ニート罪
朝のことだった。僕はベッドで寝ていて、カーテンは開いていた。磨りガラス越しに二人の黒いシルエットがあった。
「この部屋だろうな」
「こんな時間まで寝てやがる」
目を覚まして「警察だ」と思った。ニートの僕を逮捕しに来たのだ。やり過ごせないかとしばらく目を開けて待つ。黒い影が玄関の方へ移動する。しまった、普通に事態が進んでしまう!
「こんにちは、警察の方ですか」
僕は窓へ向けて大きな声で呼び掛ける。シルエットが再び窓に戻ってくる。
「君ねえ、働いてないでしょ」
働いていないことによる影響、犯罪性、料金の未払いなどを捲し立てる。僕は舐められてはいけないと思い、ベッドの上に立ち上がり、伸長2mのシルエットで威嚇する。向こうで警察が笑う。
「ふざけてるの?」
僕は玄関に回ってドアを少し開いて挨拶をした。
「こんにちは。僕がニートなばっかりにご足労させてしまって申し訳ないです。でも実はこの前アルバイトを始めたんです。」
そう、アルバイトを始めたんだった。でも何の。スーパー、警備、居酒屋、清掃…違う。
「えっと、何のバイトを始めたかは思い出せないんですけど、本当にアルバイトを始めたんです。」
という夢を見ました。