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セピア

セピア

2023年5月13初稿

 言葉、単語は、往々にして意味が変わる。
時としては真逆な意味になる。セピアと言う単語が典型だ。
セピアを白黒の銀塩写真が古びて琥珀色と黄色が混ざった様
な色合いに変化してレトロな趣を醸し出している状態と思っ
ている人が多いだろう。逆なのだ。その様な写真の劣化を防
ぐ処置をセピア処理と言っていたのだ。セピア処理を施すと
ハッキリしたモノトーンの写真に再生するのだ。

何時のまにやらセピア退色防止処理に対するアンチ・セピア
がセピアに変わったのだ。アンチジャイアンツがジャイアン
ツファンに成るみたいで無茶苦茶な話だ。
しかしながら、セピアは、哀愁を帯びた回顧主義・懐古主義
の代名詞と成っている。ここでは、セピア色に彩られた。
淡い思い出を主題に物語を語ろう。セピアはどっちの意味か
は、読んで判断してくれ。
 瀬濱理子は、悩んでいた。同窓会に出るかどうかである。
アラフィフ五十台間近である。
彼女は、渋谷や原宿に至近な有名私立大学に通っていた。
同窓生の多くも東京六大学や東都リーグ校等関東名門校や
関関同立など関西名門校や国公立に通っていた。
同窓会の地方の中学校は只の市立であるが、
一学年五十人台で二クラスな小規模校なのできめ細かく勉学
を指導されたからであろう。
でも彼女は、東京では地元出身の同窓生に縁を切るかのよう
に没交渉だった。
二十歳の成人式の後、一回目の同窓会があった。
彼女は、成人式では両親の用意した振り袖を羽織り。
同窓会では、当時バブル最高潮ディスコお立ち台に上がる
ような派手な格好で現れた。
同窓生は半数が大学や専門学校に進学し、半数は就職組だ。
来なかった奴には、ヤクザに成ったと噂された奴もいた。
進学組も有名私立や国公立だけでは無い。当たり前だ。
地元の私立大学に通う者もいる。彼女は目立った。
田舎では異色の都会の女として振る舞った。
彼女にも少し気になる同窓生が居た。
少しだけ幼く感じる彼を小六の時、女の子グループでから
かったのだ。
良い悪いは別にして彼にとって生涯のモテキはそこだろう。
そのからかわれていた彼も彼女に好意以上の想いを懐いてい
た。彼女は派手な格好もこなせる美人である。彼は現れな
かった。
早生まれ2月生れの彼の成人式は来年である。成人式に
併設したような同窓会は何か行く気がしなかったのだ。

 そして理子は、バブル紳士にマンションを買って貰う様な
生活を続けた。彼女の栄華は、バブル崩壊と共に消えた。
彼女に取ってつまらない夫と結婚し×一に成って居た。
今度の同窓会は、少し辛い。でも彼は来るのだろうか、
同級生だが、からかいがいのある男の子だった。
同級生だが、可愛いと少し思っていた。彼なら今の私でも
誘惑出来るのではと少し妄想した。セピア色の妄想だ。
彼女は出席しただろうか、セピア色は所謂セピア色なのか、
本来の意味のセピア処理つまり、白黒ハッキリする嵌めに
成ったのだろうか、少し心配。

文末

バブル前後の話を考えて見ました?!
モデルが居るか否かは、前後に発表する
ショートショート『八王子は嫌だと宣う女』
エッセイ『モテキあるいは玩具期考察』に記載が有るかな
無いかな?

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