理しながら、ブロッカーで打点をずらすと長期戦に持っていくことに重宝する。「デイガナイト」も同様なのだが、「ドロマー超次元」は使い手の練度や対面の理解によって強さが大きく変化するデッキで相性判断が難しいが、五分かやや不利程度だと思う。
相性 五分もしくは微不利(4.5~5割)
キーカード ザーディア、各種ゴッド
ここで挙げた代表的な環境デッキに対して、有利対面はそこまで多くなく、このデッキが今の環境でめちゃくちゃ通りが良いとは思わない。だが、このデッキはこれら上記以外の有象無象の対面での勝率が高く、それが前期の勝ちに繋がった。特に、中途半端なビート(ガントラ、NEX、赤白、青単)や中途半端なコントロール(カウンターHDM、5cコン、青抜き4c)には滅法強く、カードパワーで捻りつぶせる。しかし、上記のデッキ以外でも苦手対面は有り、リーフメビウス、カチュア、ザマルコン、ドルバロム(無理)などが多い日は握ることを控えたほうが良いかもしれない。また、このデッキは知名度が低く、所見殺しや相手のプレイングミスで拾った試合も多く、対面相性では謙虚めに評価した。
おわりに
このデッキはSR17枚とポイントがかかり、作るのが大変なデッキではあるが、使っていても非常に楽しいので、是非みなさんに使ってほしい。また、デッキ作成をする時間もプレイする時間と同じかそれ以上に楽しく、バランスを整えながら、好きなカードを入れることはこのゲームをする最高の時間だと実感できた。
もうそろそろ14弾が発売され、おそらく環境が変わるだろうが、このようなカードパワーの高いデッキが急激に弱くなることはないので、形を少し変えて、次の環境でも使い倒そうと思っている。
このデッキは基本的に自分一人で考えたが、チームTKGに入って通話や交流をすることで、環境の理解、モチベーションの向上などの面で大きく世話になり、メンバーには非常に感謝している。
記事を書くのは初めてで、拙く、読みづらい内容になってしまったが、最後まで読んでくださりありがとうございました。